2024年09月18日
大衆が生み出した「超民主主義」
「保守こそがリベラル」であるというオルテガ。相手を頭から拒否したり、ラベル張りをする右翼とは違う。
54:保守的であるがゆえにリベラリズムを徹底的に擁護した。
リベラルの出発点は、ヨーロッパを二分した「30年戦争」でのプロテスタントとカトリックの対立らしい。
ここで登場するのが、「大衆」と対立する概念としての「貴族」。結局、オルテガは貴族制を推奨しているのかと思うが、オルテガの言う「貴族」は制度としての貴族ではないらしい。54:価値観の問題については、戦争をしても結論は出ず、人が傷つくだけ。→自分と異なる価値観を持った人間の存在を、まずは認めよう(リベラル)。
61:反対者や敵対者とともに統治していこうとする人間。それだけの勇気や責任感、指揮をする能力をもった尊敬に値する人間。
オルテガは、大衆は「自由主義の本質を、簡単に踏みにじってしまう」という。
65:食料が不足して起こる暴動のさいに、一般大衆はパンを求めるのだが、なんと、そのやり方はパン屋を破壊するのが常である。かれらを養ってくれる文明をまえにして、広範な、複雑な規模で反応する行動の象徴。
従って、大衆が生み出した「超民主主義」は危険である。「トポスなき人間が公権の主となることによって生まれる」ものだ。では、欧州の貴族制を否定し建国された「大衆民主主義」国家であるアメリカは様々な問題を抱えつつも、いかにして大国となったのか(当時)。これについては、19世紀のフランスの政治思想家トクヴィルが『アメリカの民主主義』でこう結論付けている。
69:「アメリカの民主性がうまくいっているのは、教会や○○協会といった中間共同体、行政とは異なる人間同士の関係性が厚いことに理由がある」
つまり、アメリカ社会に沢山ある「中間共同体」で様々な社会問題が議論され、考えが深まり、その上で、それが政治的に集約されるので、大衆が扇動されにくいというのだ。トクヴィルの名著から今は200年近く経ち、アメリカの中間共同体の機能はどうなのか?教会はかなり廃れたが、チャリティやNPOは引き続き活発なようだ。
71:大衆の熱狂が生み出す「偽りの夜明け」自分たちの言うことを聞かない少数者には、暴力をふるって従わせることで、社会を支配しようとする。
75:オルテガの「あるべき国家像」
大衆が多数派を支配する国家というものが、現代においてもっとも危険。
大切なのは国家と個人の間にある中間的な領域。

