2025年04月19日

谷崎潤一郎論

谷崎潤一郎・川端康成 (中公文庫 み 9-16)
三島 由紀夫
中央公論新社
2020-05-21



日本文学の師匠(会計士)が、「三島由紀夫の谷崎潤一郎評がいい」といいうので、読んでみる。「瘋癲老人」を目指しているらしいのだが

大谷崎(おおたにざき)筑摩書房『現代日本文学全集18谷崎潤一郎集』月報 昭和29年9月

10:谷崎氏には一流趣味があって、若年のころから中央公論にしか執筆しなかったと自分で書いている。仄聞するところによると、近年でも、主治医は一流の国手の由である。食べ物も菓子も、日常生活すべてに、氏は今日なお一流趣味を貫いているようである。

13:おそらく谷崎氏の生き方には、私の独断だが、芥川龍之介の自殺が逆の影響を与えているように思われる。芥川の死の逆作用は、大正時代の作家のどこにも少しずつ影を投じている。谷崎氏は、芥川の敗北を見て、持ち前のマゾヒストの自信を以て、「俺ならもっとずっとずっとうまく敗北して、そうして永生きしてやる」と呟いたにちがいない。
 実際、芸術家の敗北という、これほど自明な、これほど月並みな、これほど必然的な帰結について、谷崎氏ほど聡明に身を処した人はなかった。戦わずして敗北し、ご馳走をたべ、そして永生きすればよいのだった。

19:日本橋三越「文豪谷崎潤一郎展図録」昭和41年11月)
氏は日本文学における万能の天才であり、王者である。このような絶対的王権は、日本近代の他の作家が、望みつつ、ついに誰一人、手にしえなかったところのものであった。

76:『瘋癲老人日記』ちらし 昭和37年5月
「瘋癲老人日記」は正真正銘の傑作であるのみならず、谷崎連峰の、「刺青」「痴人の愛」「蓼食う虫」「卍」「春琴抄」「細雪」「少将滋幹の母」につづく、否その中で最高峰を占めるかもしれない完璧な芸術的達成である。老境にいたってこの大文豪が、かくも強い筆致と濃い艶情を持し、衰えを見せぬどころか、却って芸術の奥殿へ跳躍したその力には瞠目の他はない。

88:身も蓋もないことを言いつづけた人(『サンデー毎日』昭和40年8月15日号)
それはいわば周到な礼譲に包まれた無礼な心という点で、氏の生活と照応しているが、晩年の不気味な傑作「瘋癲老人日記」にいたるまで、氏は、人間精神が官能に必ず屈服するという一つの定理をしか語っていない。




shikoku88 at 18:27コメント(0) |  | その他 

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