2025年01月15日

世界最初の基軸通貨英ポンド

強い通貨、弱い通貨 (ハヤカワ新書)
宮崎 成人
早川書房
2024-08-21



第2章は「最初の基軸通貨英ポンドの凋落」。19世紀末にアメリカは世界最大の経済国となっていたが、それによって自動的に、ドルが基軸通貨になったわけではない。

76:英ポンドが基軸通貨の地位を失う→世界経済の混乱とWW2→アメリカがリーダーの責務を負う決断

つまり、本来なら第一次世界大戦で勝ったとはいえ、多大な打撃を受けた英国に英ポンドを支える経済力はなかったのだが、当時のアメリカはアメリカファーストであり、そうした国際的な責務を負うことには関心がなかった。ウィルソン大統領自ら提案した世界初の国際的平和維持機構である国際連盟に議会の承認が得られずアメリカ自体加盟しなかったのもその表れだ。
77:英ポンドを基軸通貨にしたのは金本位制
19世紀前半に英国で始まる→1870年代に仏、独、米、日などが次々と採用
産出量の限られる希少金属の金に結びつけるシステムなので、極めて安定的だが、硬直的。
不景気の際の利下げや財政出動ができない(金との交換要求が増えてしまう)。
不景気の際は、企業が倒産したり失業が増えて、労働者の賃金が下落することで、輸出競争力を回復。
英ポンドは金に裏付けされており、世界初の産業革命を成し遂げた英国経済が強力であったので、世界から信頼されたということだ。ただそれだけではなく、以下の理由があったという。
79:英ポンドが基軸通貨となった理由
�〃从冦呂鳩鎧�力
�∋駛寨⊇弌�1870~75には平均毎年£75Mの対外投資→£50M+の利子・配当収益)
�6睛札札�ターが発達し、トラブル解決のための法務などのインフラが整っていた(シティー)
�ぅ櫂鵐匹悗凌�認
要は、「使い勝手が良く、シティーを通じて海外にも多く供給され、恒常的な経常黒字により累積した豊富な金準備を背景に価値が安定している一方で、調達金利は安く信頼性は高い」から基軸通貨なのだ。では、「誰が英ポンドを殺したのか」?
89:
�ゞ睨椣明�復帰の失敗
WW1中のインフレ率はアメリカに比べてイギリスの方がかなり高かった
��大陸の金融危機(ドイツやオーストリアの混乱→不良資産化)
��スターリング・ブロック
1932オタワ会議 イギリスと自治領・旧植民地が、グループ外に関税障壁
戦時中は金本位制を停止しており、第一次世界大戦後の市場レートは戦前に比較して3割ポンド安であったという。なのに、戦前のレートで無理やり金本位制に復帰したことから、金への引き換え依頼が殺到した。戦前レートでの復帰には、ケインズが「デフレ政策」になると反対したが、チャーチル蔵相(後の首相)が「大英帝国の威信」に関わると押し通したという。

他にも、シティに集まった資金を当時の新興国であったアメリカやドイツなどに投資し、将来のライバルをせっせと育成したという面もある。基軸通貨を失った世界はやがて世界恐慌に突入する。
1930年代の世界恐慌
「システムを安定させる能力をイギリスが失っており、その能力を持っていたはずのアメリカには責任を負う意思がなかった」(チャールズ・キンドルバーガー)



shikoku88 at 18:41│Comments(0)│本 | 経済

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