映画・TV
2026年05月16日
幸運艦「雪風」
映画は史実に基づいており、以下の点は事実だという(AI検索)。
主力駆逐艦で唯一の生き残り: 同型艦(陽炎型)19隻のうち、終戦時に稼働状態で生き残ったのは「雪風」ただ一艦でした。
不発弾のエピソード: 実際に敵の魚雷や爆弾が艦体に命中・接触しても、不発だったり信管が外れていたりと、何度も「物理的にあり得ない幸運」で沈没を免れています。
「人を救う」という任務: レイテ沖海戦や大和の沖縄特攻など、僚艦が次々と沈む中、雪風は常に海に投げ出された仲間たちを救助する役割を担いました。映画のテーマである「命を繋ぐ」姿勢は、生存者の証言に基づく史実です。
戦後の復員輸送: 終戦後も武装を解き、海外に残された約1万3千人もの日本人を日本へ送り届ける「復員船」として活躍しました。
一方で、竹野内豊さん演じる「寺澤艦長」や、玉木宏さん演じる「早瀬先任伍長」といった特定のキャラクター間の人間ドラマや会話劇は、映画としての脚色ということ。尤も、それも、「さまざまな歴史資料や当時の乗組員たちのエピソードを基に、映画の物語を構成するために生み出された人物」ということなので、あながち間違いということでもない。
雪風には菅間良吉艦長、寺内正道艦長、古成望艦長など、実在した優れた指揮官が数多くいました。特に、激戦の中で的確な判断を下し、一人の戦死者も出さずに生還したエピソードなどは、歴代艦長たちの実話をミックスして寺澤艦長というキャラクターに集約させています。
終戦後、ほとんどの軍艦も商船も失われていた中で、雪風は「復員船」として15回外地から日本人を帰国させている。その中には、ラバウルで負傷して帰国した水木しげるもいた。さらに、その後、雪風は戦争賠償として中華民国に引き渡される。なんと、そこで、中華民国連合艦隊の旗艦となっている。
1969年、雪風改め中華民国海軍「丹陽」は台風で大破。艦齢29年であった。沈没はしなかったのだろう、舵輪と錨が日本に返還され、それらは雪風のふるさと江田島の海上自衛隊にある。
2025年10月08日
マクナマラの誤謬
日本への無差別爆撃の責任者と言えば、カーチス・ルメイが有名(戦後、日本政府から勲一等💦)。その背後に、Harvard MBA(戦前では希だ)のマクナマラの分析があったとは知らなかった。
147:神童ロバート・マクナマラHarvard MBA 卒業後大学に残り、企業分析手法について教鞭。第二次世界大戦勃発で、米軍統計管理局で戦略爆撃の解析および立案に従事。日本の主要都市を廃墟にした戦略爆撃の立役者の一人。戦後、フォードはマクナマラを含む10人の統計管理局の面々を最高経営幹部候補生として採用。マクナマラは大胆なリストラや不採算工場の閉鎖などで実力を発揮、1960年にフォード・モーター社長に就任。
149:マクナマラの誤謬Ⓐ現実の定量的モデルが常に他のモデルよりも正確であると勝手に思い込むことⒷもっとも簡単に行うことができる定量的測定こそが最も適切だと考えてしまうこと🄫定量的測定基準で使用されているもの以外の要因をなかったことにしたり、大した影響はないと矮小化したりすること
実際、北ベトナムの死者数は米軍のそれをはるかに超えており、マクナマラの計算では着実に勝利に向かって歩んでいた。それでもアメリカは戦争に負ける。「測定できないもの」に負けたのだ。
2025年06月21日
petit diable(魅力的な小悪魔)
「半世紀ぶりに新訳が出た」というので読んでみる。と言いつつ、旧訳も読んだことがないので、要するに、初めて読む。言わずと知れた名著で「20世紀少女小説の聖典」と言われている。
いかにも、フランスっぽい。17歳の高校生は5歳で母親を亡くし、その後10年間カトリック教会の寄宿舎学校に入れられていた。2年前にそこを卒業しパリで父親と暮らし始める。父親は愛人をとっかえひっかえ家に連れ込んでいるが、「自分が父親の一番のお気に入り」という実感があり、そんな生活に満足している。
そんな生活が、南仏でのバカンスできしみ始める。
悲しみよ さようなら悲しみよ こんにちは・・・・・ポール・エリュアール「今ここにある生」
2025年06月16日
選択の科学
コロンビア大学ビジネススクールで「選択の科学」(Decision Science)を教えるアイエンガー教授の著作。私もLondon MBAのコア科目でこれを習ったのだが、この35年間でかなり進歩したことが、本書を読むと分かる。
アイエンガー教授はシーク教徒移民の両親の下、カナダで生まれ、アメリカで育っている。シーク教というと、印象深かったのが、映画English Patientに登場するシーク教徒の英陸軍中尉Kip。イタリア戦線でドイツ軍の仕掛けた爆弾処理を行っている。
シーク教徒なので、当然、生まれてこの方一度も髪を切らず、それをまとめるためにターバンを巻いている(逆に、インド人で一番多いヒンズー教徒は髪を切るので、ターバンは巻かない)。ヒロインのハナと仲良くなるのだが、ハッピーエンドとはいかない。
2025年04月27日
他人の欲望が自分に向けられる瞬間
