LBS同窓会
2024年05月21日
自己改革を続ける組織の条件
ウェスチングハウスの組織の特徴として、「きわめて権威的」とある。それを大枚はたいて買ったのが東芝。結果的に、ウェスチングハウス倒産のあおりで、自社までが経営危機に。買収に当たっては、対象企業の組織風土も重要。
ABBの場合は、同社の送変電・配電事業を買収して、見事に組織風土を変えて見せた。グループ全体ではなく、事業買収だったこともやりやすかった一因だと思われる。
新装日本語版への序文:「目的・経営プロセス・人」の哲学に立ったより豊かなビジネスモデル
2004年3月スマントラ死去 才能豊かで、独創的で、知的活動が旺盛な経営思想家
3:ウェスチングハウス
第一級の人材を雇用し、最高のマネジメント教育。しかし、きわめて権威的な組織によって、彼らは身動きが取れなくなり、そうした投資は無駄に。
13:マネジメントの再発見
ABBが送変電・配電事業を買収
15:ABB=企業を可能な限り簡素化し、現地化
300億ドルの多角化されたグローバル企業⇔200人程度の組織x1200社の集合体
2023年09月03日
子規庵
著者の山田さんはロンドン大学各カレッジ同窓会の連絡会である「ロンドン大学会」で知り合った、インペリアルカレッジ修士。かのSir Brian Mayがかつて学部生・大学院生として通い、30年後に戻って来て博士号を取った理系の名門である。山田さんは山之内製薬からの会社派遣だったという。修了後は、英国、仏国で駐在した国際派。
在職当時、ジャズをプレーされていて、何度か聞きに行ったことがある(Drum)。しかし、退職後、俳句を詠んでいたとは本書出版のご案内を頂くまで知らなかった。子規庵(根岸)が気に入り、毎日散歩しながら詠んでいくうちに「退職してからの2年間で三千句」詠んだという(はじめに)。
8:月の下柳がゆれて梅一輪
35:梅雨を待つ紫陽花一輪雨のなか
87:暇あれば子規を弔い策を練る
2023年08月30日
和製バフェット
著者の奥野さんは、農林中金バリューインベストメンツの取締役CIO(最高投資責任者)。LBS同窓生である。2007年より「長期厳選投資ファンド(おおぶね)」の運用をはじめ、2014年からCIO。
キーエンスは1974年の創業。私がジャフコで新入社員生活を送っていた1980年代後半には既に、「大阪に急成長している会社がある」と話題になっていて、大阪支店から報告が上がっていた。オーナー社長の滝崎さんは超合理的な経営者。
それまでに2社会社を興して2回の倒産を経験しており、キーエンスが三度目の正直。それだけに、「個人に頼らない経営」を当初から目指していて、経営者が一人で稼ぐのではなく、誰がやってもできる仕組み作りと、それが外部環境に合わせて日々高度化する仕掛けに腐心していた。
だから、キーエンスがこれだけの会社になったのに、創業者の滝崎さんは表に出ることを避け、既に4代目の経営者になっている。キーエンスの1年前に京都で創業したNIDECも大企業になったが、永守社長がカリスマ経営者と言われ、後継者問題に悩まされているのとは対照的。
『ビジョナリーカンパニー』でいう「レベル5経営者」で、日本で筆頭に上がるのが滝崎さんだろう。
はじめに:日本は確実に貧しくなっている
賃金は韓国やイスラエルよりも低くなり、労働生産性も先進国中最下位。
インフレになれば円の価値が下落し、購買力が下がる。
23:キーエンスが売っているのは「プロセスの改善」という顧客満足→平均年収2180万円
顧客自身も意識していない問題を発見し解決吸うために、キーエンスの営業担当者は現場の細かいニーズまで探り出せるよう鍛え上げられる。入社2年目までは毎日、朝一番に先輩とロールプレイングを実施。1日5件以上は顧客訪問して、スケジュールは分刻みで記録し管理される。
24:ラショナル(スチ−ムコンベクションオーブンで世界シェア50%)ドイツ
ラショナルのスチコン(100~300万円)を導入することは、熟練のシェフを一人雇うのと同等の効果。
68:強い企業の価値は複利で増大する
本当に強い企業というのは、投資に一定の資金を投入することによって、同業他社に対する競争優位をさらに高め、さらに大きな利益を持続的にあげることで、企業価値を向上させていく。
2023年04月14日
2023年04月13日
人も組織も、いますぐ変わるべきこと、変わらないこと
昨年、グラットン教授がコロナ後初めて来日。忙しい中、LBS日本同窓会でも講演。
私はグラットン教授がLBSで教え始めた最初の年の学生で、当時はまだ講師か助教授だったと思う。あれから33年
今でも第一線で活躍しているのが素晴らしい。
はじめに:人も組織も、いますぐ変わるべきこと、変わらないこと
私はグラットン教授がLBSで教え始めた最初の年の学生で、当時はまだ講師か助教授だったと思う。あれから33年
今でも第一線で活躍しているのが素晴らしい。はじめに:人も組織も、いますぐ変わるべきこと、変わらないこと
コロナ前の働き方を続けるのか、それともこれをきっかけに、仕事のあり方を大胆にリデザイン(再設計)し、仕事をより有意義でより生産的なものに変え、より機敏で柔軟性の高い働き方に移行するのか。
変革のプロセス「凍結・解凍」モデル(心理学者クルト・レヴィン)
平常時の組織「凍結」
外部からの脅威→「解凍」状態へ
パンデミックで、世界中の企業が同時に「解凍」プロセスを「集団的な経験」。
こうした選択をおこなう際に、自社のパーパス(存在意義)と能力について考える必要仕事のあり方を設計し直すことにより、どのようなパーパスを強化したいのか。新しい働き方をデザインすることを通じて、どのように自社の重んじる価値を追求し、生産性を高められるのか。自社のパーパスのために、いまどのような能力を育みたいのか。
2023年04月12日
「いばらの道」を選ぶな
「三つ子の魂百まで」では実証されているんですね

21:3歳の時に観察された性格は26歳の時に報告された性格の特徴と驚くほど共通していた。23年間にわたるNZでの1000人の子供研究。
5:弱点を直すことを中心に回っている世界で生きることには、もううんざりしていた。社会は常に人々の短所に焦点をあてる。世界中の人々は皆、その考えから離れられないようだった。しかし、私たちはもっと大事なことを発見した。短所ではなく長所を伸ばすことにエネルギーを注いだ方が、人は何倍もの成長を手にすることができるのだ。
6:毎日強みに取り組む機会がある人は、ない人よりも6倍も意欲的かつ生産的
13:欠点を克服することは私たちの文化の基礎
本や映画、そして昔話も、100万分の1の確率しかなかった大どんでん返しの話であふれている。このことは才能を存分に発揮している人を称賛するよりも、能力不足を乗り越えて人たちを祝福する風潮を生み出している。
16:何にでもなりたいものには「なれない」が、本当の自分を大きく飛躍させることが「できる」
19:「ほとんどの人は、自分が何が得意かを知っていると思っている。しかし、たいていは間違っている。・・・それでもなお人は、強みによってのみ何かを成し遂げることができる」(ピーター・ドラッカー)
2023年04月10日
強みを見出し、活かす
先月、「最高の人生」ワークショップを丸亀で開催。LBS同窓生の竹田さん他が講師。主催を私が担当し、参加人数が限られることから、公募はせず、私の知り合いだけに告知。
それに先立ち、私自身、ストレングスファインダーを知らなかったので、まず読んだのが、娘が職場で同診断を受けたときに買っていた本書。続編が出ているのだが、20年前に出たオリジナルの方。診断を受けるため、「新版」も買ったが、著者が変わり、内容も違う。ストレングスファインダーがどういものであるかについては、初版の方が詳しい。
はじめに
7:強み革命
自ら選んだ分野で並外れた才能を発揮し、常に満足を得るには、その強みのパターンを知らなければならない。
8:ちがいを活かす
従業員の性格や能力は一人ひとり異なる。
9:「最も得意な仕事をする機会に毎日恵まれているか」(Gallup調査63か国、101企業で働く1700万人以上の従業員)
・恵まれている 20%
12:すぐれたマネジャーの共通認識
/佑虜庸修楼貎佑劼箸蠧伴のものであり、永続的なものである。
∪長の可能性を最も多く秘めているのは、一人ひとりが一番の強みとして持っている分野である。

2023年02月17日
2022年09月10日
孤独と貧困から自由になる働き方の未来図
今ではすっかり日本でも有名になったリンダだが、その最初のきっかけになったのが日本語版として初めて刊行された本書。今から10年前だ。その後『LIFE SHIF』が大ヒット作となり、安倍政権のアドバイザーも務めた。
*2025年、私たちはどんなふうに働いているだろうか?
「漠然と迎える未来」には孤独で貧困な人生が待ちうけ、
「主体的に築く未来」には自由で創造的な人生がある。
末来を形作る5つの要因
1.テクノロジーの進化
2.グローバル化の進展
3.人口構成の変化と長寿化
4.社会の変化
5.エネルギー環境問題の深刻化
SHIFT
仕事の3種類の資本
|療資本
⊃妖資本
情緒的資本 自分自身について理解
1.ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
2.孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
3.大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
237:連続スペシャリスト
・専門技能の連続的取得
未来の世界でニーズが高まりそうなジャンルと職種を選び、浅い知識や技能ではなく、高度な専門知識と技能を身につける。その後も必要に応じて、ほかの分野の専門知識と技能の習得を続ける。
・セルフマーケティング
自分の能力を取引相手に納得させる材料を確立する。グローバルな人材市場の一員となり、そこから脱落しないために、そういう努力が欠かせない。
238:ゼネラリスト
ゼネラリストと会社の間には、社員がその会社でしか通用しない技能や知識に磨きをかけるのと引き換えに、会社が終身雇用を保障するという「契約」があった。大企業の多くはこのような「契約」を維持し、有望な若手社員向けの出世コースを用意する一方、社内の幹部候補生の層を厚くすることを心がけていた。
268:「場所」の重要性
中世の職人と同じように、私たちも学ぶべき点のある人たちのそばに身を置く必要性が高まる。どこで生活し、どういうコミュニティの一員になるかが、これまで以上に大きな意味を持つ。
303:ポッセ(頼りになる同志)
・比較的少人数のグループで、声をかければすぐ力になってくれる面々の集まり。メンバーの専門技能や知識がある程度重なり合っている必要。専門分野が近ければ、お互いの能力を十分に評価できるし、仲間の能力を生かしやすい。
・以前一緒に活動したことがあり、あなたのことを信頼している人たちでなくてはならない。知り合ったばかりの人ではなく、あなたのことが好きで、あなたの力になりたいと思ってくれる人。
308:ビッグアイデア・クラウド
自分の人的ネットワークの外縁部にいる人たち。友達の友達など。自分とは違うタイプも必要。数は多い方がいい。
345:1990年に息子を出産したとき、私はロンドン・ビジネススクールではじめて妊娠した教授だった。
2021年12月13日
SCP戦略
30年前にMBA留学していた当時は、ちょうどマイケル・ポーターに代表されるSCP理論とRBV(Resource Based View)がしのぎを削っていた時期。教科書はポーターの『競争戦略』で、それを教えていたのは『コア・コンピタンス』のギャリー・ハメルだった。
これは、どちらが正しいというのではなく、「時と場合による」。経済学の有名な前提として、「完全競争」仮説があるが、「完全競争」市場ではどのプレーヤーも儲からないところまで追い込まれるので、消費者の利益は最大になるが、参加企業は超過利潤を出せない。
経営学は、企業が「どうやって儲けるか」を考えるわけで、そのためには、「完全競争」仮説の反対の状況を作ればいいことになる。

