2023年12月25日

「あいのこ」

新版 レミは生きている (ちくま文庫 ひ-2-6)
平野 威馬雄
筑摩書房
2022-08-10



料理愛好家・シャンソン歌手として知られる平野レミ。その父親である平野威馬雄の本。初版は1959年と言うから、もう60年以上前だ。その後、何度か復刊されており、本書は昨年出された新版。

昔の本なので、今は使われない表現が出てくる。最も多用されているのが、本書のテーマでもある「あいのこ」。小学校の頃、祖父母などがそういう言い方をしていたのを聞いた覚えがあるが、それ以来、私はもう何十年も聞いていない。「混血児」というのが正式な言い方なのか?それも、トンと聞いたことがない。一番良く耳にするのは、ハーフとかミックスとかと言う言い方。

明治の開国以来、西欧諸国は日本にとって、追いつき追い越すべきモデルで、憧れだったと思う。多大な国費を掛けて、鹿鳴館のような茶番までやった。やがて、アジアで初めての産業革命を成し遂げ、経済力や軍事力で欧米列強に肩を並べるまで来たが、欧米の有色人種差別は厳しい。これだけ頑張ったのに、欧米諸国に受け入れられない悔しさから、今度は反発を強める。

著者は1900年に東京で、フランス系アメリカ人の父親と日本人の母親との間に生まれる。父親は北カリフォルニア・ジャパン・ソサエティ初代会長のヘンリー・パイク。パイクは家族を日本に残したまま、米国を中心に芸術家として活動。威馬雄氏が二十歳の時に亡くなるのだが、その間にたった2度しか日本に滞在していない。ただ、昔のことなので、くれば2年とか長期で滞在したらしいのだが。

13:いまの汐留貨物駅が、東京でただひとつの、汽車のとまる新橋駅だったころ
新橋の橋のそばに、いまでもあるてんぷら屋の橋善という店が、なわのれんで、居酒屋みたいにだれでもはいれる店だった。

15:横浜の「あいのこ」
あいのこたちは、学校にも行けず(戸籍がないから)、世の中からはじきだされ、だんだんといじけていった。不良のなかまにはいっていくものも、すくなくなかった。

48:横浜の「カンカン虫」
汽船にとって、港にただよう小麦色の水あかよりもおそろしいものは、ボイラーや、えんとつの中を、一航海ごとにふさいでしまう、おびただしいばいえんと、さびであった。カンカン虫というのは、その、さびや、ばいえんを、きれいにけずりおとす少年なのだ。



shikoku88 at 18:42│Comments(0) | その他

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