2022年12月01日

奇跡の連鎖




レイターステージの失敗パターンが、「奇跡の連鎖」。「大胆なイノベーションを追求するスタートアップは、多くの大きな課題に直面し、そのうちのどれか一つでもクリアできないと失敗」してしまう。

例えば、製品開発、コストコントロール、販売網、組織、資金調達など5つの課題をクリアできないと成功できないとして、それぞれの課題の克服可能性が1/2としても、1/2^5=0.03で、成功確率は3%にしか過ぎない。

例に挙げられているのは、ベタープレイス(イスラエル)。2007年3月に設立された同社の創業者はシャイ・アガシで、前職はSAP取締役。SAPのCEO候補になるほどの能力で,SAPに入社した経緯も、もともと父親と立ち上げたベンチャーをSAPに4億ドルで売却後、SAP役員になったというもので、既に成功したシリアルアントレプレナーだった。

同社のビジネスアイデアは、EVのバッテリー規格を統一し、交換ステーションで瞬時にして交換できるというもの。EVの弱点である、航続距離と充電時間の長さを解決できるソリューションであった。誰が聞いてもいいアイデアだと思うし、アガシのビジネスマンとしての実績も申し分なかったので、創業後すぐの2007年6月には、Series Aで$110M+追加分$50Mを集めた。これは、今に至るまで史上最大級のSeries A規模である。

しかし、ベタープレイスは、いくつかの課題を乗り越えられなかった。一つには、その経営チームがやろうとしていたことに最適であったかどうか。同社の経営陣はアガシの同族と友人で固められていた。
兄グローバルインフラ
妹イスラエルマーケティング
グローバルオペレーション、アライアンス、CFO:SAP出身者
イスラエル事業CEO:イスラエル国防相の元少将
アガシの兄弟やアガシが認めた友人だから、おそらく優秀な人達だったのだろうが、もともとSEのアガシの周りには、ベタープレイスがやろうとしていたプロダクトや自動車業界の経験者が居なかった。そのせいで、交換ステーションの製造・設置コストを甘く見積もりすぎていた。イスラエルに設置した21台の交換ステーションの予算は30~50万ドルであったが、実際はその10倍近い$2M~$3Mが掛かった。

二つ目には、需要の予測がある。2008年の創業前、イスラエルの自動車所有者1000人に対して調査した結果は、「ベタープレイスの車を購入検討する」と答えたのは20%で、これはイスラエルの自動車市場規模からいうと10万台に当たる。ところが、ベタープレイスが閉鎖されたときの実際の販売台数は1000台に過ぎなかった。

消費者が本当に車を購入するかどうかは、実際の車を見なければ分からないし、それは、「イスラエル全土に交換ステーションがある」という前提だった。ベタープレイスが実際に設置できた交換ステーションは21か所に過ぎなかったし、購入できるベタープレイス対応車は、ルノーが製造した一車種しかなかった。

こうして、鳴り物入りで登場したイスラエルのベンチャーは破綻する。こうしたカリスマ起業家が率いるスタートアップに対して、著者は独立取締役の役割を重視する。

223:取締役会のベストプラクティス
ナルシストの起業家が率いるムーンショット・ベンチャーでは、取締役会の役割は特に重要。適切なボードメンバー。独立の取締役(理想的には、規模の大きなスタートアップのCEO経験者)


203:2009TIME「最も影響力のある100人」
TEDトーク:電気自動車への移行は「奴隷制度廃止に相当する」130万回再生

221:現実歪曲フィールドをもたらすカリスマ性
ナルシズムの症状の一つ。彼らはしばしば魅力的で、人の心を読み、他人をひきつける方法を知っている、熟練した演説家。
ダークサイド:ナルシストは自分の価値を誇張して考えており、その考えを強化することで頭がいっぱい。支配、権力、名声を渇望し、自分の信念と優れた能力を信じることで強い権利意識を持つ。批判に敏感で、自分の価値観に反する情報を無視する。膨らませた自我を守るために、自分のミスを認めようとせず、血管のある戦略を繰り返す。

222:エグゼクティブ・コーチ
問題は、自己愛の強いリーダーはフィードバックを求めない。




shikoku88 at 19:11コメント(0) |  | 仕事 

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