2024年09月03日
ヨーロッパの共通語
オックスフォード大学とケンブリッジ大学が登場。ギボン自身はオックスフォード大学を出ている。
ギボンもスミスも18世紀の人物なので、これは当時の話なのだが、オックスフォード大学は英語圏では最も古い大学。11世紀に成立し、1167年にパリ大学がイギリス人入学を禁止したことから、パリから引き揚げてきた学生が集まって発展した。56:オックスフォード大学では公的な教授が皆すでに久しく、授業する口実さえも全く放棄しているアダム・スミス博士は彼らの怠慢の原因として、オックスフォード大学の教授連中が彼らの受講者の人数の増加や彼らの感謝の見返りに値するように彼らを促すはずの自発的な謝金の受領の代わりに、自分の努力の必要性も統制の危惧も感ぜずに定額の俸給の上にあぐらを掻いているからだ、と指摘している。
73:ケンブリッジ大学の方はその兄弟に比してまだしも修道院の悪徳に染まる程度が少なく、ハノーヴァー王家へのその忠誠心もオックスフォードよりも一歩早く固まって、不滅なニュートンの名前と哲学は彼が育った母校の大学で初めて公認されたことを付言しておきたい。
1209年に殺人罪で告発された学生二人が処刑されたのをきっかけに、大学は一時解散!この時に、オックスフォードから教員と学生がケンブリッジに移り、ケンブリッジ大学ができる。このため、オックスフォードではケンブリッジ大学をnew universityと呼ぶことがある。そのせいかどうか分からないが、オックスフォードがコンパクトな街に39ものカレッジが密集していて、半ば観光地化している。ケンブリッジ大学のほうが、田園風景の中にカレッジが点在していて、ゆったりしている。
112:これまでラテン語は教会の典礼で聖別され、さらに古代の模倣により洗練されて15・16世紀にはヨーロッパの学者たちはこの共通の学術言語で会話し執筆するという、それ以降次第に廃絶された特権を享受した。
ラテン語は古代ローマ帝国の公用語。もともとローマで使われていたラテン語が帝国の公用語になることで、ヨーロッパから中東、北アフリカまで、帝国全土の支配階級・知識階級の言葉として普及する。
113:近代になるとフランス語が、この国の文士の活躍やこの国民の社交的な風習、フランス王国の勢威そしてプロテスタントの国外亡命によって普及してきた。一部の外国人はヨーロッパへの呼びかけにこの共通な言語を使用する機会を捕え、現にドイツはその国の哲学者とその国王のそれぞれ第一人者たるライプニッツとフリードリヒの権威を引き合いに出してよかろう。
現在の世界で、英語が事実上の公用語となっているのと同様、一度広まったラテン語は、ローマ帝国が崩壊しても、カトリック教会とともに、ヨーロッパに定着する。
124:私が国民軍に負う主要な恩義は、それが私をイギリス人と兵士に仕立て上げたことである。もしも私がこの新しい顔触れと新しい知友との多面的な交際で揺さぶられなかったならば、そしてこの経験を通じて否応なしに我が国の指導者連中の性格や政党の現状、官庁内の形式、我が文民と軍事の体制の機能に直接触れる機会がなかったならば、生来内気な私は外国教育の後の長い期間ずっと祖国の中で異邦人として留まったことだろう。
18世紀のオックスフォード大学、ケンブリッジ大学でも、ラテン語は必修。その知識は、ギボンのローマ帝国研究にとても役立っただろう。