その背景にあったのが、通信の規制緩和で可能になった、テレクラやダイヤルQ2。テレクラは(主に)男性がお金を払って店のブースで女性から電話が掛かるのを待つ。見知らぬ相手とデートして、後は自由恋愛という訳だが、もちろん、かけて来る女性もテレクラがどんなサービスかは知っているから、値段の交渉して・・・ということになる。
Q2は伝言ボックスに電話をして伝言を残す仕組みで、物理的に店に足を運ぶ必要がないから、さらに手軽になった。
その頃は女子高生が身分不相応なブランド品を買うのにお金が欲しくて利用していたといいう。今は「推し活」活動のためになのか。村上龍は、「ブランド品と援助交際を口実にして、女子高生達は他者との出会いの『可能性』に飢えている」と仮定して、本作を書き始めたと書いている(あとがき)。
つまり、お金は二次的な目的で、そうした刹那的な出会いそのものを求めているのではないか?「自分に価値がある」ということを実感することで、自分の存在を確かにしたい、ということか。
2025年04月26日
デカダンス文学の逸品
14:眠らされ通しで目覚めのない娘のそばに一夜横たわろうとする老人ほどみにくいものがあろうか。江口はその老いのみにくさの極みをもとめて、この家に来たのではなかったか。
主人公の江口は67歳の「老人」。今なら初老ということだろうが、本書が月刊『新潮』に掲載された昭和35,6年の平均寿命は男性65歳(女性70歳)だから、当時の認識では紛れもない老人。そして、これを執筆した川端康成は61歳であった。
19:江口はものずきにそそられて、この秘密の家にはじめて迷いついたのだけれども、もっと老い衰えた年よりどもは、もっと強いよろこびとかなしみとでこの家に通うのだろうかと思われた。
「秘密の家」では、10代後半の少女が眠っていて、そこに老人が一晩添い寝する。少女は睡眠薬で眠らされているらしく、触っても起きない。少女たちは安全な?老人相手に寝ているだけでいい楽な仕事だと思っているらしい。
28:老人は人間の女の乳房の形だけがあらゆる動物のうちで、長い歴史を経るうちに、なぜ美しい形になってきたのだろうかと、あらぬことを考えたりした。女の乳房を美しくしてきたことは、人間の歴史のかがやかしい栄光ではないのだろうか。
この作品を文句なしに傑作と呼んでいる人は、私の他には、私の知るかぎり一人いる。それはエドワード・サイデンスティッカー氏である。およそ氏と私の文学観は夏と冬ほどちがっているのに、会うたびにいつもこの作品の話が出て、この作品の話になると、それまで喧嘩をしていたわれわれが握手をすることになる。
サイデンスティッカーは、日本文学者であり翻訳家。川端康成の他、三島由紀夫や谷崎潤一郎などの作品を英訳し、世界に広めた。川端康成がノーベル文学賞を受賞した時は、「ノーベル賞の半分は、サイデンスティッカー教授のものだ」として賞金の半分を渡している。
『眠れる美女』は、形式的完成美を保ちつつ、熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の逸品である。デカダン気取りの大正文学など遠く及ばぬ真の頽廃がこの作品には横溢している。
石田衣良も「川端康成の最高傑作」としているのは知らなかった。
2025年03月16日
谷崎潤一郎賞受賞作
「ごく平凡な中年夫婦が、船旅の途中で海難事故に遭い、どことも知れぬ無人島に流れ着く。やがてそこに(中略)23人の青年たちが(中略)やはり漂流してやってくる。そして更に、ホンコンと呼ばれる謎の中国人男性が11人、ボートで島に置き去りにされてゆく。夫婦の妻である『清子』以外は、全員が男性である。彼ら島をトウキョウと名付け、それぞれに生活を始める」(解説)
という話。当然、主人公は、32人中の島民中たった一人の女である清子。その設定が絶妙。
12:今年で46歳になったが、髪が薄くなった以外、衰えはない。そんな自分を巡って、どれほどの死闘が繰り広げられたか。清子はまたしても笑いを浮かべた。人が死んだり、怪我したり。これほど男に焦がれられた女が世界に何人いるだろう。
「忘れかけていた自らの『女』をいやがうえにも意識させられることになった彼女は、セックスを武器に、トウキョウの女帝として君臨していく」(解説)。そこには、軟な現代日本の揶揄も入っている。
18:トウキョウ対抗したくとも行動が付いていかない。というか、やり方がわからないのだった。その点、ホンコンにはヤンというリーダーがおり、誰もがヤンの命令に従って動いていた。11人の男たちはヤンを頂点とした、サバイバルのための軍隊だった。
2025年03月15日
亀田総合病院
2000年初版の古い本だが、最近どこかで誰かが記事を書いていたので、読んでみる。同年に映画化もされている。
主人公はバブル経済崩壊で会社を潰してしまった元不動産会社社長。バブル期には羽振りが良く、運転手付きのベンツで、友達を引き連れ銀座で豪遊していた。それが、倒産後、クモの子を散らすように人は寄り付かなくなり、数百万円はただ酒を飲んでいたであろう友達も、そんなことは忘れたかのように振る舞う。
そんな時、心臓病を患う一人暮らしの母親が入院。主治医は、心臓の3本の冠動脈すべてが動脈硬化で狭窄しており、手術も無理と匙を投げる。しかし、「この人なら手術できるかも」と紹介されたのが、千葉の「鴨浦」にあるという「サン・マルコ記念病院」に勤める米国帰りの外科医。もちろん、架空の病院だが、勝浦の亀田総合病院がモデルであることは明らか。
