2025年04月10日
グローバル化の代償
グローバル化は消費者にとっては福音だったが、その代償もあった。
実は、1990年代からの中国や韓国への生産シフトで日本は米国以上に製造業の雇用を失っている。最初は半導体産業が韓国へ、その後はエレクトロニクスが中国に移っていった。米国ラストベルトで失業した白人の怒りがトランプ大統領を実現させたと言われるが、日本の方が雇用を失っていた。それが怒りに繋がらなかったのは、社会保障制度で生活が守られていたから。それは赤字国債の増発で賄われたので、政府債務残高は倍増した。215:グローバル化の代償1990年からの4半世紀に英国は製造業の雇用の半分近くを、日本は1/3を、米国は1/4を失った。雇用の落ち込みは生産の自動化も原因だったが、国際サプライチェーンの成立によって富裕国経済の工場雇用は着実かつ段階的に減少し、崩壊の危機に瀕していた。ノルウェーでの研究によると、中国からの輸入と製造業の雇用減の間には強い相関関係があった。
一方、米国は高付加価値なソフトウェア産業や金融業にシフトし平均賃金は上昇。安価な輸入品で物価は安定し、両方の効果で、米国全体にはかつてない繁栄をもたらした。217:グローバル化が奪ったものグローバル化は所得格差の拡大に大きな役割を果たし、国際企業の経営者や、国際化する経済に適したスキルの持ち主に高収入をもたらす一方、大多数の人々は賃金交渉力を失った。
この格差がグローバル化に取り残された人の怒りを煽った。日本は累進課税になっていて、これほど極端な格差にはなっていない。219:ヨーロッパ・米国・中国人口の上位1%が富に占める割合は1985年には26%だったが、2015年には33%に達した。この増加分は中流家庭が富に占める割合の低下と一致している。