35:儲かる業界、儲からない業界
SCP理論(structure-conduct-performance)
経済学で発展したSCPを「経営学のSCP」へと昇華させたのがマイケル・ポーター。
37:「完全競争」の条件
〇埔譴北疑瑤両さな企業がいて、どの企業も市場価格に影響を与えられない。
△修了埔譴紡彰覿箸新しく参入する際の障壁がない。その市場から撤退する障壁もない。
4覿箸猟鷆,垢訐宿福Ε機璽咼垢、同業他社と同質である。すなわち、差別化がされていない。
だ宿福Ε機璽咼垢鮑遒襪燭瓩侶弍鳥餮擦他企業にコストなく移動できる。
イ△覺覿箸寮宿福Ε機璽咼垢隆袷瓦幣霾鵑髻顧客・同業他社が持っている。
47:プラットフォーマーが生み出す、新時代の「独占」
ネットワーク効果〜ティッピング・ポイントを超えた後は、ネットワーク効果で独占に向かう。
2021年09月24日
消去による帰納法
今日、「感染予防の父」と言われるハンガリーの医師ゼンメルワイスの人生が悲惨。細菌やウイルスが発見される以前の19世紀前半の話だ。
ウィーン総合病院の勤務医だったゼンメルワイスは、病院での産褥熱による死亡率に悩んでいた。第一産科で出産した妊婦の産褥熱による死亡率は1割近くもあり、これは病院で出産しないケースよりも多かった。そして、同じ病院の第二産科での死亡率は低かったのである。
そこで、まず、第一産科と第二産科で何か違うのかの検討が始まる。最初に考えられたのは、死者が発生した場合に、その死者への祈りのために通る司祭だったそうで、遺体安置室に向かう際に第一産科の病室を通っていたそうだ。第二産科を通過する必要はなかったので、これが妊婦に何らかの心理的影響を与えることで、死亡率が高いのではないかという見解である。
そこで、ゼンメルワイスは、司祭が遺体安置所に向かう経路を変更し、第一産科の病室を通らないようにした。だが、結果は全く変わらなかった。
次に、この問題を調査するために制定された委員会は、第一産科の医学生の粗雑な診察によるものだと結論付けた。ゼンメルワイスは医学生の診察を観察したが、第一産科と第二産科での違いは認められなかった。また、委員会の報告に従って、医学生の妊婦に対する診察を最小限にしたにもかかわらず、死亡率は減少せず、かえって上昇した(1846)。
1847年に、彼の同僚が検死解剖を行っていた際にメスで刺し傷を負い、その後、産褥熱と同様の症状で死亡した。出産してないのに産褥熱で死んだわけで、ゼンメルワイスは、出産そのものに関係のない別の原因があるのではないかと考える。
実は、第一産科の医学生たちは、検死室で解剖を行ってから診察しており、第二産科の医学生たちは、死体の解体による解剖学の教育は行われていなかった。そこで、ゼンメルワイスは、第一産科の学生の手に付着した「死体の何らかの物質」が産褥熱の原因ではないかと考える。
早速、ゼンメルワイスはこの仮説の真偽を確かめようとする。医学生に、診察前にさらし粉(塩化カルシウム)の水溶液で手洗いを命令。その結果、産褥熱の死亡率は激減するのである(両産科とも1.3%)。これは正に「科学的帰納法」。
これで、ゼンメルワイスはヒーローになるのかと思ったら、ゼンメルワイスの主張は認められず、逆にウィーン総合病院を追われる。続いて職を得たハンガリーのペスト大学も追われ、失意のうちに死亡したとある。
本書にはそれ以上の詳細は書いてないが、ゼンメルワイスの説を認めれば、それまで長年その状態を放置していた関係者の責任問題になりかねず、また、的外れな結論を出していた委員会の委員の責任も問われそうだ。そして、ゼンメルワイスの対策は明確に成果を出したが、依然、「死体の何らかの物質」が何であるかは不明だ。
これは、明治時代に観察による帰納法から、脚気予防に麦飯を採用した日本海軍と、栄養説を最後まで取らずに、何万人という死者を出し続けた陸軍軍医総監の森鴎外のエピソードを思い出させる。この時は、帝国大学医学部が細菌説を取っていたことが影響したといわれている。「白い巨塔」は恐ろしい。
これで、ゼンメルワイスはヒーローになるのかと思ったら、ゼンメルワイスの主張は認められず、逆にウィーン総合病院を追われる。続いて職を得たハンガリーのペスト大学も追われ、失意のうちに死亡したとある。
本書にはそれ以上の詳細は書いてないが、ゼンメルワイスの説を認めれば、それまで長年その状態を放置していた関係者の責任問題になりかねず、また、的外れな結論を出していた委員会の委員の責任も問われそうだ。そして、ゼンメルワイスの対策は明確に成果を出したが、依然、「死体の何らかの物質」が何であるかは不明だ。
これは、明治時代に観察による帰納法から、脚気予防に麦飯を採用した日本海軍と、栄養説を最後まで取らずに、何万人という死者を出し続けた陸軍軍医総監の森鴎外のエピソードを思い出させる。この時は、帝国大学医学部が細菌説を取っていたことが影響したといわれている。「白い巨塔」は恐ろしい。
59:Ignaz Semmelweis 1818-1865 「感染予防の父」
ハンガリーの医師@ウィーン総合病院
産褥熱による死亡率
第一産科 第二産科
1844 8.2% 2.3%
1845 6.8% 2.0%
1846 11.4% 2.7%
62:ミルの「5つのカノン」canon=準則
^戝徊 method of agreement
「研究しようとしている現象を含んだ二つ以上の事例が、ただ一つの事情だけを共通にしているとき、すべの事例がそれにおいてのみ一致する事情は、与えられた現象の原因(または結果)である」(ミル)
∈弘柬 method of difference
「研究しようとする現象の生起している事例と、その現象の生起していない事例とが、前者においてのみ生起している一つの事情を除いて、すべての事情を共通にしているならば、それにおいてのみ両事情が異なる事情はその現象の結果であるか、原因であるか、また原因の欠くことのできない部分である」
0戝弸弘枴四冕 joint method of agreement and difference
「問題の現象が生起している二つ以上の事例が、ただ一つの事情のみを共通にしており、他方、その現象が生起していない二つ以上の事例が、その事情の不存在であることを除いて、何物をも共通にしていないとき、その二組の事例がそれにおいてのみ異なる事情は、その現象の結果であるか、原因であるか、または原因の欠くことのできない部分である」
ぞ衢硝 method of residue
「ある現象から、以前の帰納によって、しかじかの前件の結果であるとしてすでに知られている部分を排除せよ。そのときは現象の剰余部分は、剰余の前件の結果である」
ザκ冕 method of concomitant variation
「ある他の現象がある特殊な仕方で変化する度毎に、何らかの仕方で変化する現象は、その他の現象の原因であるか、結果であるか、または因果関係のある事実によって、これと連結している」
81:ミルの一致法、差異法、共変法と、ベーコンの現存の表、不在の表、程度の表の基本的な考え方は非常によく似ている。この特徴だけでも、ベーコンの帰納法はミルの消去による帰納法における帰納法の原型であると結論付けてもよい。ただし、ミルの消去による帰納法における5つのカノンがおのおの単独で用いられる方法であるのに対して、ベーコンの3つの表がおのおの単独に用いられるものなのかどうかは不明。
82:仮説構築の論理としての消去による帰納法
_樟發箸蓮観察事実そのものやその単なる集積ではなく、観察事実が生じる理由や原因などを説明づけるものである。
△修發修皺樟發箸蓮∧源通り真偽不明な説明付けであり、検証もしくは反証することが可能なものでなくてはならない。
2樟發砲蓮△修硫樟發生み出された時点では、観察事実によって、その正しさを直接的に確かめることが困難な場合もしばしば存在する。
2021年09月23日
ベーコンと新しい帰納法
フランシス・ベーコンは16世紀イングランドの哲学者。「イギリス経験論の創始者」とされ、その流れは、ジョン・ロック、デイビッド・ヒュームへと続く。下院議員、法務次官、法務長官、国璽尚書、大法官を歴任した政治家でもある。
近世の帰納法の創始者として評価される一方、それが本当に観察事実を並べただけではなかったのかを検証するのが第2章。
結論的には、彼の仮説構築プロセスには、「仮説の反証」という側面が明確に含まれており、ギリシャ以来それまでヨーロッパを支配していたスコラ哲学とは違う。
ベーコンが作り上げた新しい帰納法とは、仮説構築の論理でもあるのだが、そのプロセスの中には、仮説の反証という側面が明確に含まれている。つまり、彼の提唱した新しい帰納法とは、観察事実によって、ありとあらゆる仮説構築の可能性を試みながら、さらに、その生み出された仮説を観察事実によって、できる限り削減してゆき、最後に残ったものをひとまずは科学的な仮説とするような方法。
33:Francis Bacon 1561-1626 イングランドの哲学者
下院議員、法務次官、法務長官、国璽尚書、大法官
イギリス経験論の創始者→John Locke, David Hume
42:「自然の予断」観察事実からいきなり真なる仮説を引き出すようは方法
⇔「自然の解明」観察事実をもとに一歩一歩、徐々に真なる仮説に近づいていくようなやり方
→新しい帰納法
43:アリストテレスとスコラ学派
「合理派の哲学者たちは経験から実にさまざのありふれた事例を、よく確かめてみることもなく、また注意深く調べたり考えたりすることもなく、つかみとり、そしてその他のものを思索と精神の活動にゆだねるのである」(ベーコン)
51:ベーコンの仮説構築の論理は、従来の帰納法のような観察事実の単なる集積ではない。ベーコンの帰納法の大きな特徴は、中間的な仮説を観察事実から考察しながら、その中間的な仮説を観察事実によって排除していくといった模索の繰り返し。
2021年09月22日
仮説とは何か
赤川さんは、KBSのMBA学生の時に交換留学で1学期LBSに滞在されて、ご一緒させていただいた。卒業後、富士通総研に勤務後、再び慶応義塾大学に戻られ博士課程へ。現在は、流通科学大学の教授。かなりアカデミックな本で(白桃書房!)普段手に取ることはないのだが、献本いただいたので読んでみる。
第一章は「仮説とは何か」。言ってみれば、適切な仮説設定が現在の科学技術の発展をもたらせたわけだが、では、科学的な仮説の定義は何か?
オーストリア出身の哲学者カール・ポパー(LSE教授)によれば、「科学的な仮説と神話は同じ」側面があるという。「いずれも、この世界で生じる事象や事実を説明づけるために作り出されたもの」だからだ。今の常識で言えば、荒唐無稽な神話と科学的な仮説が同じとは思えないが、今日常識とさえる科学的な発見や法則も、発表当時は出まかせの創作と受け取られたものも少なくない。
「科学と神話を決定的に区別する特徴とは、仮説そのものにあるのではなく、仮説が批判的な議論にさらされること」にあり、検証もしくは反証することが可能でなければならない。この「反証可能性」が
「科学と非科学とを分ける分水嶺」だという(ポパー)。
5:素朴な帰納主義から見た仮説構築
科学的な発見や法則は帰納法によって生み出された。
8:仮説とは、観察事実そのものやその単なる集積ではなく、観察事実が生じる理由や原因を裏付けるものである。
10:仮説には、その仮説が生み出された時点では、観察事実によって、その正しさを直接的に確かめることができない場合が存在する。
13:ポパー「科学的な仮説と神話が同じ」
いずれも、この世界で生じる事象や事実を説明づけるために作り出されたもの。
今日では重要な科学的な発見や法則と見なされている仮説も、その仮説が発表された当時では、荒唐無稽な出まかせの創作と受け取られたものも少なくない。
科学と神話を決定的に区別する特徴とは、仮説そのものにあるのではなく、仮説が批判的な議論にさらされること。
16:仮説とは、そもそも真偽不明な説明づけであり、検証もしくは反証することが可能でなければならない。
16:反証可能性
科学と非科学とを分ける分水嶺(ポパー)
2021年01月12日
EMBA
ロシア危機のさなか、発展途上国債務削減NGO職員から「敵方」のハイエナ・ファンドに転職したシーハンは、シティのパブでケンブリッジ大学の同級生に会う。大学卒業後、米系投資銀行のロンドン現地法人でトレーダーをやっている男だ。
卒業後稼ぎまくって、ナイツブリッジに家を買い、ジャガーを乗り回していた彼だが、実は、その日ロシア危機の影響で、解雇されたばかりだった。シーハンは彼に、今後どうするのか尋ねる。
「実は、ロンドン・ビジネススクールでMBAの勉強をしようと思っている。あそこはパート・タイムのEMBAコースがあるからな」EMBAは働きながら経営学を学ぶ過程で、企業幹部の学生が多い。
今はファイナンスに特化したMiFや実務経験なしに入れるMiMなどコースが増えたが、私が留学していた当時の学位コースは、MBA、EMBA、Sloan、PhDのみ。MBAの授業が終わる夕刻になると、夜間に行われる授業のためEMBAコースの学生がやってくる。学生とはいっても、企業派遣の幹部社員がほとんどなので、キャンパスは高級車で溢れる。
本書では、投資銀行をクビになった同級生がEMBAを目指す設定になっているが、30歳過ぎという年齢から言っても、失業中という状況からも、これは不自然。EMBAは企業派遣を前提としているので授業料も少々高いし(£98,500⇔MBA£92,735)、学生の平均年齢も40歳前後だ。それだけの実務経験があることを前提として授業が進められる。
同級生は、MBAを目指すのが自然だろう。実際、シティが不況になる度、2年後にマーケットが回復していることを信じて、ステップアップのためにMBAに来た学生は私の時も多かった。
47:パンアフリカ銀行アフリカの独裁政権への融資、マネーロンダリング、武器密輸、核物質取引、DGSE(フランス対外治安総局)やCIAなど各国の諜報機関との癒着、架空の投資話のでっち上げ・・・・・まるでBCCIの再来。BCCI~パキスタンの銀行家アガ・ハサン・アベディがルクセンブルクに設立した銀行武器や麻薬の密輸、マネーロンダリングなどありとあらゆる悪事に手を染め、1991年に経営破綻。85:共和党に多額の寄付をしているジェイコブスは、同党のキングメーカーの異名を取り、政治家と個人的な親交やロビー活動を通じて、米国の政策に多大な影響力を及ぼしている。94:ロシア危機LTCMへの投資で950百万ドルの損失を出したUBS(スイス)やロシア国債で焼く6億ドルの損失を出した野村証券をはじめ、メリルリンチ、バークレイズ・キャピタル、ウェスト・ドイチェ・ランデスバンク、バンコ・サンタンデール(西)などが、ロンドンだけで数百人規模の人員削減を発表。
2020年06月27日
LBS Send off & Welcome back Night
久しぶりにLBSの話題。今週、毎年恒例の新入生歓迎と卒業生お祝いの会が開かれた。例によって、初めてのZoom開催。100人近くの新入生・卒業生・同窓生が参加。
驚いたのは、今年の日本からの(海外在住の日本人と日本在住の外国人含む)MBA入学生が20人を超えていること。イベント参加者を数えただけで日本人20名+日本で働くインド人1名。新キャンパスが2年前にオープンし、MBAの定員が400名に増え、それに伴い日本からの合格者も増えたのである。
ここ数年の勤務先(企業・官公庁)スポンサー比率は3/4程度で推移している。私が留学していた30年前
はほぼ全員(除く私)であったが、その後バブル崩壊で一時期企業スポンサーは減った。2000年以降、「もう国内市場は伸びない。本気で海外進出するための人材が必要」ということで、再び増加に転じた。他に昔との違いとして、留学前から外資系企業で働く人が増えたことがある。30年前は外資で最初から働く人はほぼ皆無。MBA取得後外資に転じるのが一般的だったが、今年のMBA日本人入学生20人中5人が外資金融機関やコンサルティング勤務者で、外資系企業には基本的にスポンサー制度はないので、退職するか休職で留学することになる。
その他、海外勤務経験者あるいは現在海外勤務中という人も多い。これも5人くらいいて、商社マンが多かった。
MBA以外にも、SLOAN、MiF、MiM、MiAの各コースがあり、それらを合計すると在籍する日本人学生数は60人を超えるというから、MBAを含め留学生が減っている中で、LBSは相変わらず人気のようだ。ちなみにHBSのMBA2020は12人で、学年全体の1.3%ということで、非常に少ない。LBSは例年5%前後だ。
2020年06月01日
『メーカー再生入門』
2007年に出版された際に堀越君から献本いただいた本。コロナ騒ぎで自宅軟禁となり、改めて読んでみる。よい本なのに、惜しいことに絶版。
投資家が企業を選ぶ基準10:経営者はキャッシュの重要性を知る人かキャッシュを生み出す能力とは、換言すれば「世の中で必要とされている」ということである。なぜなら「不必要なもの」にキャッシュを払う人はいないからである。DDによる対象企業の実態把握28:「一枚でも多くの紙を見る」決算書類や経理帳簿の閲覧にとどまらず、社内のあちこちに散らばる各種会議の議事録や課会ノートといった業務資料のなかにこそ、見落としてはならないポイントがある。特に末端の課会ノート等には、会社に対する要望や不満が書かれることがよくあり、そこに真実が含まれていることも少なくない。38:関係者の思惑の排除DDの終盤になると、関係当事者は「案件の着地〜完了」(クロージング)が気になり始め、案件に着手した当初の「推進力」とは別の意識が頭をもたげてくる。(中略)いずれもが費用対効果を意識しながら、それぞれ自らの作業内容に対する対価を意識するようになるのである。このような局面では、問題点を無理に合理化しようという「力」が発生する。プロ・マネもどこかの組織に属しているのであるから、そのような「流れ」に引きずられがちである。そこで、案件成約後の当事者、たとえば、経営に参画するメンバーや投資家は、「絶対に譲ることのできないリスク」について、最後まで追求する姿勢を崩さないよう気を引き締めなければならない。せ業計画の策定111:市場分析の主要7項目・現在の市場規模・潜在的市場規模・市場の成長性・収益性・コスト構造・流通システム・市場トレンド・主要成功要因(KSF)最重要=KSF・競争優位の基礎ではないが、戦略上不可欠なもの・競争優位の基礎となるもの
2020年05月08日
「社員を幸せに」する前にやるべきこと
組織活性を「定着スコア」(この会社に長く勤めたい)と「従業員満足度」(この会社に満足している)で4象限に分けて分析。
.僖薀瀬ぅ后定着スコアも満足度も高い、良い組織。
荒野:どちらも低い。社員の出入りが激しく、定着しない。
ステップ:定着スコアは低いが、満足度は高い。自身のステップアップのために旅立つ。
い屬蕾爾り:満足度は低いのに、定着スコアは高い。組織に対する「不満」や「文句」が出ているのに、ほとんどの社員が離職しない。
最初は「パラダイス」か「ステップ」で、この状態はどちらも組織として維持可能だ。マイナス感情が放置され蓄積していくと「荒野」になり、優秀人材やハイポテンシャル人材が抜ける。そうすると、組織には転職できない普通人材とぶら下がり人材だけが残ってしまう。「ぶら下がり」は組織のなれの果てで、やがて淘汰されることになる。