2025年03月09日
新大久保駅事故
2001年1月に新大久保駅で起こった人身事故。線路に転落した男性を助けようと韓国人留学生・李秀賢さんとカメラマンの関根史郎さんが犠牲となった。報道では、異国で犠牲となった韓国人留学生に関心が集中した。たくさんの見舞金が釜山のご両親に届けられ、それを基に日本留学生のための奨学金も作られた。李さんが留学していた日本語学校には寄付で記念公園ができている。
その一方で、関根さんの方は忘れられた感があった。この本を読むまでは。主人公の世之介は、大学卒業後カメラマンになる。そして(作中では代々木駅となっているが)韓国人留学生と共にこの事故で死ぬのである。世之介のモデルが関根さんなのは間違いない(と法政大学・田中総長も書いている)。
韓国紙の特派員も後から調べようとしたが、関根さんについての資料が少なくて、詳しいことは分からなかったという。
関根さんは1953年、神奈川県川阪市に生まれ、大学で写真学を専攻し、写真作家として活動していた。彼の写真集には山や花、子どもが特に好きだと記されている。当時は70代の老母と共に暮らしていた。事故直後、シン(李さんの母親)さんが関根さんの母親に電話をかけ、哀悼の意を伝えたという新聞記事が残っている。
2025年03月02日
紫綬褒章
10年前に紫綬褒章を受章した桐野夏生。
主婦の犯罪を描いた「OUT」で、「殻を破ったかな」と手応えを感じ、作家としての自由を得た。(日経新聞インタビュー2015)
という。
2025年03月01日
日本推理作家協会賞1998
先日来読んでいる桐野夏生。90年代たくさん来ていた日系ブラジル人の出稼ぎ。その後の円高で工場は海外に移転し、国内製造業が衰退。彼らの多くは帰国した。一方、親に連れられて来日、日本で育った子供たちの中には日本に定着した人も居る。
働き者の女房は便利な存在だが、怠け者の夫にとっては目の上のたんこぶにもなる。(中略)ヨシエが姑によく仕え、家計を助けて内職をしたり、家のことを一生懸命やればやるほど、夫はヨシエを鬱陶しがったものだ。
2025年02月23日
ドナルド・トランプの創り方
羽田からマニラまでのANA機中で見たのは話題の新作映画「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」。アプレンティスとは「見習い」。ドナルド・トランプが2004-17まで主演していた人気TVシリーズのタイトルでもある。決め台詞は、「お前はクビだ!」
その名の通り、若きドナルド・トランプが父の経営する不動産会社で下っ端として働いていた時から話は始まる。当時のトランプにはまだ常識と恥じらいがあった。法律違反をしていた会社はNY市から訴えられるのだが、そこで頼ったのが悪名高い弁護士ロイ・コーン。ロイは盗聴などで相手や裁判官の弱みを握って、不可能と言われた裁判を勝ってきた。
ロイから「勝利のための3つのルール」を学んだトランプはやがて、ロイの下から巣立ち、ロイを凌ぐ「キラー」になっていく。
2025年02月09日
桐野夏生の「最も好きな小説」
最近よく読んでいる桐野夏生が「最も好きな小説」と言っていた『鍵』を読んでみる。
ハッキリとは書かれてないのだが、文脈から主人公は大学教授。それも、住んでいるのが「左京区吉田牛ノ宮町」とあるから、京都大学という設定。
そこで主人公が思いついたのが、妻に言い寄ろうと、なにかと理由をつけて自宅に来る大学の若い独身教員にわざと隙を見せること。10:僕ハ今年56歳(彼女ハ45歳ニナッタ筈ダ)ダカラマダソンナニ衰エル年デハナイノダガ、ドウ云ウ訳カ僕ハアノコトニハ疲レ易クナッテイル。正直ニ云ッテ、現在ノ僕ハ週ニ1回クライ、
25:妻ハ随分キワドイ所マデ行ッテヨイ。キワドケレバキワドイ程ヨイ。
なるほど、この辺の人間の複雑で深くてずる賢いドッキリする心理描写は桐野夏生に共通している。映画化もされたようなので、機会があれば見てみたい。
解説:山本健吉大胆な性の叙述が大きな反響を呼んだ。議会でさえ問題とされ…過去におけるもっとも厳粛な哲学的思索といえども、彼が性の陶酔という方法で到達したこの永遠の瞬間の追求であったという点で、変わるものではない。
2025年02月01日
「週刊 佐藤優」
ちょっと前の本だが、二人の共通点が「ネットは最小限、アナログ重視」ということ。これも共通なのが、「iPhoneも持っているが、通話はガラケー」ということ。まぁ私も、そもそも通話で使うことがほぼないのでガラケーは持ってないが、これに近いかも。ネットを使うのは主に友人とのSNSと特定のYouTube番組。
2025年01月02日
PERFECT DAYS
観始めてすぐに、あれ、これは何でシネマサイズではなくて、スタンダードサイズ(4:3)なのだろうと気になる。昔のTVのサイズだ。
主人公は若い時からの習慣を何十年も変えず、今もカセットテープの音楽を聴き、フィルムカメラで写真を写し、DPEで現像する。スタンダードサイズで撮っているのもそれに関係あるのか?
