2025年07月09日
生命とITの〈あいだ〉
本書、IOWNの話だけでなく、NTT澤田社長が各界の著名人と会談する各章がある。最初は、「生命とITの〈あいだ〉」(福岡伸一x澤田純)。
61:ウイルスというのは、その単純な構造から生命の初源からあったように思われがちですが、実際は進化のプロセスを経て高等生物が出現した後に生まれました。そもそもウイルスは、我々の遺伝子の一部がちぎれ出たもの。つまり、私たちの身体の一部だったもの。
これは、知らなかった。驚き。
63:西田幾多郎が立ち戻ろうとした「ピュシス(physis)」⇔ロゴス(logos)
ピュシス=古代ギリシア語で「本来の自然」
66:生命進化の最前線にあるガラパゴス
ガラパゴス諸島は、海底火山の隆起によってつくられた、ごく新しい環境。古い島で誕生から数百万年、新しい島では数十万年しか経過していない。最初は水も土もなかったところに、1000kmもの旅を経て、なんとか流れ着いた植物などの種が乾燥に耐えながら少しずつ土壌をつくり、それを餌にする鳥がやって来て、虫が飛んできて、さらに奇跡的に流れ着いたゾウガメの卵が孵化して出来上がったのがガラパゴス。(中略)つまりガラパゴスというのは生命の最前線、進化の前線にある。ガラパゴスこそがブルーオーシャンであり、生命の楽園。
70:進化の過程で魚の背骨は最後にできた
魚にはもともと背骨がなかった。そのままでは体を支えることができないので、大きくなれない。そこで、細胞が集まったときに、内側に何かかたいものをつくったほうがいいということになって、背骨ができた。生命の38億年の歴史のうち、最初の30億年ほどは、生物は背骨を持たなかった。
71:余裕があることに生命進化の強靭さがある
平時であれば、トレードオフの考え方に基づいて、効率性や経済合理性を優先してつくればいい。ところが、有事になると、設計時には想定しえなかったことが起きて、そのシステムはとたんにグラグラと揺らいでしまう。
77:矛盾したものが同時にあるという状態は、西欧の人には通じにくい
東洋思想では、人間を、矛盾を抱えながら相反するものが同時に存在するもの、として捉える。
82:生命の本質は「自分自身を壊せる」こと(動的平衡)
自己を破壊できて、それも率先して自分自身を壊しながら、なんとかエントロピー増大の法則に抵抗している。物質はエントロピーの坂をどんどん転がっていくけれど、それに抵抗するために、生命は自分自身を先回りして壊しながら、エントロピーを捨てながら、つくり替えている。相対としては、合成する速度よりも分解する速度の方が早くなってしまう。そうすると全体としては少しずつ分解されて行ってしまうので、ここの生命には限りがある。