250:「無関心」と「創造力の欠如」が組織を病に追い込む社員のココロに関心を持っている経営・人事・管理職が少ない会社であればあるほど、マイナス感情が蓄積している。253:組織活性4分類「定着スコア」(この会社に長く勤めたい)と「従業員満足度」(この会社に満足している)による2軸分析257:組織活性が失われていくプロセス「パラダイス」からいきなり「ぶら下がり」にはならず、「荒野」を経て「ぶら下がり」となる、組織の「なれの果て」。
2020年05月07日
組織活性化のための「ターゲッティング戦略」
GWで空いてしまったが、LBSの産業医MBAである上村さん処女出版の続き。
マーケティングを組織活性化にも活用すべきだという。組織戦略とは「社内マーケティング」であり、誰に向けて、どの課題に、どのようにアプローチすれば最も効果的かを考えるのだ。
社内人材をセグメンテーションし、例えば、どこに焦点を当てて離職対策するのが全体として最も良いかを考える。そうすると、「優秀人材」ではなく、その予備軍である「ハイポテンシャル人材」を最優先にするのがよいという。
それは、ハイポテンシャル人材の「労働価値は似ており、一気に対策しやすい」からだという。また、「優秀人材が抜けてもその穴を埋めて組織が安定する」。では、なぜ、優秀人材を最優先にしないかというと、「労働価値にバラつきがあり、個別に対応していくのは難しい」からだという。個別対応すると、悪しき例を先例として残すことにもなりかねない。
170:マーケティングを組織活性化に応用組織戦略とは「社内マーケティング」WHO:誰に向けた施策なのかWHAT:どの課題にアプローチしたいのかHOW:どのようにアプローチするか174:マーケティング基本の流れ3C(自社・顧客・競合)→STP(Segmentation=>Targeting=>Positioning)→4P(Price, Product, Place, Promotion)178:社内人材をセグメンテーションし、ターゲットを定める優秀人材:すでに企業・組織の牽引役となっている人材ハイポテンシャル人材:3-5年後に優秀人材になるであろう人材立ち上がり人材:入社から1年以内(新卒・中途を問わず)の人材普通人材:やるべきことをきちんとこなす人材ぶら下がり人材:「消極的定着」している人材184:人材セグメントごとに離職パターンは異なる優秀人材:働きがいに関する労働価値のミスマッチが起こると積極的離職(決断は速い)ハイポテンシャル人材:同上立ち上がり人材:働きやすさに関する労働価値のミスマッチで消極的離職普通人材:同上ぶら下がり人材:組織の不満を言いながらも定着186:離職対策優先順位.魯ぅ櫂謄鵐轡礇襦箆働価値は似ており、一気に対策しやすい「成長機会」「強みを生かせる」優秀人材が抜けてもその穴を埋めて組織が安定する)⇔ち上がり(ハイポテンシャル人材に成長する可能性がある)Mソ─箆働価値にバラつきがあり、個別に対応していくのは難しい)ど當イ屬蕾爾り
2020年05月01日
マイナス感情の伝染メカニズム
三つのタイプの「病んでいる組織」があるという。
.好肇譽溝兩低めの社員が多い「砂の城」系
◆崙きやすさ」を無視して「働きがい」を追求する「やりがい搾取」系
「働きがい」を意識せず「働きやすさ」を過度に追求する「ぬるま湯」系
組織の活性度を決める三要素(心身コンディション、働きやすさ、働き甲斐)のバランスがとれている必要がある。
134:組織の活性度を決める3要素/歓肇灰鵐妊ション働きやすさFきがい140:社員のための施策が「ぶら下がり化」を招く離職対策として導入した施策によって、ますます会社がダメになっていく。144:病んでいる組織嶌修両襦弖蓮船好肇譽溝兩低めの社員が多いIT企業に多い。スキル重視の採用になっていて、ストレス耐性が考慮されていない。対策:採用時にストレス耐性チェックをしっかりと行い、「心身コンディション」の悪化リスクを高めない。採用後・業務上での変化を減らす・現場でのケアを強化・セルフケア教育◆屬笋蠅い搾取」系〜「働きやすさ」を無視して「働きがい」を追求する「動機付け要因」が強い一方、「衛生要因」が整っていない(フレデリック・ハーズバーグ)「いくら頑張っただけ給与をたくさん貰えるといっても、これでは心身がボロボロになってしまう」対策:何かを足すよりも、社員が負担を感じている事象の解決。ブラック企業のレッテルを貼られると、採用に影響。「ぬるま湯」系〜「働きがい」を意識せず「働きやすさ」を過度に追求限度を超えて働きやすくなってしまっている。意欲を持って働く社員と、働きやすさを当たり前として甘えてしまう社員の二極化。対策:「働きやすさ」と「働きがい」のバランスを取りながら、会社として大事にしていきたい人材像(ペルソナ)を定義し、その人たちが活躍したい職場環境を実現させる。
2020年04月30日
なぜ、組織は「病んでいく」のか?
LBSの同窓生である上村紀夫さんによる待望の初出版。医学部を出て外科医として働いた後、LBSに留学。日本ではまだ数少ないMBA医師で、卒業後、産業医として企業のメンタル対策をコンサルティングする株式会社エリクシアを設立した(2009)。
組織活性というと、プラス感情を生み出す施策に目が向きがちだ。ノー残業デーや、リモートワーク、フレックス制の導入など、「働きやすさ」を実現するための施策は一時的なプラス感情を生み出すが、それは長続きしないという。与えられることはすぐに「当たり前」となり、中長期的にはプラス感情は生み出さない。むしろそれが失われた際のマイナス感情が大きくなってしまう。
それでも多くの企業が導入するのは、「マイナス感情を解消するより、何かを足す施策の方が手っ取り早く、かつ『時代の流れに乗っている感』を経営・人事層は持つことができる」からだという。しかし、マイナス感情に蓋をしたままでは、一時しのぎにしかならない。
マイナス感情の蓄積は自然には解消せず、放置すれば増幅し、それは組織に伝播し、やがては組織崩壊につながる。
はじめに:マイナス感情の蓄積業種や業態等により、組織の病巣はそれぞれ異なるものの、それらを生み出す原因は共通している。序章24:なぜ、組織は「病んでいく」のか?〜反イ病んでいくメカニズム∩反イ痢嵒汰磧廚鮴攴する方法27:プラスを生み出す施策はすぐ「当たり前」化するマイナス感情を解消するより、何かを足す施策の方が手っ取り早く、かつ「時代の流れに乗っている感」を経営・人事層は持つことができる。29:マイナス感情は組織全体に広がっていくマイナス感情の蓄積は自然には解消せず、放置すれば増幅する。31:「みんなを救う施策」は誰も救わない置かれている状況が変われば、抱える悩み、つまり、抱えるマイナス感情が異なる。33:組織改革の基本WHO:誰に向けた施策なのかWHAT:どの課題にアプローチしたいのかHOW:どのようにアプローチするか
2019年12月24日
どこでも使える究極の交渉技法
FBIで「交渉学」の講師を務めた著者による交渉術指南本。
LBSでも、選択の集中講義で「交渉術」があって取ってみたのだけど、冷や汗もの。講義についていくのに精いっぱいなのに、英語で交渉となるとハードルが高かった。日頃穏やかな級友が、交渉となると顔を赤くしてまくしたてる。これがアングロサクソンの本性かと圧倒された。
学んだこととしては、怒鳴られても怖気ずくことはない。相手もビジネスであれば、どこかで妥協点を探す。多角的に考える。
*交渉能力とは、「力」「時間」「情報」の三要素を分析し、相手の行動に影響を与える力のこといかにこの三要素を自覚するかによって、交渉の成果は変わる。【力】・力は物事を成し遂げる能力であり、自覚の上に成り立っている。自分に力があると思えば力があるし、ないと思えば、たとえあったとしても力がないことになる。・自らの交渉能力を伸ばすには、相手に理解と共感を示し、自分に一体感を抱かせるように仕向ける。・どんな交渉もゲームだと捉えて、精一杯楽しむ。そうすれば、活力がわき、緊張感が減り、よい結果が得られる。【時間】・交渉の成否は、時間をどう受け止め、使うかで決まる。・交渉期限についての原則仝鮠弔まとまるのはは、期限ぎりぎりか期限を過ぎてからのことが多いので、じっと待つこと。対立関係の時、相手に自分の期限を知られないこと。「相手側」には必ず期限があるぬ世蕕な利がなければ、ことをせいてはならない。【情報】・交渉の場では意識を集中する。そうすれば、相手の感情、動機、真の要求など、かなりのことが理解できる。・価格を交渉する際は、相手の譲歩の仕方をよく観察する。そうすることで、相手の真の最低限度額、あるいは最高限度額を正確につかむことができる。
2019年09月06日
サーチファンド