主人公が無口なのと、淡々と流れる日常風景は、小津映画を彷彿とさせる。調べてみると、はたして、ヴェンダース監督は小津安二郎に私淑していたという。主人公の名前「平山」も、『東京物語』の主人公から取っている。
「私の偉大な映画界の師、小津安二郎の祖国である日本の代表としてアカデミー賞に参加できることを大変光栄に思います。『PERFECT DAYS』は彼の魂に導かれた作品です。この作品がノミネートされたことは、私にとってこの上ない喜びです」(ヴィム・ヴェンダース)
2024年12月31日
燃え殻
確か、百万年書房の北尾さんが褒めていたのを年末になってやっと読んでみる。
13:この世界はまるで沈み逝くタイタニック号のようだ。なんとか生き延びようとする人々。人をかきわけボートを探す群衆。この期に及んでまだ権力に固執する輩。静かにその時を待つ老人。絶望の淵で結ばれる男女。最後まで演奏を続ける表現者。
本書は作者の自伝的作品らしい。2人は90年代半ば、インターネットサービスが日本で始まる前に雑誌の文通コーナーで知り合う。
14:彼女はボクの頬を両手で包んでキスをしてきた。
「東京タワーって、スカイツリーよりエロいから好き」
今では思い出すのも難しいが、携帯電話も普及して無かった。
28:携帯を持っていなかった時代の待ち合わせは命がけだ。家を一回出たら最後、あとはお互いの信頼関係しか頼みはない。初めての彼女との出会いで、主人公の人生は大きく変わる。それまではまともな仕事につかないまま、エクレア工場のアルバイトを続けていた。
40:彼女と出会った日、ボクは止まっていた自分の人生の秒針がカチカチカチと動き出したことを確信した。決断力のある人間に見られたくなった。行動力のある人間だと信じして欲しかった。彼女の前では、自分に正直な人間になるよりも、自分が憧れる人間になりたかった。生れて初めてボクは頑張りたくなっていた。そうして転職したのが、テレビ局に番組のテロップを作って届ける会社。まだ出来たばかりで、最初のアルバイトだった。
46:時給は800円。勤務時間は朝9時から夜12時。休みは週に1回。福利厚生という言葉は社長もボクも知らなかった。というのも、実は広告の専門学校を出ていた。なんとなくメディアの仕事に興味を持っていたことを思い出したのだ。
63:広告の専門学校(入谷)
何事も続かず決めることができない人間たちが集まって、また同じ過ちを繰り返した。ただそれだけのことだった。
2024年11月09日
医療過誤
主人公は医療過誤事件を専門にする弁護士。もともと、原告側で医療過誤を起こした病院や医師を訴える立場だったが、ある事件で、無実の医師を裁判で追い込んで自殺させてしまったのを機に、逆に被告側で病院や医師を弁護する立場に転じる。
タイトルから、ブラックジャックがごとく一見悪徳だが実は社会派というキャラ付けなのかと思ったら、終始一貫真面目な仕事ぶりで、ガツガツ稼ぐ弁護士という印象はなく、タイトルとの繋がりはナゾ。
2024年08月25日
骨髄移植
6月の丸亀高校東京同窓会で、「本屋大賞」発案者であり現在も理事を務める原俊彦さんの話を聞いた。これまでも同賞受賞作はたくさん読んでいたのだけど、これを機に、読んでいなかった本を読んでみる。
本作は映画化され(なんと、本屋大賞受賞作は全て映画化されているという)、映画の方は見ていた。しかし、原作を読んでなかったのだ。映画はほぼ原作に忠実。とはいえ、300p近い大作(字も小さい)であり、削られている部分や変更されている部分もある。
話の軸になっているのは、骨髄移植。白血病はドナーから骨髄移植を受けるしか完治する方法はない。ドナーと患者との適合性が問題で、他人の場合、その確率は数百分の一から数万分の一だという。作中では、ドナーになれるのは「50歳以下」であり、そのために、主人公は自殺を止め、自首してもう1年生きることを決める。
今回調べたところ、この年齢制限は「54歳以下」に変わっていた。以前より4歳延びたようだ。
24:取調べは一冊の本だ。被疑者はその本の主人公なのだ。彼らは実に様々なストーリーを持っている。しかし、本の中の主人公は本の中から出ることはできない。こちらが本を開くことによって、初めて何かを語れる。
2024年04月13日
関東大震災の知られざる悲劇
昨年9月は、1923年の関東大震災から100周年記念であった。その時の関連報道で初めて知ったのが「福田村事件」。現在の千葉県福田村(現・野田市)で、香川県からやってきた売薬行商団一行が朝鮮人と間違われ、親子連れも含めて16人も村民に虐殺された事件である。加害者が一般住民であること、被害者が無抵抗の行商団であることなど、特異な事件であるのに、長い間忘れ去られていたのはなぜか。
調べてみると、犠牲者は全て私の出身地である三豊郡(現・三豊市)から遠い千葉県まで売薬行商に来ていた。以前、東かがわ市にある帝國製薬で、戦前の行商人の資料を見たことがあるが、そこの製品も仕入れて売っていたのかもしれない。
戦前の香川県で、それほど売薬行商が盛んだったとは知らなかった。何しろ、その人数が大阪府に次いで全国第2位。大阪府の方が何倍も人口は多いので、人口当たりなら全国一だろう。私が地元で育っていたころは、まだ、富山の薬売りが年に一度来ていた。その富山県は全国第4位。富山の薬売りが「置き薬」に特化していたのに対して、香川の薬売りは「売り切り」だったらしい。
