2023年05月26日
低成長・低金利の「出口」
著者は、元日銀マン。2012年から金融政策担当理事として「物価2%目標」を企画した当人である。黒田総裁の指示かもしれないけど。2016年にみずほ総研に転職して、以来、活発に情報発信している。
「一国の経済成長と密接な関係があるのは、株価ではなくて生産性上昇率である。2010年代も含めて日本を『失われた30年』と言うなら、米国も大局的には『失われた30年』であり、米国の方が途中で少し良い時期があっただけにすぎない」
一般に言われていることと違うので、統計を検証してみる(下図)。普通、「生産性」と言うのは「付加価値労働生産性」を言う。一人が働いてどれだけの「付加価値」、つまり、「売上ー原材料」を上げたかだ。
これを見ると、2000年からの20年で、他の先進国に対して大きく劣後している。どうやら、著者は「物的労働生産性」のことを言っているようで、こちらを見ると、確かに日本は優等生だ。米国には少し劣っているものの、欧州各国よりは伸びている。
しかし、これがより重要かどうか
この二つの「労働生産性」の違いが意味しているところは、・日本は生産量は伸ばした
が、安売りしたので、あるいは、安売りせざるを得なかったので、
・付加価値は余り伸ばせなかった
ということだ。
賃金支払いの原資になるのは、この付加価値なので、これが伸びてないと、やはりダメと言うことになる。昨年度の決算を見ても、上場企業は努力しているし、その結果も出始めている。あとは、政府が社会保障費増などで企業負担を増やさない用意してほしい。
42:日本は経済劣等生ではなく普通の先進国
日本の生産性上昇率は、他の先進国に劣っているわけではない。人口の減少・高齢化が急速に進行中であること以外、日本は普通の先進国。
アベノミクス景気2013-2018生産性上昇率(年平均)
日本 1.0%
米国 0.6%
ドイツ0.9%
フランス1.0%
イギリス0.7%