昨年末、LBSのイギリス人同級生からの紹介で我が家にやってきた黒澤君が今日高松へ。彼は日本で初めてのサーチファンドをやろうとしている。高松で四国No.1のM&A仲介業者やシンクタンクを集めて勉強会。
サーチファンドの仕組みは上図の通り。経営者が交代するという意味ではMBIの一種。通常の買収ファンドと違うのは、資金の出し手がエンジェル投資家で、投資対象も一社に限ったターゲットファンドであること。
エンジェル投資家がサーチャーと言われる若手経営者候補(通常30代前半の新卒MBA)に2年間の猶予と活動資金を与え、サーチャーに買収候補企業を探させる。期限内に適切な買収候補先が見つかれば、買収条件を決めて、改めて必要な買収資金を投資家から集める。買収した企業をサーチャーが経営して大きくしていく。ポートフォリオを組まないターゲットファンドなので、EXITの期限は決まっておらず、長期に渡って経営して投資家には配当を払ってもいいし、よいEXITの機会があれば売却してファンドを解散してもいい。
私の同級生の場合は、LBS卒業後3.5年間サーチャーとして買収先を調査。売上数億円のヘルスケア関連企業を買収した。10年間で売上は10倍になり、売却。IRRは20%だったという。現在は欧州随一のサーチファンド投資家となっている。
2019年07月09日
炎は美しい
炎というと忘れられないのが、12年前にインドでゾロアスター教の友人の結婚式に出たこと。ゾロアスター教は別名「拝火教」と言われる。その通り、火が世の中を清める神聖なものとして尊ばれる。
元々は古代ペルシアで起こった宗教だが、8世紀になるとペルシアのイスラム化が進み、改宗しなった一派がインドへ逃れる。現在では世界で10万人しかいない信者の内75千人がインドにいる。
結婚式は二日続けて行われ、初日が新郎のゾロアスター教式で、翌日が新婦のヒンズー教式で行われた。チェンナイ市内の最高級ホテルで行われたのだが、ホテル内で焚火をぼうぼうと燃やしたのには驚いた。新郎新婦と両家が焚火を囲む姿に、ペルシャの乾燥地帯から来た彼らの先祖を思い浮かべた。
火を神聖なものとする考えは、バラモン教を経て密教に引き継がれ、日本でも護摩として実施されている。
元々は古代ペルシアで起こった宗教だが、8世紀になるとペルシアのイスラム化が進み、改宗しなった一派がインドへ逃れる。現在では世界で10万人しかいない信者の内75千人がインドにいる。
結婚式は二日続けて行われ、初日が新郎のゾロアスター教式で、翌日が新婦のヒンズー教式で行われた。チェンナイ市内の最高級ホテルで行われたのだが、ホテル内で焚火をぼうぼうと燃やしたのには驚いた。新郎新婦と両家が焚火を囲む姿に、ペルシャの乾燥地帯から来た彼らの先祖を思い浮かべた。
火を神聖なものとする考えは、バラモン教を経て密教に引き継がれ、日本でも護摩として実施されている。
139:70年代のことだがわたしは田舎に暖炉付きの家を購入した。当時10歳から12歳だった息子たちにとって、火、燃える薪、炎の体験は全く新しい現象だった。一方わたしは、暖炉がついていると息子たちがテレビを求めないことに気づいた。どんな番組よりも炎のほうが美しく変化に富んでいるうえ、終わらない物語を語ってくれ、どんどん更新され、テレビのショーのように筋立てどおりではないのだから。143:はじめて火を体験するのは、間接的には太陽の光、直接的には稲妻や制御不能な火災をとおしてである。それゆえ必然的に原始から火が神性と結びつけられていたことについては論をまたない。あらゆる原始宗教には、何がしかのかたちでの火炎崇拝がみられるものだ。たえおば昇る太陽を崇める太陽礼拝や、聖火を絶対に消さないよう神殿の内陣に灯しつづける例などがある。151:地獄の火はむしろバロック時代のテキストにこそ浸透している。ダンテの残酷さをも凌駕する、地獄を見るような拷問描写だ。というのも、芸術の霊感にあがなわれることがないわけだから。たとえば聖アフロンソ・デ・リゴリの書にそれはみられる(『死への装置』1758)。
2019年06月28日
第二次世界大戦中勃発時イギリスに居たドイツ人
LBS同窓生の奥さんProfessor Marie Lallは南アジア政治が専門でUCL教授。イギリス生まれだが、お父さんはドイツ人で、お母さんはフランス人。毎年冬に慶応大学でも一学期教えているので、その度に会っている。今回は本の執筆のため、独りで来日。昨日着いて、今日うちで会食。日本の方が執筆がはかどるのだそうだ。
今回初めて聞いたのが、ご両親の馴れ初め。1928年生まれのお父さんはドイツ人の両親の元、イギリスで小学校に通っていた。ところが、戦争がはじまり、一家はドイツに強制退去させられる。戦況の悪化に伴い、15歳になったばかりのお父さんも出身地のキールで徴兵される。終戦まで1年余りドイツ陸軍で従軍。
終戦で捕虜となるが、幸いにも、西ドイツ側。ドイツで医学部を出て医者となり、幼少期を過ごしたイギリスに移住する。WHOのプロジェクトでアフリカに渡り、そこで知り合ったのがフランス人看護師だったマリーのお母さん。
第二次世界大戦中、日系アメリカ人がアメリカで強制収容されたのは日本人なら誰でも知っているだろう。だが、イギリスに住んでいたドイツ人がどうなったのかは今日話を聞くまで知らなかった。アメリカは出生地主義なので、いかなる事情であろうと、アメリカの国土で生まれたらアメリカ市民となる。アメリカは日系アメリカ人を強制収容したが、さすがにアメリカ市民を強制送還はできなかったようだ。
キールと聞いて、映画「Uボート」を思い出した(映画のU96の母港は占領下フランスのブレストということ)。
2019年01月01日
私の平成元年

謹賀新年
今年で30年続いた平成も終わりということで、新聞もTVも「平成特集」が目白押し。僭越ながら、私も「平成30年」を振り返ってみたい。
のちに平成元年となる30年前の1989年の正月、私はいつもの四国への帰省を止め、年末から千葉にある親せき宅に籠って、GMAT(ビジネススクール受験の世界共通試験)の準備をしていた。当時、JAFCO入社3年目で、前年にJAFCOが店頭登録(IPO)。小金の出来た私は「これでMBA留学しよう」と思い立った。父親の急逝で大学時代バイトばかりしていた私はあまり勉強しないまま早稲田を卒業したので、「次にチャンスがあったら思いっきり勉強してみたい」と思っていた。そのチャンスが来たのだ。
JAFCOにはMBA留学制度がなかったので、自分で情報収集を開始。インターネットもない時代なので苦労したが、幸い、同じ野村証券グループの同期何人かがMBA留学生に選抜され、同時期に研修部所属になって「専業で」受験準備していたので、彼らに頼んで情報を貰った。他に、つてで知り合いの知り合いなど留学経験者に何人か会うことができ、志望校を選ぶと同時に準備方法を教わった。
問題は受験準備時間の確保だった。会社派遣留学生の多くが、仕事を免除され、また、会社費用でビジネススクール受験予備校に通って準備するのに対し、私は会社に内緒で準備しているから通常業務をこなさなくてはならない。なるべく残業はせず、寮に戻って夕食を食べ、それからTOEFLやGMAT、応募書類のエッセーなどに取り組むのだが、仕事の疲れがあるのでよくうたた寝してしまう。寝不足になると、翌日の仕事にも差し支えが出るので、結局平日はあまり準備できなかった。いきおい、週末に準備することになるのだが、それだけでは追いつかない。TOEFLは9月に初回で足切り点をクリアしたものの(610)、やはり初めて受けたGMATの点数が志望校の水準に届かず焦っていた。時期的にも最後のGMAT受験チャンスが年明けの1月だったのだ。
この年の冬休みは4-5日だったと思うが、流石にこの期間は集中した。一日中開けても暮れてもGMATの問題集に取り組む。GMATは英文読解と数学問題の配点が半々(当時)。英文読解は受験生の大半である英語が母国語の受験生が受けて差がつくようにできているので、とんでもなく難しい。数学は中学程度の初級で易しいのだが、その代わりに数がとてつもなく多い。数時間ある試験時間中、集中力を切らさずに、早く正確に解くことが求められる。
年明け7日に昭和天皇が崩御され、8日に「平成」となる。世間では翌月に実施されることになった「大喪の礼」(因みにPAは投資先のHIBINO!が担当した)が話題になっていたが、私は2週間後のGMATで頭がいっぱい。世の中が喪に服し、経済活動も自粛ムードなのをいいことにラストスパートをかけた。その結果が来たのは一月後くらいだったと思う。結果は、こちらも志望校の足切り点をクリア。面接できる人数には限りがあるので、LBSの場合(他校もだいたい同じ)TOEFLとGMATの点数+応募書類(経歴、エッセー、学業成績、推薦状)でふるい落とし、世界各地で実施される卒業生との面接に進めるかどうかが決まる。LBSのような上位校だとここで大半が落とされる。
私の場合は、GMATの結果が出た2月に面接の連絡が入り、3月に面接を受けた。面接会場は、飯田橋にあるBritish Councilだった。そして、入社4年目に入った平成元年4月、入学許可証が航空便で届いた。その後は退職に向けて多少のごたごたはあったものの、6月末に退職。7月にロンドンに向けて旅立った。
あれから30年。当時はバブル景気の真っただ中で、日経平均は平成元年の年末に史上最高値38,915円を付ける。現在はその半分の水準だ。一方、NYダウは当時の10倍。資産価値で20倍の差がついている。経済規模では米GDPは4倍になり、日本はドルベースで倍。その大半は円高によるもので、円ベースでは所得はほとんど伸びてない。
平成元年の末と平成30年末、この2期間比較ではその通りだが、この間にあった30年という時間の経過と蓄積を捨象してはいけない。従来述べてきたことだが、日本株は平成の初めの20年は80年代バブルの清算に充ててきた。ずっと右肩下がりのトレンドだった。80年代バブルがあまりにすさまじかったために、その清算には20年もの年月を要したのである。しかし、平成最後の10年は米国株市場と同様の右肩上がりのトレンドに回帰した。株式という資産が本来持っている長期的な平均リターン(年率7%程度)を期待できる市場に生まれ変わった。(MONEX広木隆)
日本企業はその間何もやっていなかったわけではなく、陸から見れば動いてないが、潮の流れに逆らって必死で泳いでいたのだ。ようやく、バブル清算が終わって「通常」になってきたのがリーマンショック後のこの10年。この流れをここで止めてはいけないと思う。
2018年10月27日
明治記念大磯邸園