2024年04月10日
ことばはどう生まれ、進化したか
2024年02月25日
ノワールの傑作
「ノワールの傑作」と解説(馳星周)にある。ノワールとは「人間の心の暗い側面、邪な断面を描く」小説。
東野圭吾はふたりの内面を一切描かない。ふたりの動機すら描かない。ふたりは、彼らを取り巻く人間たちの視点を通してのみ描写される。人は他者の心を読むことはできない。他者の視点を通じて描写されるのは、したがって、ふたりの行動のみということになる。事件は1973年から始まり、主人公の二人は小学生というから、私と同世代。舞台は、大阪の貧しい地区だ。ふたりが陥った落とし穴は、担当した刑事が定年退職するまで19年掛かってようやく明らかにされる。しかし、その間にもふたりの周りの人間は次々と犠牲になっていく。
537:「彼女は一見すると、そんなふうに見えます。苦しいことや辛いことをじっと我慢して乗り越えて、懸命に笑顔を作っている、そういう印象を人に与えます」
彼女の場合は、「家庭環境に恵まれなかったからかも」という理由を読者に与えるが、実際は、同じ環境でもそうならない人が普通なので、サイコパスだろう。サイコパスは家庭環境には関係なく発生している。
2024年02月24日
創世記
1960年代に一世を風靡したサルトルの「実在主義」。そのエッセンスは、「そもそも人間は何者でもなく、何者であるかは人間によって決定されていく」ということ。
これは日本人なら普通の感覚で、「それがどうした」である。しかし、これは日本人には「神がないから」で、西欧のキリスト教文明社会にとっては、革命的であった。なぜなら、創世記では神が人間の本質を決定し定義を与えており、「本質が実在に先立っている」からである。
このように、
226:この世界も、人間も、人間のモラルも、ひいては人間が作り出す社会の掟も、すべて神の意志によって始まった。
とするのが、創世記の「天地創造」なのだ。この点は、旧約聖書を共通の聖典とするユダヤ教もキリスト教も同じ。では、両者の違いはどこかというと、ユダヤ教は救世主の到来を預言したが、イエスを救世主として認めていない。ユダヤ教の見解では、まだその人は現れておらず、その点がイエスを救世主としたキリスト教との根本的な違いになっている。
347:旧約聖書の構成はするめに似ている天地創造からアダムとエバ、カインとアベル、ノアの箱舟、バベルの塔までが、するめの頭(神話的な内容)。アブラハムから歴史的な内容=するめの胴体アブラハムからイサク、ヤコブ、ヨセフ、モーセ、ヨシュア、そしてダビデ、ソロモンへと、系図を追うように重要人物が登場し、すっきりとした構成。このあと国は分裂し、聖書の記述もややこしくなる。歴史の流れを追っているような部分があるかと思えば、詩編、箴言、雅歌など詩歌名言を集めた部分もあり、さらにぞろぞろと預言書が続く。=するめの足のように、今までと趣の異なるものが枝分かれして並ぶ
2024年02月22日
2024年02月17日
タイタニック条約
英「1894商船法」成立後の最大の事故が1912年4月15日に北大西洋で派生したイギリス船籍の汽船「タイタニック号」の沈没事故。直ちに、大法官(Lord Chancellor)が海難委員を任命し、大臣が5名のアセッサーを指名した。
39:イギリスにおける事故調査制度の確立1846英国で法令化→1852仏、1877独1876日本
60:1912タイタニック号事故調査「氷山との衝突によるもので、それは航行の速力が過剰であったことによってもたらされたもの」・氷山の存在に関する5つのメッセージを受信したが、そのうちの2つはブリッジに届かなかった(電信室は、船客の電報の受発信に忙しく、放置)・船会社間の競争+乗客の早く着きたいという要求→「スミス船長を非難することはできない」(タイタニック号の場合は、単に誤り(mistake)、今後は確実に過失(negligence)
それでも、報告書では、「スミス船長のしたことは、彼の立場にあればどんなに熟練した船長でも行ったことにすぎないので、スミス船長を批判することはできない」としている(スミス船長はタイタニック号とともに水死)。事故調査委員会は、その趣旨に沿って、誰の責任かを問うのではなく、再発防止策を政府に勧告する。
さらに、英国は、その事故調査に基づいて、翌1913年、ロンドンで国際会議を開催する。これが初めての海上安全についての国際条約となる。65:勧告の内容・水蜜区画構造新たに設置された隔壁委員会が審議報告し、それに基づき商務省が規制の立法措置。・救命ボート・ラフト配備基準 トン数→乗船人員数ボートには推進装置、信号装置、コンパス、食料・救命ボート要員と訓練
66:1914SOLAS条約(タイタニック条約)船舶構造、救命及び消防設備、無線電信設備等に関する規定。
2024年01月27日
バタフライエフェクト
小松左京の傑作SF小説『日本沈没』。原作がいいので、何度も映画化されている。スティーヴン・キングの本書でも、「日本の四つの島が沈んだ」というパラレルワールドが描かれている。『日本沈没』とは違い、こちらは北海道が沈む。
