2022年03月03日

IOLの地域連携

インバウンド・ルネッサンス 日本再生
早稲田大学インバウンド・ビジネス戦略研究会
日本経済新聞出版
2021-11-11



本書のテーマである「IOL(インバウンド・アウトバウンド・ループ)による持続的経済成長」。そのカギとなるのは、地域資源だ。

日本は150年前から産業革命がおこり、日本人が元来持っている職人気質とそれを評価する文化があって、各地域に伝統産業がある。90年代以降、その多くは中国にとって代わられたのだが、それを見直し、高付加価値化することによってIOLを起こそうという。

国内外の事例が挙げられているのだが、私自身の経験からも、カギは「地域連携」だと思う。ナパバレーの事例に顕著で、「ナパのブドウの平均価格はCA全域の5倍」だという。年間385万人の観光客が22億ドルを消費し、1日あたりでは1万人の観光客が$6M(一人当たり$570)を消費する一大観光地でもある。

隣接するソノマ郡も気候風土は同じだが、ナパバレーのようなプレミアム・ビジネスになっていない。両社を隔てるのは、ナパバレーでは「全500弱のブドウ園のうち450以上がブドウ園共同団体に所属し、意思決定」しているのに対して、「ソノマ郡では700のブドウ園のうち200しかブドウ園共同団体に所属していない」ので、地域として統一された戦略が取れていないということだ。
ナパバレー:「地域住民の生活の質を高めるために、イノベーションとマーケティング戦略を駆使し、ワイン・ツーリズムにおいてプレミアム・ビジネスモデルで高収益を得る」という戦略を地域として共有。
戦略が共有されるだけでなく、農地保護管理法などで私権も制限されている。ナパバレーが人気になっても、サービス産業は登録された場所でしか開業できず、急に供給が増えない。供給を絞ることで、高価格を維持し、観光公害を回避し、「地域住民の生活の質を高める」という共同目標を達成している。

日本でも世界でも、この地域連携が成功するかどうかは、
・地域が置かれた環境 「それしかない」「どう考えても、それがいい」
・周囲を説得できるリーダーシップ
に掛かっている。

日本はこれまでの経済蓄積から比較的豊かであるうえ、米国のように社会保障制度が脆弱ということもないので、地域でまとまって「なんとかしないと」という切迫感に乏しい。法律的にも私権が最大限に尊重されており、欧州のように、屋根の色、壁の色、街によってはカーテンの色まで制限されるということがない。

地域戦略がないというよりも、実施段階に問題があると思う。あるいは、実現困難なので、地域戦略がないというべきか。もはや、座視するような余裕は日本経済にないということを政府が早く明言すべきだと思う。

50:100年超の歴史を誇る福井の眼鏡産業
200以上ある眼鏡の製造工程を多様な企業が分業。

55:燕三条「工場の祭典」
2017年から開始された毎年10月第1週目に4日間、「工場を開放し製造現場をそのまま見せる」イベント。

61:ナパバレーのワインツーリズム
ナパのブドウの平均価格はCA全域の5倍。
年間385万人の観光客が22億ドルを消費。
1日あたり、1万人の観光客が$6M(一人当たり$570)を消費。

62:地域連携による健全な相互依存関係
全500弱のブドウ園のうち450以上がブドウ園共同団体に所属し、意思決定。
農地保護管理法(農地以外の開発は基本的に不可〜サービス産業は登録された場所のみ)。
隣接するソノマ郡では700のブドウ園のうち200しかブドウ園共同団体に所属していない。



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shikoku88 at 17:54コメント(0) |  | 旅行 

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