カナダに移住した香港人のLBS同窓生が来日。前回会ったのは、ロンドンでの理事会だったので10年以上前。当時、彼はRAB (Regional Advisory Board) memberで、私はIAB(International Alumni Board) member。その後、彼は香港での仕事を辞めて絵描きになっていた
McKinseyでのコンサルタントを振り出しに、その後著名企業の経営者も務め、「金儲けはもういい」んだとか。経営者時代の彼はアジア地域のトップだったので、最大市場であった日本にも頻繁に来ていた。しかし、いつも、空港に迎えが来てホテル。ホテルから日本法人や顧客訪問。そして夜は会食と、東京から出たことがないという。それなら、というので、郊外に案内することにする。行くことにしたのは、「明治150年」で整備されることになり、特別公開中の「滄浪閣」へ行くことに。
伊藤博文はじめ明治の元勲たちの多くが別荘を構えた大磯。伊藤博文邸、大隈重信邸、陸奥宗光邸は国道1号線(旧東海道)沿いにお隣同士で並んでいる。「明治政界の奥座敷」と呼ばれたわけが、こうしてみると分かる。
これらの屋敷は歳月を経て人手に渡り、伊藤博文邸は戦後長らく大磯プリンスホテルの別館として使われていた。2007年にホテル営業が終了後は閉鎖されており、見学はできなかった。大隈重信邸と陸奥宗光邸については、戦前、古川財閥の古川家の所有となり、戦後の財閥解散後は、古川電工所有となった。
今回、これら3邸とそれぞれの庭園を「明治150年」関連施策として、一体的に保存・活用することになり、整備が進められている。本格的な整備工事に入る前に10月23日〜12月24日までの2か月間公開中。邸宅内はガイドツアーのみで、事前申し込みが必要。
2018年10月16日
Dean Francois Ortalo-Magne
昨年8月に就任したLBSの新学長Francois Ortalo-Magneが今日のWAC (Worldwide Alumni Celebration Day)に合わせて来日。学長としては初来日。プライベートでは2007年に家族で1週間来たことがあるそうで、今回は2度目の来日だとか。
日本の同窓生の数は世界でも有数なので(「企業派遣」という日本だけの制度もある)、任期中に学長は少なくとも1度は来日する。私がこれまでに日本で会ったのは、Sir George Bain, Laura Tyson, Sir Andrew Likiermanの3人。人気の短かったJohn QuelchとRobin Buchananは来日しなかったと思う。
今回の来日の準備メンバーに入っていたので、今朝は宿泊先のパレスホテルで朝食を食べながら初顔合わせ。フランス南西部の出身で、ミネソタ大学で学位取得。最初に教えたのはLSEで、直近ではウィスコンシン大学ビジネススクールの学長であった。毎年60ヵ国以上から学生が集まる「世界一国際的」と言われるLBSの学長として相応しい国際人のようだ。
フランス人がLBSの学長になるのは初めて。ちなみに、これまでの学長は以下の通り。こうしてみると、やはりアングロサクソン系が多く、ラテン系の学長は初めて。尤も、Sir Andrewも第二次世界大戦中に東欧からイギリスに逃れてきたユダヤ系移民の子どもなので、アングロサクソン系ではない。やはり、この辺り、世界から才能を取り込む大英帝国の知恵か。
Deans of London Business School
- Dr Arthur Earle (1965-1972) Canadian
- Professor Sir James Ball (1972-1984) British
- Professor Peter Moore (1984-1989) British
- Professor Sir George Bain (1989-1997) Canadian
- Professor John Quelch (1998-2001) British
- Professor Laura Tyson (2002-2006) American
- Robin Buchanan (2007-2008) British
- Professor Sir Andrew Likierman (2009-2017) British
- Francois Ortalo-Magne (current) French
2018年06月19日
学校への寄付
先週、国際電話が掛かってくる。仕事関係なら、あらかじめ時間を決めてSkypeで、というのが通常なので、ピンとくる。学校からの寄付依頼だ(笑)。
「毎年クレジットカード自動引き落としで寄付しているよ」と言ったら、どうやら登録していたクレジットカード期限が切れたらしい。「分かった、やっておく」と言ったところ、直ぐにURLが送られてきた。寄付額を選んで、カード情報を入れるだけなので簡単。そして、今週、手続き完了のお礼メールが届く。アポインターの肉声から始まり、システマティック。
15年前に私が日本人卒業生で初めてAlumni Board Memberになり、年に2回の会議でロンドンに行っていた頃、卒業生の寄付はアメリカの大学に比べてけた違いに少なかった。日本同様、政府の運営助成金が入っていたイギリスの大学には、「卒業生から寄付を集める」という発想が乏しかった。これでは長期的に競争できないということで、学校創立以来初めての寄付担当責任者が雇われ、徐々に体制が整ってきた。私も、Fundraising ambassadorに指名され、日本からの寄付額を1年間で三倍にした。
3年前の50周年記念キャンペーンでは、イギリスの大学として初めて寄付額が£100を突破。最終的に200億円を超えた。これで、懸案だった、新キャンパスが誕生した。
2018年06月03日
どの投資戦略が有効なのか?

株式投資でどんな投資戦略が有効か?「成長株か割安株か」「順張りか逆張りか」「小型株か大型株か」などなど。数ある銘柄の中から、特定の要素があるかどうかを基に銘柄選択することを"smart beta"とか"factor investing"という。
それをLBSのチームが長期データから研究した結果が、Credit Suisse Investment Returns Yearbookで発表されている。以下が、その研究対象になった要素と結果の要約。全文はPDFで見れるので、興味のある方はどうぞ。対象は断りのない限り、1955-2016年の英国株。
✅規模
英国で1955年に大型株に£1投資した場合の現在価値は£1087。悪くない(13%)。しかし、市場で時価総額が小さい方から1%の「超小型株」に投資していた場合、£1は£27,256になっていた(19%)
一般的に、小型株のほうが大型株より成長性が高く、高いリターンをもたらす。✅割安か
調査では簿価純資産倍率(PBR)で割安かどうかを判断している。割安株は同期間に年平均16%のリターンをもたらした。PBRの高い株のリターンは年平均10.3%で大きな差が付いた。
✅配当利回り
高配当の株式に投資するほうがいいのか?この調査だけLBSの誇る1900年まで遡る株式データを用いている。毎年初めに、英国の上場企業の中から時価総額の大きな100社を選ぶ。そのグループを、配当利回りの高い50社と、低い50社に分ける。株価のパフォーマンスを1年間取り、これを116年分行う。結果は、低配当グループに投資した£1が2016年に£6810になったのに対し(9%)、高配当グループは£158,727と圧倒的な差が付いた(12%)

✅モメンタム
これはどういう前提にするのか設定がむずかしい。研究チームは、過去1年間の株価を基に、「市場平均を上回るWinners」と「下回ったLosers」に分け、それからひと月おいて、その後のひと月の株価パフォーマンスを調べた。1900年からのデータで、時価総額Top100の大型株が対象である。結果は、Winnersが年平均14.1%に対し、Losersのリターンは3.6%であった。この計算はグロスでやっていると思うので、この間のインフレを考えると、厳しい。
ボラティリティ

これは難しい。株価変動率が高ければ、リスクが高いということだから、(他の条件が同じなら)平均リターンは高くなければいけない。しかし、短期的には、いくつかの研究で、安定した株価のほうが、その後のパフォーマンスが良いという結果が出ている。株価が乱高下している会社というのは、何か不安材料があるケースが多いので、その後下落することが多いというのはあり得る。しかし、長期ではどうだろう?研究チームでは、5年間のボラティリティを基に計算しようとしたが、時期によって結果に違いがあり過ぎて、意味のある結論は導けなかった。
結論としては、ボラティリティを除いては、いずれも意味のある「要素」ということになった。では、「小型株x割安x高配当xモメンタム」を満たす銘柄を買えば、どれだけスゴイことになるのか
小型成長株は成長のための資金が要るので、配当を出すことは稀など、全ての要素を満たすことは難しい。しかし、実は、自分で銘柄選択しなくても、これら、それぞれの、あるいはいくつかを組み合わせた投資戦略に対応するETFが存在する。2018年03月06日
ヒューリスティックスとバイアス
アンカリング効果については、留学時の集中講義で心理学者が呼ばれ、習ったことがある。「交渉術」のクラスで、本書の第11章に出てくる通りだった。
価格交渉で、最初のアンカーは絶大な効果を持つ。そこで、法則その,蓮◆嵜瓩坦櫃韻襪曚Δいい」ということになる。問題は、相手に吹っ掛けられた時の対処法で、同じように途方もない安値で応じても値段の差が大き過ぎて、交渉で歩み寄るのは難しい。そこで、正しい対処法としては◆◆崑腓欧気吠原腓鮓世ぁ∧袷海叛覆鯲つか、そうする素振りをする」ということになる。
これを寸劇でやるのだが、留学初年度の私には非常に難しかった。英語もしどろもどろ。何しろ、英語ではもちろんのこと、日本語でも丁々発止の価格交渉などやったことがない。店に並んでいる商品の値札を見て、納得すれば買い、そうでなければ買わないという選択しかしたことがなかったからだ。
正札商売がまだまだ少ないインドや中東のビジネスマンが交渉で強いはずである。日本では大阪商人が有利か
実際、東南アジアで活躍している人を見ると大阪の人が多いような気がする・・・バイアスか(笑)。
価格交渉で、最初のアンカーは絶大な効果を持つ。そこで、法則その,蓮◆嵜瓩坦櫃韻襪曚Δいい」ということになる。問題は、相手に吹っ掛けられた時の対処法で、同じように途方もない安値で応じても値段の差が大き過ぎて、交渉で歩み寄るのは難しい。そこで、正しい対処法としては◆◆崑腓欧気吠原腓鮓世ぁ∧袷海叛覆鯲つか、そうする素振りをする」ということになる。
これを寸劇でやるのだが、留学初年度の私には非常に難しかった。英語もしどろもどろ。何しろ、英語ではもちろんのこと、日本語でも丁々発止の価格交渉などやったことがない。店に並んでいる商品の値札を見て、納得すれば買い、そうでなければ買わないという選択しかしたことがなかったからだ。
正札商売がまだまだ少ないインドや中東のビジネスマンが交渉で強いはずである。日本では大阪商人が有利か
実際、東南アジアで活躍している人を見ると大阪の人が多いような気がする・・・バイアスか(笑)。199:少数の法則心理学者が選ぶ標本は一般に小さすぎるため、真の仮設の実証に失敗するリスクは50%に達する。225:アンカーの利用と濫用意図的な数量制限が効果的なマーケティング手法になる。「おひとり様XX個まで」とする方が、数量制限されてないよりもたくさん売れる。
226:アンカリング効果に対抗する方法(アダム・ガリンスキー&トーマス・マスワイラー)
「アンカーに対抗する論拠を見つけるために、注意を集中し、記憶を探索する」
相手が受け入れそうな最低値はいくらぐらいか?交渉決裂となった場合に相手が被る損失は?256:利用可能性カスケードテロ攻撃による死者数は、他の死亡原因に比べると極めて少ない。執拗なテロ攻撃の標的になっている国、たとえばイスラエルでも、一週間のテロの犠牲者数が交通事故の死者数に近づいたことさえ、ほとんどない。ただしこの二種類のリスクは、一方はたやすくひんぱんに思い浮かぶという点で、利用可能性に差がある。(中略)テロはSystem 1に直接訴えかけるからである。
2018年02月25日
必ず結果が出せる仕事の進め方・キャリアの作り方
LBSの後輩になる山田さんが昨年本を出版。「ロンドンビジネススクール」と帯に書かれた本は日本では初めてじゃないだろうか?26万部も売れたLBSの恩師Lynda Gratton教授の『LIFE SHIFT』でも、経歴以外に所属校が出てこないのは同窓会名誉会長としては不満
。これを機に、前面に出してほしいものだ(それも、できれば、「ロンドン・ビジネススクール」で
)。それはさておき、この本で山田さんの経歴を初めて正確に知った。埼玉県行田市の生まれ。東京や海外で働くことに憧れて上智大学に進学。在学中に1年間交換留学した後、卒業後、奨学金を得て、Oxford大学院に留学。そのまま、欧州系の戦略コンサルティングに日本人として初めてロンドンオフィスに就職。その後は、オーストラリアのメルボルン、東京と拠点を移しながら、外資系会計ファームの起業戦略部門、組織・人事コンサルティングファーム、事業会社など、いくつかのグローバル企業で働いてきている。
私が山田さんに初めて会ったのは、山田さんがLBS卒業後、Watson Wyatt(東京)で働いていたころだ。プレッシャーの大きな業界で生き延び、結果を出してきたが、数回うつ病にもなり、「心も体も強くない」という。そんな彼女が、「普通の人でも必ず結果が出せる仕事の進め方とキャリアの作り方」として書いた初の単著である。
*先行きが不透明な中でも、一歩一歩着実に、自分らしいキャリアを築きながら、仕事を続けていく。そのために、かつてないほど、ひとりひとりの生き方や、自分の本当の強み・弱みが問われる時代。55:年収800万円は、先進国の世界的水準でいえば「少し貧乏」なレベル日本では年収800万円の幸福感が一番高いが、満足せずに、上を目指して挑戦すべき。87:内省を習慣にする毎日夜寝る前に、自分に対してさまざまなことを問いかけ、内省する。その際に、何かアイデアや思いが浮かんだから、すかさずメモを取る。243:英語の先生は吟味する英語を教える能力に加えて、ビジネス経験のある講師を選ぶ。英語表現だけでなく、論理的思考も合わせて鍛える。日本人のビジネスパーソンは、文一つ一つの英語はよいが、全体として何を主張したいのかよくわからない。
2018年02月11日
英国最大の銀行強盗事件
Marylebone RoadとBaker Streetの交差点にあるLloyds Bank・・・って、私が口座を持っている銀行支店じゃないか
30年前に留学した時に、LBSから一番近い銀行ということで口座を開いたのがここ。たしか、向いがNatWestで、どちらでもよかったのだけど、Lloydsのほうが「名前を聞いたことあるな」くらいでこちらにした。そこの地下貸金庫が1971年に銀行強盗にあっていたとは知らなかった。強盗は260の貸金庫をこじ開け、被害総額は£3M(現在価値で約50億円)と推定されている。被害額がはっきりと分かっていないのは、多くの利用者が被害届を出さなかったためで、映画でも「見られたくないから貸金庫に入れているんでしょ
」というセリフがあった。事件から4日後に政府によってD-Noticeが発令され、報道規制が敷かれたのも史実のようだ。映画では、エリザベス女王の妹であるマーガレット王女のプライベートな写真が含まれていたためだとされている。
いづれにしてもよくできた映画。LBS同窓生なら、特に

