2023年11月26日

りんかい

東京湾景(新潮文庫)
吉田修一
新潮社
2020-02-14


最初の職場が浜松町。駅から空中廊下を延々渡ったところにある高層ビルで、住所は芝浦1-1-1。昔は東芝ビルディングと言ったが、東芝の経営危機で野村不動産に売却し、今は浜松町ビルディングというらしい。

本小説の舞台は、そこから湾岸沿いに南に下った品川。品川駅を超えてしばらく行くと、品川ふ頭の倉庫街になる。25歳の男はその倉庫の一つで、ガントリークレーンを操作したりフォークリフトを運転して荷物を積みかえたりしている高卒の作業員。

女は28歳で、品川ふ頭の向かい、お台場にある外資系石油会社(といえば昭和シェル)の広報で働いている。東京湾の海底トンネルを通るりんかい線ができるまでお台場から天王洲までは、ゆりかもめで新橋に出て山手線に乗り換え。隣の浜松町駅からモノレール羽田線に乗る必要があり、1時間弱掛かったと思う。

それが、1996年のりんかい線の開通で、東京テレポート駅から天王洲アイル駅までたった一駅、3分で行けるようになった。時代はそのりんかい線開通を挟んだ1990年代半ば。携帯電話はまだ普及し始めたばかりで、アナログ通信。しばしば聞き取りにくかった。

258:りんかい線
たったの三分で電車は「天王洲アイル」駅に到着してしまう。あまりにあっけなく着いてしまう電車の中では、何かを深く考える余裕もない。

解説:陣野俊史
東京湾を挟んで向かい合っている二つの場所、お台場と品川埠頭は、対照的な場所だ。休日には家族連れで賑わい、真新しい近未来的なビルが林立するお台場。物流の拠点で、人の気配のない倉庫が建ち並ぶだけの品川埠頭。




shikoku88 at 23:30│Comments(0) | 映画・TV

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