2025年06月02日
地経学
最近言われ始めた「地経学」。従来からあった「地政学」と「経済学」のハイブリッド分野で、著者は東大の公共政策大学院教授で、国際文化会館の地経学研究所所長。
これまで国際政治学研究では、ハイポリティクス(軍事や外交、国家安全保障)とローポリティクス(通商や貿易、通貨など経済関係)に分かれ、「別々に展開していた」という。両者が結びつけられ「国際政治経済学」という分野が確立したのは、1970年代の石油ショックがきっかけであった。この時OPECは政治目的のために石油輸出という経済手段を用いた。
2001年に中国がWTOに加盟し「世界の工場」としての歩みを進めると共に、蓄積された富により巨大市場となった。中国がグローバル・サプライチェーンに組み込まれ、世界市場が一層統合したのである。西側諸国は、これによって、中国の民主化が進むと考えていた。
ところが、世界第2位の経済大国となった中国は、政治・外交的目的のために経済を武器として用いるようになる。尖閣諸島で日本とぶつかれば、日本へのレアアース輸出を禁止し、豪州から人権問題を指摘されれば、豪州農産物やワインを輸入禁止にする。こうした国家行動をES(Economic Statecraft)というらしい。
こうして、新たなステージに達した国際政治経済学を、国際情勢や地政学的要素を経済から捉え直す「地経学」と呼んだのが著者である。
「武器を使わない戦争」
米ソ冷戦と決定的に異なるのは、米中関係はすでに深い相互依存関係にある点。
トランプ政権「デカップリング」は、現実的に不可能。
「政冷経熱」
日本では中国と政治・外交的には問題を抱えていても、経済は関係を強化。