“ウォーキートーキー強盗”として有名なイギリス最大の強奪事件を基に作られたクライム・サスペンス。銀行強盗に入った先で、思わぬ王室スキャンダルを知ってしまったメンバーたちの起死回生の物語をドラマチックに見せる。主演はシブさが売りの『デス・レース』のジェイソン・ステイサム。彼を悪の道に誘うミステリアスな美女を『再会の街で』のサフロン・バロウズが演じている。複雑に絡み合う利害関係と、謎が謎を呼ぶ展開に興奮する!(Yahoo!映画)
2017年10月11日
南アフリカで会った3人

今回の出張で仕事以外で話した3人。
1.滞在中ずっと運転してくれた旅行会社のガイド兼運転手のKenny
ヨハネスブルク出身。父方はスコットランド出身で、母方はボーア人(現地オランダ系)だが、双方とも何世紀も前に移民できているので詳しいことは判らない。地元の大学を出てから2年間イギリスでワーキングホリデーをした。ガードマンをやっていたそうで、南ア出身者はガードマン、オーストラリア人はバーテンダーというのが定番らしい。帰国後、旅行会社に就職したという。愛車はスズキSwift。
2.LBS同窓生のParamesan
インド系の五世で、祖先は1860年に南アに移民したという。インド系は南アに100万人いるそうだ。人口5500万だから、約2%ということになる。LBS留学でロンドンに渡り、卒業後10年間CitiやGSで投資銀行業務。日本市場のデリバティブを担当していたそうで、日本に行ったことはないが、Mrs Watanabeのことはよく知っているという
。南アには今年の2月に帰ってきたばかり。現在はフリーランスでコンサルタントをやりながら、起業の機会をうかがっている。3.LBS同窓生のMalvern
ジンバブエ出身。ジンバブエの政治経済状況が最悪となり、ヨハネスブルクに出てきた。アフリカ最大の金融センターと言われるSandtonの損害保険会社で引受部長をやっている。我々の遠隔医療機器の話をしたら、「中進国」である南アよりジンバブエの方がニーズがあるという。腐敗した政府の国々の特徴として、貧富の格差が激しく、お金持ちは医療サービスは南アで受けるそうだ。
初のアフリカ訪問だったが、南アフリカに魅力を感じた。独立後もアフリカでは例外的に白人支配が続いたため、法の支配が定着している。一人当たりGDPは$12,500で日本の1/3ほど。そのため物価は安いが、LBS同窓生ら専門職の収入は欧米より低いが日本よりは高い。
2017年09月25日
漢方がロバを殺す

釜山で唯一のLBS同窓生は、20代を学生運動で警察から追われて過ごし、そのため釜山大学を卒業した時は29歳になっていたという。30代は韓国電力で中東やアフリカに駐在。ナイジェリア、コンゴ、ケニア、レバノン、シリアなどなど。紛争地が多く、レバノンでは内戦中に国内で2か所だけ残った発電所に最後まで残り、「ここで死ぬなら本望」と覚悟したそうだ。
現在は、アフリカの資源を中国に売る商社を経営する彼から聞いたのが、「ロバが大量に殺されている」という話。漢方で、ロバの革のゼラチンが重宝されており、中国マネーが世界中でロバの皮を買い漁っているのだそうだ。
そんな話、日本では聞いたことがなかったが、調べてみると確かにThe Guardianで報道されている。この記事によれば、
・世界中で何千頭ものロバが殺され、その皮が漢方薬の原料として中国に売られている
・ロバに頼って生活している貧しい人たちの生活が脅かされている
・皮を煮てゼラチンを取り出す
・取引価格は£300/kg(キロ5万円)にまでなることがある
・ロバのゼラチンは漢方で「血液の強壮剤」と言われ、貧血などに効果があると言われている
・ロバの市場価値が上がったため、まず中国国内でロバの数が半減した
・中国の輸入が増え、アフリカでロバの盗難⇒殺害が増えている
ということ。もともとは、漢方でも、皇室だけの「秘密」だったもの。それが、高度経済成長とともに庶民にまで普及し、2000年ごろからは通販で盛んに宣伝されるようになったという。
漢方には科学的根拠のないものも多く、また、薬効物質は他でも入手できることが多い。しかし、豊かになって健康と美容が最大の関心事になった中国の富裕層にとっては、「昔ながらのコレを試してみたい」ということなのだろう。
大枚をはたけば、違法でも、必ずその需要に応える犯罪者が出る。人数が多いだけに厄介な話だ。
2016年12月31日
Best International Business Schools

先週、今週と東京で二人のMBA志望者と会う。二人ともLBSが第一志望ということで、共通の知り合いからの依頼。いつも通り、LBSの特長、卒業後の進路、同窓会の状況などを彼らのバックグランド、将来計画を聴きながら説明。一人は会社派遣で、もう一人は(派遣制度がないので)自費で行くという。
丁度今月、Forbesで"Best International Business Schools"という特集が発表された。1000人の企業採用担当者、15000人の卒業生、9000人の最近の卒業生に調査したというから信頼性は高い。ここでInternationalというのは、「米国外」という意味で使われているらしく、対象はアメリカ以外のビジネススクールである。
LBSは世界第一位にランクされた。多額の投資が必要とされるMBAで最も重要な指標はMBA取得によって「年収がどれだけ伸びるか」。本調査の結果では、LBSのMBA学生の入学前の年収平均は$70,000(800万円)。これが、2年後の初任給平均が$140,000(1600万円)と倍になる。卒業生への調査では卒業6-8年後にはさらに$220,000(2550万円)まで増えている。一方、卒業時点での学生の借金平均は$70,000(800万円)で、これは2年間の授業料に等しい。
つまり、投資は、授業料+機会費用(2年間の給与)=$70Kx3=$210K。これでIRRを計算してみると15%
(年収は初任給の$140Kから毎年$15K7年後まで伸びると仮定し、それまでの年収$70Kとの差額を取る。税率は欧州で働くことを前提に一律50%。MBAの効用はここまでと仮定し、8年以降は計算打ち切り)トップランクのMBA志望者が毎年伸びるわけである。但し、この計算は、MBAに行かない場合の年収が$70Kで止まることを前提にしている。MBA前、就職後5-6年でこれだけの高収入を得ている優秀な人達だから、MBAに行かなくても年収は伸びているはずだ。仮に、MBAに行かずにそのまま働き続け毎年$10Kずつ年収が伸びるとする。MBA1年目は$80K、2年目は$90K・・・と機会費用は増え続ける。その場合のIRRは1%

ということで、毎年100万円以上年収を伸ばせている人は慌ててMBAにいく必要がないというのが結論。大学卒初任給が年収300万円、それから毎年100万円ずつ伸びて、5年後28歳(LBS入学時の平均年齢)で800万円になっているイメージ。逆に行くべき時は、キャリアチェンジ(エンジニアだったがコンサルタントに転職したい、経営者になりたいなど)したい時や、キャリアに行き詰まり感があり打開のきっかけが欲しいとき。
勿論、これは平均値の話なので、LBS卒業生の初任給も1000-2000万円まで幅がある。進路もリーマンショックまでは金融が一位、二位がコンサルティングだったが、現在はこれが逆転している。今年の卒業生の就職先で最も多かったのはマッキンゼーだったらしい。
2016年08月04日
空売りファンド

先週の伊藤忠商事株の急落から1週間が過ぎた。きっかけは、米投資ファンド「グラウカス・リサーチ・グループ」が7月27日に発表した「東芝と同規模の会計スキャンダルになる可能性がある」とした調査レポート。それまでの半額水準の目標株価631円という強い売り推奨を受けて、前日終値1262円から一時は1135.5円まで急落したのだ。
普段は全く相場を見てないので、こんなことがあっても気づかない私だが、同社株を買おうと思って大分前から指値していたのが、この急落で引っかかって買えたので気が付いた次第。丁度、その日の晩にLBSのPEファンド関係者で集まる予定になっていたので、しばしこの話題になった。
仕事じゃないので、誰も詳細に分析したわけではないが、
・グラウカスの空売りポジションを持ったポジショントークではないか?
というのが結論。しかし、そうだとすれば、これは、「風説の流布」に当たらないか?という疑問が出る。
当然、伊藤忠も「一片の曇りもない」と反発している。1週間経って、その間にどちらの主張が正しいのか商社担当のアナリストが一生懸命調べているはず。株価の動きは、急落した水準から回復してないものの、さらに下げてもおらず、持ち合い状態。
結末に目が離せない。
2016年06月03日
GE Health Innovation Village

GE Healthcareが実施しているOpen Innovation世界初の拠点はフィンランドにある。2014年に現地従業員の発案で空きスペースを利用して「勝手に」始まったのがGE Health Innovation Village。その後フィンランド訪問した役員の了解を取り付け「正式」に始まったのが2014年9月。
ヘルスケア関連のスタートアップ企業20社ほどが入居している。入居企業は募集→選考するものと、GEから声を掛けるものと両方あるという。入居企業のメリットとしては、.フィスが無料で使える、地下にあるカフェが無料(写真)、GEが業界に持つネットワークにアクセスできる。投資はしないとのことだった。それは事業部からではなく、GE Venturesからということなのだろう。
実は、これが今回のHelsinki訪問の目玉だった。LBS現地同窓会の人脈をたどって訪問の了解をもらう。あらかじめこちらの興味を伝え、入居企業7社のプレゼンテーションを受けた。
発案者でプロジェクトマネージャーのMikkoはコーヒーに特別こだわりがあるようで、専任のバリスターを雇用している。カフェの名前は、その名も、Warrior Coffee Houseであった。
2016年05月21日
LBS Finland Alumni Club