399:「三つは小さな島だが、北海道も消えてなくなった。四年前に、まるでエレベーターみたいにすとんと海の底へ沈んじまったよ」
そして、こちらの世界では「バタフライエフェクト」により、米軍がヴェトナム戦争で原爆を使用。指揮したのは、「副大統領のカーティス・ルメイ」ということになっている。太平洋戦争で日本の都市無差別爆撃を計画し、実施した男で、その後の朝鮮戦争では国連軍を指揮したマッカーサーに原爆使用を提案。マッカーサーもそれに乗ってトルーマン大統領に許可を求めたが、北朝鮮の後ろ盾になっているソ連との全面戦争になることを危惧したトルーマン大統領がこれを却下。逆に、マッカーサーを罷免して、彼は占領下の日本から帰国することになった。
実際に、日本沈没の危惧があるかといえば、日本列島は世界で唯一4つのプレートがぶつかるところで、造山活動が盛ん。今回の能登地震でもそうだったように、地震の度に隆起する場所の方が多い。万年単位で見ればプレートテクトニクスが変わってくる可能性もあるが、千年や二千年では心配はなさそう。400:1969「ハノイ地獄」以来、合計28だか29の原爆が爆発VAのヤンキー原子力発電所でチャイナ・シンドローム。
もちろん、沈まないと言っても、大地震による被害は深刻。南海トラフ巨大地震も首都直下型地震もいつ来てもおかしくない。さらには、温暖化による海面上昇はじわじわと進んでいる。10mも高くなると、経済活動の大半が行われている平野部は多くが海面下となる。
2024年01月26日
1960's
ダラスの人には悪いが、どうも、キングはダラスが好きではないらしい。小説ではあるけれど、このケネディ大統領暗殺で世界中に有名になった(そして、それ以外ではほとんど知られていない)都市を、人種差別者の多い、所得格差の大きな街として描いている。
かくゆう私も、ダラスはケネディ暗殺現場博物館を訪れただけ。事件の印象からか、長居する気がせず、そのままオースチンに車で向かった。
2024年01月21日
警察史上初めての全国一斉捜査
この事件は、警察史上初めての全国一斉捜査だったという(1963/12/30-31)。5300人の警察官と2800人の鉄道公安官を動員して全国一斉に、容疑者榎津が潜んでいそうな宿や馴染みのある立ち寄り先を捜査した。
それまでに全国鉄道網はあっても、普通、犯罪者はあちこちに移動しながら犯罪を犯すものではない。60年前の当時、田舎に行けばまだ地域社会がしっかりしているから、よそ者が不審な動きをしていれば目立つ。車もまだ普及してないから、庶民の脚は鉄道とバスだ。
しかし、榎津の場合は、子供の頃から「千一」(千に三つも本当のことを言わない)とあだ名されたほど、天性の噓つきの才がある。初めての土地でも巧みに取り入って、逃亡のために窃盗を繰り返しながら、必要とあれば殺人もしていた。
324:ふつう殺害を自供するときは、脂汗と涙と鼻汁で、顔面はぐじゃぐじゃになるが、榎津は表情を硬くしているだけ。しかも、驚くべきは、鼻唄を口ずさんでいる。
2024年01月20日
ノンフィクション・ノベルの金字塔
「列島を震撼させ、捜査陣を翻弄し続けた稀代の凶悪・知能犯罪を緻密な取材で再現したノンフィクション・ノベルの金字塔」と帯にある。直木賞受賞作が改訂新版としてよみがえった。
3件の連続殺人事件(5人死亡)とその間に数多くの詐欺事件が起こっていたのは、ちょうど60年前で、私が生まれたころ。そんな時に、歴史上初めてとなる「全国一斉捜査」の重大事件が起こっていたとは知らなかった。
犯人は榎津巌で、長崎五島出身の両親のもとに大阪で生まれ、福岡と別府で育っている。ミッションスクールの時からあだ名は「千一」で、その由来は「千に三つも本当のことを言わない」「口から出まかせばかり」だったという。
ミッションスクールでの全寮制の厳しい生活に耐えられず、中退。直後に窃盗の初犯で検挙され、少年審判所で保護処分となっている。さらに翌年には、詐欺罪で懲役刑となり、岩国少年刑務所で服役。終戦は岩国から移された横浜少年刑務所で迎えている。
戦後見合い結婚するが、その後も、恐喝や詐欺罪で服役を繰り返している。戦後の3回の服役で10年、戦時中の少年刑務所が3年。
その榎津巌が最後に起こしたのが、それまで一度もやっていなかった連続殺人強盗事件。殺しては金品を盗んで、逃亡資金に充てている。
2024年01月14日
世界最大の海難事故
タイタニック号が発信したSOSが世界最初だったとは!1906年第1回万国無線会議で制定されてから5年間も使われていなかった
1999年GMDSに代わり、SOS廃止。2024年01月13日
2024年01月06日
天皇の軍隊
中国人民解放軍は共産党の軍隊で、国民軍ではない。だから、共産党の脅威になると思えば、自国民にも銃を向けるわけだが、笠原氏は戦前の日本軍も「天皇の私兵」であったという。
確かに、大日本帝国憲法で陸海軍の最高指揮官は天皇であった(統帥権)。そして、それは首相が最高責任者となる国務からは独立しているとされていた。憲法の規定が違うものなら、戦争は起こらなかったのか、あるいは違う結末になったのかどうかは分からない。468:1から10まで天皇の軍隊。市民の軍隊ではなかった。太平洋戦争は、そのために起きた悲劇。
