2025年10月09日
起業エコシステム
「研究所を持っている会社には本質的な不利がある。こういう会社は大きく、成功しており、老舗である。だからアイデアの活用には抵抗がある」(ゴードン・ムーア)
という指摘は面白い。アメリカでも安定的に儲かっていた大企業はかつて「研究所」を設けたが、そうした研究所が業績に貢献することはほとんどなかったため、次々と廃止された。
では、現在のアメリカでの研究はどこが担っているのかと言えば、それは大学と政府系機関だ。そして、その研究結果を事業化しようと「開発」しているのは主にベンチャー企業ということになる。209:パロアルト研究所LANやレーザープリンタなどを発明したが、ゼロックスの売上にはほとんど貢献せず。AT&Tベル研究所トランジスタやCCDイメージセンサの発明で、7人ものノーベル物理学賞受賞者を輩出したが、AT&Tの業績に貢献せず。
低いと言われる日本の「開業率」だが、ピークの1988年には8%あった(前後の数年間は7%+)。バブル後の90年代は4%台に低下したのだが、当時の「アニマルスピリッツが不動産ビジネスに向かい無駄に消費された」のは残念だ。210:技術の活用には既存大企業よりもベンチャー企業が向いている開発と活用を一社で完結するのではなく、開発と活用を分離すること。
245:アナリー・サクセニアン『現代の二都物語』単に狭い地域に密集して企業が集積しているだけで、非公式のコミュニケーションや頻繁な転勤による人間の移動などで「企業の境界を越えてイノベーションに関連する知識が流通する」ことがなければ、集積による効果は得られず、オープンイノベーションは起きない。
世界中で繰り返されてきた「シリコンバレーの模倣」。そのほとんどが失敗したが、そのカギは人と情報の「流動性」だという。
246:Entrepreneurrial Ecosystem文化的特性=企業活動やリスクテイク、イノベーションをポジティブに捉える文化社会的特性=才能ある人材が多数いること、人的ネットワークで、起業家、投資家、先輩起業家、金融機関、従業員などがつながり、企業に必要な知識が流れること物質的特性=政策や弁護士、社労士、弁理士、インキュベーター、アクセラレーターなどの専門家、オフィス、通信インフラ、交通インフラなどのインフラ、十分な規模のローカル市場があるか、グローバル市場へのアクセスがあるか