今回のフィンランド訪問では例によって現地のLBS同窓会にお世話になった。訪問日程と興味を伝え、Aalto大学のインキュベーション施設とGE Healthcare Innovation Villageを紹介してもらい、昨日訪問。
聞いてみれば、フィンランド同窓会は昨年9月に出来たばかりで、今回が初めてのイベントという。Sanomaというフィンランド最大のメディア企業の本社講堂で行われた(写真)。同社は上場しており、CFOが企業説明と課題、戦略を説明してくれた。
Sanomaは元々新聞社で、Helsingin Sanomatといいう日刊紙を発行している。そのシェアは圧倒的だが、購読者数が減る悩みを抱えているのは日本同様。そこでオランダのTV局を含むメディア企業Media BeNeを買収し、国別の売上ではオランダの方が大きい。利益率も成長率も高いのは教育事業で、オンラインを含む様々な教育教材を提供している。フィンランドの教育システムへの世界の関心が高いことを背景に、これから世界へ売っていこうという最も期待されている事業部だ。
フィンランド語は語感が日本語に似ている。それもそのはずで同じウラル語族で、ある単語に接頭辞や接尾辞を接続させてその文章の中での文法関係を示す膠着語という点も同じ。街を歩いていて、「あれ、これ日本語みたい」と思うような単語が書いてあったり、「XXは日本語では何というの?」と聞かれ、「○○だ」と答えると、急に笑い出して、「それはフィンランド語では△△という意味だ」といった感じ。国民性も落ち着いた感じで、アングロサクソンのラフな感じがほとんどしない。
ただ、共通点はその辺までで、550万人の小国で(面積は日本と同じ)気候も厳しいので、「自分たちで何とかしなければならない」という気持ちが強い。CFOの話の後、私もベンチャー企業の状況、日本経済の課題などについて質問されるままに話したが、日本の最大の問題は、「何とかなる」「誰かが何とかしてくれる」と思っていることだと説明した。
フィンランドの現在の失業率は9%だが、日本は3%だ。債務残高はGDP比でそれぞれ62%と232%だ。「日本は国の資産もあるから」という議論もあるが、それを除いても先進国最悪であることには間違いない。歴史を振り返れば、ここまで来て破綻しなかった国はない。
2016年05月16日
25周年同窓会
金曜日から日曜日にかけて行われた同窓会のすべてのプログラムが終了。同窓会は5年ごとに行われることになっており、今回はなんと卒業25周年。

卒業時の平均年齢30歳であった同級生は現在平均年齢55歳になり、レンジは50-60歳。アメリカ、メキシコ、ドイツ、スイス、ノルウェー、タンザニア、インドなど世界各国から集まったが、距離から言えば私が一番遠かったかも。同期の日本人では私が唯一の参加だったが、他の代も含めると5人くらいが日本から参加。
今回の一番の驚きは、既にリタイヤしたという同級生が何人かいたこと。参加人数からすれば1割くらいか。やはり、ロンドンに残ってシティで働いていた友達が多い。十分儲けたし、環境が変わって規制が厳しくなり、昔のように儲からなくなったからかもしれない。
リタイヤした同級生の一人にどうやって過ごしているのか聞いたら、「来月はアフリカに行って、ヘリコプターを借りてサファリする」と言っていた。やったことないので分からないが、個人的にはあまり興味がわかない。
日曜日には現役学生も含めて日本人だけで集まりランチをしたが、「大儲けするより、長く働きたい」という声が多かったのは日本的と言えば日本的。世界から集まった同窓生の中にいると、日本人は皆草食系に見えてくる。
2016年05月15日
VCのカネは使うな!
John Mullins
Wiley
2014-07-03
LBS同窓会では金曜日午後、土曜日午前、土曜日午後と4つずつ合計12の講義が現役の教授陣によって提供される。有名どころでは日本でも『ワークシフト』が大ヒットしたLynda Grattonなど。
今回、私が面白いと思ったのは、John MullinsのThe Customer-Funded Business。「事業計画書を書いて、VCから投資をしてもらって、大きな事業を立ち上げる」というやり方は過大に宣伝されすぎているという。その片棒を担いできたのはMBA教育で、その反省も込めた本になっている。
・世界で最も成功している米国VCのファンド研究でも、満足なリターンを出しているファンドは1割にしか過ぎない。3/4のファンドは損失を計上している。
・高いリターンを出しているVCファンドでも、その大半を稼いでいるのは数百倍になるような投資案件が入っていたファンドだけで、成功率が高いわけではない。
・逆に、VC比率が高いと成功確率が低くなるという逆相関関係が観察されている。
・ほとんどのビジネスが当初考えた事業計画ではうまく行かず、事業開始後Plan Bに変える必要があるのに(ピボット)、VC比率が高いと説得するのに時間が取られ、決断が遅れてしまう傾向がある。
・VC比率が高く、経営陣の持ち株シェアが低いと、こうした事業転換に際して経営陣のモチベーションが低くなる。
・VCとの交渉、報告に時間が取られ、顧客に向き合う時間が少なくなる
従って、アーリー段階で不利な条件でVCから資金調達し、VC比率を高くすることは絶対に避けるべきだという。VC以外からの資金調達の方法として、家族や友人からの出資に加えて、「顧客からの『資金調達』を考えるべき」というのがMullins先生の主張。VCからの調達は、ビジネスが回り始めて、VC側から「ぜひ投資させてくれ」と言ってくるようになってからが望ましい。
5つのモデルが提示された。
.泪奪船鵐哀皀妊襦Airbnbなど、自社で在庫を持たずに、マッチングの手数料で儲ける)
∩以Гぅ皀妊襦覆つてDELLがやったように、顧客に先に代金を払ってもらってから仕入れる)
D蟯購入モデル(新聞や雑誌の定期購読などサービスが始まるときに全額が入り、サービス提供は後)
ご少モデル(数量を限定することで在庫リスクを減らすとともに、顧客の焦燥感を煽る)
ゥ僖奪院璽顕愁皀妊襦併たようなサービス提供をまとめて定型のパッケージ商品にすることでコストを劇的に下げる)
全てのスタートアップに適用できることではないが、多くの新規事業に使えそうだ。顧客が前払いしてでも買いたくなるような商品でなければ、製造してもたいして売れない可能性が高い。
因みに、銀行からの借り入れが全く検討されてないのは、欧米で創業資金を銀行から借りることはまず考えられないから。銀行がハイリスクの融資をすれば不良債権に繋がり、銀行システムの信用が揺らげば、金融危機につながる。「日本の創業資金の最大の出し手は銀行」というのは説明に時間が掛かりそうなので先生に言いそびれた。
2016年03月12日
Reunion 2016

5月の同窓会出席のため、航空券を買った。今回はロンドン滞在は同窓会が実施される3日間だけにして、その前に3日間パリに滞在することにした。昨年9月に来日して香川を案内した投資家の同窓生にパリを案内してもらおうと思う。
日本の大学の同窓会と違うのは、同窓会イベント自体がチケット制であること。それも、かなり高い。今年の同窓会はこんな具合。
Speaker Programme: £69-99(今月末までに買うと£69で、それ以降は£99)
1ポンド=160円位だから、「早割」で約11千円、通常料金で16千円ということになる。
これに含まれるのは、金曜日午後~土曜日にかけて行われる現教授陣による講義とその間の食事。
Friday "Night at the Zoo”:£40-50(今月末までに買うと£40で、それ以降は£50)
大学近くにある「ロンドン動物園」(世界最古の動物園)の貸し切りイベント。昨年は「ロンドン自然史博物館」の貸し切りだった。
Sunday Garden Party:£45 family ticket (2 adults and up to 3 children), £20 per adult, £5 child 5 - 17, children 0 - 4 attend for free
大学の中庭で行われる家族向けのBBQイベント
Class Celebration:£70
クラスだけで集まるReceptionとDinner。これまでは市内のレストランを貸し切ってやることが多かったが、今年は大学内のレストランらしい。他のイベントは大学全体なので、他の学年と合同。卒業後5年ごとの節目の年に集まることになっている。
ということで、フルに出席すれば£224(いずれも「早割」で購入した場合)となり36千円となる。ロンドンに住んでいる同窓生はClass Celebrationだけという人も多い。10年くらい前は子育て世代が多かったので、家族イベントへの出席者が多かったが、今回はうちのクラスからは減るだろう。
キッチリ料金を取って、その代わり、高い満足を保証するというのがイギリス流(といいうよりLBS流なのか)。
2016年02月12日
ロンドンで本を読む
正直に言うと、東大卒の友人には「敵わないなー」と言う人が何人かいる。その教養の幅と深さが私とは桁違いなのだ。それも、無理して「教養を身に着けました」という感は全くなく、好奇心の赴くままやっていたら自然とこうなったという感じなのだから嫌になる。ああいうタイプに早稲田では会ったことがない。仕事上は微妙な差なのかもしれないが、やはり「違う」と思わざるを得ない。
ロンドンに留学していた時、同級生にOxfordやCambridge卒が何人かいて、その時感じたのも、この教養の差。同じ試験と面接を受けて数十倍の倍率を潜り抜けて入学しているので、学力上はそれほど差がないはずなのだが、話していて付いていけなかった。
東大卒の作家は沢山いるが、その東大教養主義?の代表と私が思っているのが丸谷才一。エッセイを読んでいてその博覧強記ぶりに驚かされる。東大英文科の卒で、卒論はJames Joyceだったらしい。
その著書に、『ロンドンで本を読む』があるのだが、こちらはまだ読んでなくて、その本についてご本人が書いたエッセイ「本のジャケット」から。イギリスの書評を読むのが好きで、これが40年以上続いているという。
ここに出てくる「調理法=receipt』の話は、1950年代の話。大英帝国の瓦解が最終段階に入った時期だが、支配階級と労働者階級の言葉は全く違っていた。勿論、今でもイントネーションは明らかに違うのだが、支配階級は今でも調理法のことをreceiptと言い、上着のことをcoatと言うのだろうか?あまり聞いたことがない。
55:イギリス書評がどういうふうに優れているかは、その本の序文に詳しく書いてありますが、まづ分量がたっぷりある。中身が濃い。そして書きっぷりに芸がある。たとへば終わり方にしたって、日本の書評みたいに、「近来の良書と言へよう」とか、「多少の問題はないでもないが一読に値する好著である」とか、そんな詰まらぬことは書かない。
56:こんな注は実際なくてもいいと思えるところに、いくつもの誤りが散見される。アグラはガンジス河畔にはない。ウィンチェスターはロンドン・ポーツマス間の鉄道沿線にはない。(中略)これは重箱の隅をほじくることになるかもしれない。でも、シャーロック・ホームズは何と言っていたかな?「僕の方法はきみも知っての通りだよ。些細なものの観察が基本になっているのさ」(The Economist『オックスフォード版シャーロック・ホームズ全集』の書評)
61: Bevis Hiller 『フロント・カヴァー』の書評
イギリス労働者階級 支配階級
調理法 recipe receipt
上着 jacket coat (コートはover coat)
「ジャケットを着てるのはポテトだけ」
2016年01月25日
初代ゴルフを基準として『間違いだらけ』を書いた
1976年に出た『間違いだらけのクルマ選び』は大ベストセラーとなり、30歳で経営していた会社を倒産させてしまい、生活に困窮していた杉江博愛(本名)を一躍有名人にした。以来、2014年11月7日に亡くなる直前まで「徳大寺有恒」は書き続けた。
私も本やエッセイを何度か読んだことがある。スーパーカー世代でそれなりに車に関心があったし、徳大寺さんの書くものはクルマだけではなく、文化論でもあった。その徳大寺さんのベストエッセイ集が出たので、懐かしさもあって、読んでみる。
興味深かったのは、「初代ゴルフを基準として『間違いだらけ』を書いた」(『自動車博物館』1986)という下り。
29:毎日が満足の連続。幸福だった。どんなクルマをテストしても、自分のクルマに乗るとホッとした。そのVWゴルフを基準として『間違いだらけのクルマ選び』を書いた。そして徳大寺有恒となった。
昨年はドイツを震撼させる大スキャンダルに見舞われたVW。その代表車種であるGolfは1974年に登場。スタイリングとパッケージングはジウジアーロ、エンジンはAudi、その他はVWによって開発されたというから代表車種にしてはアウトソーシングなのはどういう事情だろう。
「生活は苦しいがクルマは欲しい。そんな中、奥さんが買ってくれた」(と書いてある)のが初代Golfであったらしい。
28:ビートルから四角になったVWゴルフをVWファンは好まなかったらしい。ヤナセも大まけにまけてくれたのだ
前世代のビートルがそうであったように、ゴルフも革新的な車だった。「当時の水準では一頭地を抜いたハンドリング、動力性能」であったのである。以来、ゴルフは世界の小型車のスタンダードになる。尤も、モデルチェンジの度に大きくなり、今では中型車だが。
そのゴルフのホットモデルがGTI。これには少々思い出がある。
ロンドン留学中の夏休み、私はドイツ人の同級生をスイスのSt. Gallenに尋ねた。彼は欧州大陸で経済学トップレベルのHSG大学院に在籍しながら、LBSでMBAも同時に履修していた。夜、Zurichで会合があるので一緒に出ようという。Zurichまでは100km足らずの距離。この時乗ったのが彼のGolf GTI。10年落ち位の初期型だったと記憶しているが、Zurichまでの山道を小気味よく走る。これが後にも先にもGTIに乗った唯一の経験。
それから20年。5年前にロンドンで開かれた同窓会で彼に卒業以来で会った。
「あの時は楽しかったね。ところで、あのGTIはどうしたの?」
と聞いたら、なんと、まだ持っているのだという。ドイツを代表するIT企業で若くして取締役になった彼。今では、PorscheにAston Martinなど愛車は5台に増えた。初代GTIは、今や「買った時より値段が高い」のだそうだ。