483:ミッドウェー海戦ドゥリトル航空隊が東京に初めて空襲→山本が急遽立案訓練不足&定期の人事異動でそれまでの乗組員が交代!それで探索機が雲の上を飛んでしまって敵空母を見逃す。攻撃隊の指揮官は、直前まで陸上で教官。
479:アメリカは、陸軍も海軍も、爆撃機も戦闘機も、全部同じ規格でつくる戦闘機の車輪が壊れたら爆撃機の車輪を外して使える。日本は全部、違う。陸軍、海軍はもちろんのこと、制作会社〜三菱、中島とかによっても違う。全部規格が違うから、昭和18年のガダルカナル戦の時、日本のラバウル基地にあった飛行機のほとんどは使い物にならなかった。
2024年01月05日
『大日本帝国』
政治観によって、自分の考えと相いれないところに敏感になるようだ。455:『大日本帝国』明らかな反戦映画なのに。黛敏郎「これは非常に巧みに作られた左翼映画」山本薩夫「これは非常にうまくつくられた右翼映画」
2024年01月01日
やくざ映画
昭和が終わってからトンと見ないのが「やくざ映画」。暴力団など反社会的勢力の排除が本格的に進められ、やくざを全面称賛ではないにしろ、ヒーロー的に扱うのは難しくなった。
やくざ映画が全盛だったのは、1970年代。それまで製作されるものの、「傍流の傍流」という扱いだったやくざ映画が市民権を得たのは、三島由紀夫がある映画を絶賛してからだという。
2023年12月30日
日本最大の脚本家 笠原和夫
映画が最大の娯楽であり唯一の動画メディアとして、最も輝いていた昭和の時代。その時に最も多くの脚本を書いたのが笠原和夫。その数、昭和33年公開の「母つばめ」から平成3年公開の「福沢諭吉」まで実に112本。実際は、その後も「仰げば尊し」と「真珠湾」を執筆しているが、両方とも製作中止となっている。
本書はその笠原和夫の脚本家人生に焦点を当てた本で、笠原と荒井晴彦との作品を振り返る対談が中心。初版2002年で、2021年の「復刻版」を読んでみる。
2023年12月23日
在日コリアン四世代
韓国系アメリカ人作家による在日コリアン四世代を描く長編小説。「全米図書賞」最終候補作で、英語の原著が世界各国でベストセラーとなった。2020年に出た邦訳を読んでみる。
物語は1910年、日本が大韓帝国を併合したときに始まる。上巻の前半の舞台は釜山の沖に浮かぶ影島(ヨンド)。今は釜山と橋で結ばれているので、気軽に行ける。
後半の舞台は大阪・生野の韓国人街。観光地化が進んだ今の生野とは全く別の戦前から戦後にかけての極貧にあえぐ街だ。
323:北朝鮮
2023年12月17日
スティーヴン・キング
話はタイムトラベルもの。現代から1958年に通じるタイムトンネルがメイン州の田舎町のダイナー奥にあったという設定。
主人公はメイン州の高校で英語を教える教師…というのは、キング本人と同じ。1974年に『キャリー』で作家デビューするまで、キングはメイン州の高校英語教師だった。
2023年12月16日
加害者の男と被害者の女
『悪人』の吉田修一による作品。こちらも映画化された。
『悪人』と共通するのは、犯罪を巡る加害者の男と被害者の女の不思議な関係。「不思議」と書いたが、そうなってしまえば必然のような気もする。
面白いのは、原作と映画ではエンディングの解釈が違うということ。それは、「原作者でさえ自分の価値観がガラッと変わった」という。
2023年12月09日
トンビが鷹を生む
時代は昭和37年。舞台は広島県の架空の街「備後市」。備後で一番大きな海沿いの街というから、これはもう福山市だろう。
その年、主人公ヤスに待望の子どもができる。ヤスは高卒で、地元の運送会社で働いている。
16:名づけ男だったら、小林旭の「旭」女だったら、吉永小百合の「小百合」
旭は勉強ができ、県立の進学校に入学。その時の受験が、また、当時の地方受験生の典型なのだ。
239:国立は、広大を受けるけん。そのかわり、私立は東京の大学しか受けん。できれば早稲田、がんばって受けてみたいんよ」
そして、無事、早稲田大学法学部に入学した旭は、学生時代からバイトしていた出版社に就職。雑誌編集に携わる。この辺は、同じく昭和38年岡山県生まれで(早生まれなので、学年は旭の設定と同じ)、早稲田卒(ただし、教育学部)、出版社勤務を経て小説家となった著者と重なる。自伝的作品なのかもしれない。
2023年11月29日
高度成長による社会の変化
後に映画化もされた立松和平の『遠雷』。代々農業で暮らしてきた村に、県が住宅団地と工業団地をつくる計画を立てた。都市がどんどん拡大し、人々は住宅と工業用地を求めたのである。
主人公の農家でも、農地を売ることにする。村中が用地買収に応じた。一家は工業団地に進出してきた製菓工場で働きだす。言われたことをやるだけの単純作業だ。仕事はつまらない。
「金は通帳にうなっていたので我慢して働くことはなく、三人は話し合って同時に辞めた」
暇になった父親は開発後にできたスナックに入り浸り、そこの女と同棲を始める。母親は家で居るのに耐えられなくなり、土方仕事に出て、交通整理の旗振りをやる。息子の満夫は、「かろうじて残った草だらけの土地にビニールハウスをつく」り、農業に向き合おうとする。
2023年11月26日
