2022年12月19日
過去の亡霊
企業倒産を分析した本というと、私は出るたびに読んでいる。「成功はアート、失敗はサイエンス」と信じているからなのだが、本書は、日本企業に限らず、海外企業も対象になっている。著者はグロービスの元副研究科長(2015-2018)であったということなので、HBSで出ているケース教材が基になっているのかもしれない。
2章に分かれていて、最初に出てくるのが「過去の亡霊」型。「成功体験が強すぎて、そこから抜け出せずに変わる決断ができなく」て潰れるタイプだ。
一例を挙げると、英MGローバー。2000年に会社設立し、2005年に倒産してしまった。とはいえ、100年の歴史がある、イギリス自動車産業界の長い歴史を引き継いだ会社の倒産劇で、度重なる国営化や売却を経て、最終的には、「非効率体質を改善できずに倒産」した。
1988民営化Rover→British Aerospaceに買収される1989ホンダ資本参加→業績改善1994過去最高益→BMWに売却
ホンダが資本参加した時、「ローバーの従業員は昼食時にビールを飲んで、4時半には退社」するような状況で、ホンダは随分苦労して立て直していく。5年掛かって過去最高の業績が予想される中、突然、BMWに売却される。
親会社のBritish Aerospaceにしてみれば、ホンダにマイノリティ出資してもらい会社再建を果たしたうえでBMWに高値で売却したのだから、してやったり。馬鹿を見たのはホンダで、人材と技術を惜しげもなく投入して建て直し、これからという時に、漁夫の利をさらわれた格好。契約の不備があったのではないかと思う。
こうしてBMW子会社となったローバーだが、そこから経営は悪化する。BMWの買収から5年経った1999年の年間損失額は1200億円に達し、翌年、BMWはローバーを売却。MINIのブランドだけがBMWに残り、ランドローバーはフォードに、残されたMGとRoverだけで投資ファンド傘下に入り新設されたのがMGローバーというわけ。この時の売却価格は£10(1500円)であった。
倒産した2005年の一人当たり生産台数は20台であったという。量産型自動車メーカーの採算ラインは一人当たり生産台数40台といわれており、そのわずか半分。戦後、イギリスの製造業が競争力を失う中で国営化され、「親方ユニオンジャック」で生産性の改善が進まなかった。BMCミニのような画期的なクルマも生産されたものの、設計はよくても、工場の状態がひどく、生産品質も悪かった。
サッチャー政権下の民営化政策で民営化となり、資本参加したホンダの努力で立ち直りかけていたのに、残念だ。
親会社のBritish Aerospaceにしてみれば、ホンダにマイノリティ出資してもらい会社再建を果たしたうえでBMWに高値で売却したのだから、してやったり。馬鹿を見たのはホンダで、人材と技術を惜しげもなく投入して建て直し、これからという時に、漁夫の利をさらわれた格好。契約の不備があったのではないかと思う。
こうしてBMW子会社となったローバーだが、そこから経営は悪化する。BMWの買収から5年経った1999年の年間損失額は1200億円に達し、翌年、BMWはローバーを売却。MINIのブランドだけがBMWに残り、ランドローバーはフォードに、残されたMGとRoverだけで投資ファンド傘下に入り新設されたのがMGローバーというわけ。この時の売却価格は£10(1500円)であった。
倒産した2005年の一人当たり生産台数は20台であったという。量産型自動車メーカーの採算ラインは一人当たり生産台数40台といわれており、そのわずか半分。戦後、イギリスの製造業が競争力を失う中で国営化され、「親方ユニオンジャック」で生産性の改善が進まなかった。BMCミニのような画期的なクルマも生産されたものの、設計はよくても、工場の状態がひどく、生産品質も悪かった。
サッチャー政権下の民営化政策で民営化となり、資本参加したホンダの努力で立ち直りかけていたのに、残念だ。
はじめに:「売上増は七難隠す」売上が上がっている時には、失敗の要因につながるものがあったとしても全て水面下に隠れてしまう。しかし、やがてはその課題は水面下で肥大化し、企業が失敗した段階で初めて水面上に顕在化してくる。だからこそ、自分たちが成功や成長を遂げている時ほど、先人たちの失敗事例を通じて、その「水面下に潜む課題」というものにあらかじめ思いを馳せる必要がある。