2015年12月14日
ビジネススクール卒業生がMBA現役学生にローン

先日届いたLBS同窓会誌にProdigy Financeという会社の広告が入っていた。
"Prodigy Finance connects alumni investors with student borrowers at leading business schools. Earn a competitive financial return by investing in the next class of LBS students. An investment in LBS's interest that will pay you interest."
要するに、卒業生に対し「現役学生にローンを付けませんか」ということである。こういった、貸し手と借り手を結び付けて手数料を取るビジネスは、Peer to Peer Lendingとか、Social Lendingとか言われる。
2006年にProsperが始まった時は、自分のやりたい夢などを書いて、それに共感する人が寄付をする感覚だった。ところが、それではビジネスとして拡大するには限界がある。次第に、従来銀行が担ってきた通常の企業向け融資や、不動産担保融資を扱うようになり、投資家も個々の案件に融資するのではなく、複数案件をポートフォリオにしたファンドに投資するようになった。
存在するのはWeb上の仕組みだけで、高給の銀行マンや店舗がないから、高いリターンが得られる。2014年12月NASDAQに上場した米国大手のLending Clubのレートを見ると9%前後のリターンがある(リスクによって変わる)。金利がより低い日本では5-6%のようだ(Crowd Bankの例)。
Prodigy Financeは2007年にINSEAD MBA卒業生3人によってスタートし、融資先を世界のトップBSの学生に限定した学生ローンに特化しているところが特徴である。これらのBS卒業生の初任給は1000万円を超える一方、学費も1000万円位かかるので、多くの学生はローンを組む。昔は、入学式に銀行が出張所を開いて学生ローンの受付をしていたが、現在はどうなのだろう?
2015年09月18日
富裕フランス人の移住先

今週はフランスから来たLBS同窓生を香川に案内した。これまで3回東京で会っていて、今回は「私の故郷はどうだ」と誘ったのだ。
彼はエンジェル投資家で、個人資金を数千万円単位でスタートアップ〜アーリーステージの会社に投資している。パリ在住だが、投資先は「シリコンバレー中心に世界中」で、一年のうち半分をパリで、残りで世界中を廻っている。「世界一周チケットのほうが安いから」と、毎年30か国くらいを訪問するそうだ。
その彼が、「兎に角、フランスを出たい」という。最大の理由は税金の高いことで、年間所得の85%を税金で取られている
そもそも所得税の最高税率は75%と高いうえに(日本は最高税率45%+地方税で55%)、フランスにはISFと呼ばれる「富裕税」(資産税)があり、世帯の純資産額に応じて0.55%(€79万以上)~1.8%(€1654万以上)が毎年課税される(2012年当時)。€79万といえば約1億円だから、共働きで浪費していなければ普通に持っている額だ。これに毎年55万円資産税が掛かることになる。日本の低金利なら、持っているだけで赤字になってしまう。その後、税改正で、最低課税額は引上げられたようだが、例えば、€400M(約5億円)以上であれば、€950,000(1200万円)課税される。これを合わせると、「所得の85%を納税している」ということになるのである。
フランス人にとって最も手軽な移住先は隣国のベルギーらしい。フランス語が通じる地域が多いし、パリから近い。フランス一の大富豪であるLVMHのベルナール・アルノーCEOも、ベルギー国籍を取った。ベルギーは世界有数の重税国で、中間所得層にとって税務上のメリットは全くない。それでもベルギーに移住するのは、富裕税・キャピタルゲイン課税がない事や、安定した政治にあるという。フランスでは政権が変わるたびに税制まで大きく変わるので、税対策が取りづらいのだ。
さて、わが友が移住候補第一に挙げたのは、日本
かなり本気のようで、仕事でよくいく英米、それに自国も加えて、こう比較した。フランス:政治がポピュリズムに陥っており、次から次へとバカな人が選ばれ、人気取りの政策が実施される。頑張って稼ぐ人が報われず、怠け者が増える一方。治安の悪化も酷い。
イギリス:制度はいいが、兎に角、天気が悪い。

アメリカ(シリコンバレー):世界一ダイナミック。税金が安い。物価は高い。一般人の教養がない。

日本:人は親切で教養もある。物価が安く、街もきれいで、治安が良い。夏を除けば気候もいい。
移住以外でも、外人旅行客の日本人気は当面続きそうだ。但し、政府財政が世界一悪いので、現在の低負担(図)が続くことはないと指摘しておいた。簡単に言えば、今の日本は、「西欧諸国並の高福祉を行いながら、アメリカ並の負担」しか国民がしてない。赤字が出るのは当然だ。
2015年06月28日
55歳までにやっておきたい55のこと
藤原さんは、リクルート社員を辞め、「フェロー」契約する前に、LBSで半年ほど研究員をされていた。その縁で、同窓会で講演をお願いしたこともある。
ロンドンに発つ前、英語の履歴書づくりを専門家と打合せしたという。その際に、「結局あなたは何ができる人なんですか?このレジュメからは伝わってきません」「ヨーロッパで何がしたいんですか?目的をもっとはっきりさせないと」と質問された。
リクルートで藤原さんがやってきたのは、情報誌を媒体にしたマッチングサービスで、新事業立ち上げを幾つも成功させてきた藤原さんにとっては屈辱的な質問だが、「それまでいかにいい加減に自分のキャリアを捉えていたか、いかに曖昧なまま”関わった”程度の実績で鼻を高くしていたか、いかに今までのやり方では国際的に通用しないか、痛感」したという。
その藤原さんが「タダでやっておいた方がいい仕事」として腐心した大阪府の教育改革は成果を上げつつあったのに、何人かのダメな民間出身校長を採用したせいで、改革反対派から改革全体がダメであるかのようにレッテルを張られようとしている。これは、単に採用の失敗だから、面接者に見る目がなかったということと、採用プロセスに(面接が十分でないなど)問題があったのかもしれない。
大阪都構想は選挙によって否定されたが、改革の流れを止めてはいけないと思う。
*長い長い「老後」 坂の上にあるのは、ぼんやりした「雲」ではなく、次の新たなる「坂」127:捨てること、断ること133:本を出す149:投資する側に目を向けよ163:タダでやっておいた方がいい仕事大阪府教育委員会 特別顧問177:あえてマイナスの話をする自慢話など聞きたくない。
2015年06月27日
カンボジアで唯一の同窓生

いつものことだが、海外に行くときはLBSの同窓会名簿を調べて、現地の同窓生にアポを取ってから行く。MBAの同級生は180人しかおらず、それも、同じクラス以外はほとんど知らないので、直接知っている同窓生は60人ほどしかいない。それ以外は一度も会ったことのない同窓生と言うことになる。それでも、「MBA31 の高木で、日本の同窓会長をしていた」といえば、大抵の同窓生が時間を取ってくれるのがLBSのいいところ。
実は9年前に初めてカンボジアを訪問した時、同窓会名簿に現地在住の同窓生はいなかった。世界150カ国に同窓生が居る中、一人も居ないというのは逆に珍しい。それだけ、当時のカンボジアは「新しい国づくりが始まったばかり」ということだったのだろう。
今回検索したところ、2人の同窓生が在住となっており、連絡を取ってみた。直ぐに二人から返事があったのだが、一人は今はロンドンベースになっているという。もう一人の昨年卒業したばかりのMBA2014のイタリア人は居るということでランチすることにした(写真)。
Aldoはミラノの出身で、国連WFP勤務。大学卒業後、ずっと国連勤務だそうだ。MBAには「派遣だったのか?」と聞いたら、自費で行ったそうだ。20代の頃、紛争地での勤務が長く、危険手当が貯まったので、「他の可能性も探してみたい」と2年間休職してLBSに行くことにしたという。LBSでの経験は「最高だった
」というが、自分にはWFPの仕事が合っていると復職した。彼のチョイスで向かったのは、タイ&クメール料理の店Khmer Surin 。Surinとはカンボジア国境にあるタイの地域で、人種的にはカンボジア人らしい。伝統的木造家屋を改造した老舗で、各SNSでの評価も高い。今回は一階の中庭に面したテーブルだったが、床に座って食べる2階も面白そう。
2015年05月15日
英老舗ロンドン・ビジネス・スクール、米の牙城に一穴

既に読まれた方も多いと思いますが、昨日の日経新聞に母校LBSの記事が出ていました

経営学修士号(MBA)の取得を目的としたビジネススクールで、英国の老舗ロンドン・ビジネス・スクール(LBS)が高い評価を得ている。老舗ブランドに甘んじることなく、絶えず新機軸を打ち出してきたことが人気の秘訣だ。時代に沿った改革を通して世界中の学生にアピールし、ビジネススクールの世界ランキングでも米国勢が幅を利かせる中で上位を保っている。
記事の基になっているのは、以前にも紹介した、Financial Times紙のMBA世界ランキングです(表)。同ランキングは、教育や研究に関する学校へのインタビュー、卒業生の調査(授業の満足度、希望の仕事に付けたか、卒業後3年間の年収など)によって出されています。
欧米では誰でも知っていますが、日本ではなかなか上がらない知名度。LBSの記事が日本の主要メディアにこれだけの大きさで出たのは初めてなので、今後に期待したいです。最終的には、卒業生の活躍が学校の評判を決めるわけですが。
2015年04月17日
Old Marylebone Town Hall

初来日したDean Andrew Likiermanを囲んだ同窓会は大盛況であった。翌日は、継続寄付者だけが呼ばれるランチがあり、ここでの話題の中心は現在工事中の新校舎。
それは、本キャンパスであるSussex Placeから徒歩6分の所にあるOld Marylebone Town Hall。LBSは2012年、この歴史的建物の所有者であるCity of Westminster(ロンドン市内の区)と35年間の賃貸契約を結んだ。
ここは1920年に竣工したイギリスで最も有名なRegistry Office(登記所)である。そこには、誕生、死亡、結婚の記録が保管されている。英国王室もそうだし、チャーチルもサッチャーもだ。もうすぐ来日するポール・マッカートニーは、ここで結婚登記を行った(2回)。 リンゴ・スターも、やはり2回(笑)。
改装には£60M(約100億円)掛かるので、これも含めて大学では「次の50年£100M寄付キャンペーン」を実施中(約180億円)。一昨日の話では、£88Mまで集まったらしいが、もう一息。ちなみに、この金額は、イギリスの大学が集めた寄付金の最高記録である。一人で£25M出してくれた卒業生が居て、新校舎は彼のお父さんの名前を取って、Sammy Ofer Centreと名づけられることが決まった。(写真は完成予想図)
2015年04月16日
Sir Andrew is in Tokyo!

LBS日本同窓会長を辞して3年になるが、昨晩は、久しぶりに大勢の同窓生の前で話した。その数ナント150人
日本同窓会として過去最高の人数である。その理由は当然、私ではない(笑)。5年前に学長に就任したSir Andrew Likiermanが初めて来日したのだ
丁度今年は大学創立50周年。Sir Andrewとは4年前に香港でアジアの同窓会リーダー会議が行われた時に会って以来。元々は、MBA1年生の時の管理会計の先生がProf. Likiermanであった。
Sir AndrewはLBS奉職40年になり、昨晩その間の変遷について語った。40年前のLBSは学生も教員も大半がイギリス人であった。MBA学生は100人以下。短期コースに通う役員の数は年間に500人ほどだったという。
現在は、「世界一国際的」と言われる学校になった。学生の9割近くが留学生。教員の過半数はアメリカ人ということ。MBA学生は400人(1学年)。MBA以外のプログラムも増え、毎年2000人が卒業する。短期コースで学ぶ役員の数は1万人になっている。
日本同窓会も、私が関わりだした15年前は名簿で把握できていたのが100人ほど。現在は、600人の会員を擁するまでに拡大した。



















