2022年06月05日
第10回日経小説大賞受賞作品
第10回日経小説大賞受賞作品。福岡を舞台に、仮想通貨を軸に展開していく。
作者の経歴がなかなか面白い。
1976年大分県日田市生まれ。一橋大学卒業後、旅行会社に勤務。2008年、夫の転職を機に九州へ戻り、タウン誌の広告営業と制作に携わった後、フリーのライターとして活動。
29:宇賀神
「本当に頭のいい若者は、もう日本を捨てていますよ。僕のような暮らしをする20代は僕一人じゃない、大勢いるってことです。どんなに能力が高くても、日本じゃまともに相手してもらえない。日本は能力より年齢や肩書を重視する社会ですからね。起業するにしても、香港やシンガポールなどのオフショアのほうが税金が安くていい。つまり、本来は日本の将来を担うべき才能や資産がどんどん海外へ流出しているんです」
50:清倉
「俺たち世代の多くは、旧来の生きかた、働き方に疑問は感じているが、かといって、IT系の新興企業が示したような新しいレールに乗り切れているかといえば、そうではない。なんだが時代と時代の隙間に転げ落ちたような戸惑いや焦りを抱えつつ、でも、このままどちらにも振り切れず人生を終えるんだろうと、どこかで諦めてもいる」