りんかい
最初の職場が浜松町。駅から空中廊下を延々渡ったところにある高層ビルで、住所は芝浦1-1-1。昔は東芝ビルディングと言ったが、東芝の経営危機で野村不動産に売却し、今は浜松町ビルディングというらしい。
本小説の舞台は、そこから湾岸沿いに南に下った品川。品川駅を超えてしばらく行くと、品川ふ頭の倉庫街になる。25歳の男はその倉庫の一つで、ガントリークレーンを操作したりフォークリフトを運転して荷物を積みかえたりしている高卒の作業員。
女は28歳で、品川ふ頭の向かい、お台場にある外資系石油会社(といえば昭和シェル)の広報で働いている。東京湾の海底トンネルを通るりんかい線ができるまでお台場から天王洲までは、ゆりかもめで新橋に出て山手線に乗り換え。隣の浜松町駅からモノレール羽田線に乗る必要があり、1時間弱掛かったと思う。
それが、1996年のりんかい線の開通で、東京テレポート駅から天王洲アイル駅までたった一駅、3分で行けるようになった。時代はそのりんかい線開通を挟んだ1990年代半ば。携帯電話はまだ普及し始めたばかりで、アナログ通信。しばしば聞き取りにくかった。
2023年11月04日
2023年11月03日
大島渚の死のショック
『本音を申せば』の続編。とはいえ、もう9年前の本になる。
当然、その頃の映画は私は小さすぎて見ていない。私にとっての大島渚は、「戦場のメリークリスマス」から。21:大島渚1954年に松竹大船に入社し、松竹の伝統とは正反対の「愛と希望の街」で監督デビューしている。翌年、「青春残酷物語」、「太陽の墓場」、「日本の夜と霧」と立てつづけに3本作るが、「日本の夜と霧」の封切4日目に<社会党委員長浅沼次郎刺殺事件>が発生し、それを理由に、松竹は上映を中止する。
東京五輪についても言及。当時、まだ東京開催は決まっておらず、誘致活動を安倍政権と電通がやっていた時。26:「戦場のメリークリスマス」のデヴィッド・ボウイ役は、はじめ、ロバート・レッドフォードのつもりだった→「このシナリオでは自分は出られない」「オーシマの映画の作り方はよくわかるし、そういう作り方をするオーシマを尊敬するが、率直にいって、アメリカの映画の観客は、アタマの15分でわからないと出て行ってしまうし、そういう映画しか観にこない」
マイナスばかりの東京五輪55:コワいのは、じわじわと<オリンピックは東京で!>という幻想をひろげていき、原発をはじめマイナスの多い日本の材料をひっくりかえそうという人々、幻想のひろがりによって利益を得る人々がいる、という事実だ。
2023年08月27日
江戸川乱歩初期短編代表作
江戸川乱歩の初期短編代表作と言われる『芋虫』は、昭和4年1月に発表。
太平洋戦争にはいる直前に、私の多くの作は一部削除を命じられたが、全文発売禁止となったのはこの「芋虫」だけであった。(自註自解)それは、戦争で肢体を失った傷病兵が、帰国して、妻と二人の生活を始める話。聴覚も声帯も失い、かろうじて眼だけが見える。重傷を負いながらも、食欲と性欲は盛んなのだ。2010年「キャタピラー」として映画化され、寺島しのぶがベルリン映画祭最優秀女優賞を受賞した。
それはまるで、大きな黄色の芋虫であった。
非現実なロウソクの光がからだ全体に無数の柔らかい影を作った。胸から腹の表面は、砂漠の砂丘の写真のように、陰ひなたが、雄大なるうねりをなし、からだ全体は、夕陽を受けた奇妙な白い山脈のように見えた。
2023年08月09日
NHK BSPには映画マニアがいる?
160:このセクションに、映画の選出で誰かマニアックな腕を振う人がいると見たはヒガ目か?
2023年08月08日
映画「日本の夜と霧」
たった4日間で上映が打ち切られた大島監督映画があったとは。「全学連の動き、というよりも、その中での共産党の動きを批判するために作ったもの」ということだが、おりしも社会党の浅沼稲次郎委員長が右翼少年に刺殺され、事件を誘発しかねないと上映中止に追い込まれた。
大島監督はこの要請に屈した会社に抗議して、松竹を退社。再上映されたのは3年後。つまり、1960年安保闘争が終わり、高度経済成長期が始まって、政治の時代から経済の時代になった時だった。
2023年08月04日
志村けんの魔法
業界人だったら誰でも知っていたらしいが、ジャニーズの性被害事件と同じで、当時としては、「あっても当然」だったんでしょうね。今では、SNSでチクられて、終わり。
100:いかりや長介の付き人のころから、16歳の専門学校の学生と同棲していた
2023年08月03日
2023年08月02日
2023年08月01日
週刊文春2019
太宰作品を全部読んだわけではないが、読んだ中で一番好きなのは、戦時中に故郷に戻った経験を基にした『津軽』。
2023年07月31日
週刊文春2018
「スター・ウォーズ」は黒澤明「隠し砦の三悪人」のパクリというのは、公開当時から映画関係者の間では有名だったらしい。ジョージ・ルーカスはそれを黒澤明に断っていなかった。
114:姫の輸送、滑稽な2人組。のちに、黒澤明の訪問を受けたジョージ・ルーカスが慌てていた。
尤も、黒澤明は、それを自作へのオマージュとして不問にした。





































