2022年01月19日

マーガリンの大誤算

禍いの科学 正義が愚行に変わるとき
ポール・A・オフィット
日経ナショナルジオグラフィック社
2020-11-19



まず、どうして、心臓病が増えたか?

48:動脈硬化
1900年代の初めまでは、ほとんどの人は細菌やウイルスの感染症によって命を落としていた。だが、20世紀に抗生物質やワクチンが開発され、安全な飲料水や菌のいない食品が手に入るようになり、人々の寿命は30年ほど延びた。みんなが長生きするようになったことで、結果的に心臓病が増えた。

要するに、「寿命が延びたから」なのだ。それは、がんも同じで、人類の歴史上、ほとんどの人は、感染症で若くして死んでいたため、がんにも心臓病にもならなかった。

67:まちまちの研究結果
1970年代後半にマクガバン委員会が脂肪の総摂取量をカロリー全体の30%未満に抑えるべきだと強く勧告したときに、その必要性を裏付ける十分なデータは存在しなかった。(中略)複数の研究により飽和脂肪酸が心臓病の割合を高める可能性があることが示されていたのとちょうど同じ時期に、ウェールズの研究チームは不飽和脂肪酸が心臓病のリスクを大幅に高めるという正反対の結果を発表した。

51:もしFDA食品・消費者サービス担当次官補に就任したばかりの消費者運動家キャロル・タッカー・フォアマンがいなかったら、マクガバン委員会の指針(脂肪摂取の制限)は日の目を見ることなく葬り去られていたかもしれない。フォアマンは、委員会の勧告を政府の正式な政策に格上げすることを決定した。科学的調査によるはっきりした裏付けはなかったが、その事実をとがめられることなく、フォアマンは動き出した。

米議会のマクガバン委員会が、脂肪の取りすぎが心臓病のリスクを高めているという報告を出す。その調査は十分なものではなかったが、それをFDA食品・消費者サービス担当次官補の消費者運動家がこれを政府の政策にしてしまう。

52:マーガリンの発明と商業的成功
1869年 ナポレオン3世は、兵隊に食べさせるためにバターよりも安価な代用品を求めていた。
1911年、平均的な米国人は1年間で19ポンドのバターを食べ、マーガリンの消費量はわずか1ポンドに過ぎなかった。しかし、「心臓に良い」バターの代用品として売られるようになったマーガリンは、1957年には米国で1年間に1人あたり8.5ポンドが消費されるようになった。これは同年のバターの消費量とほぼ同じだ。

その際に、飽和脂肪酸が多いバターよりも、「心臓に良い」とされたのが不飽和脂肪酸の多いマーガリンだった。それまでは、安価だがマズいバターの代用品だったマーガリンが「健康にいい」とされて、消費量は飛躍的に伸びた。

62:25%のトランス脂肪酸を含むマーガリンのような食品が突如として「健康に良い代用品」に祭り上げられたトランス脂肪酸は、最悪の悪玉コレステロールであるLDLコレステロールを大幅に増やし、善玉コレステロールのHDLを大幅に減らす。
ところが、多くのバターがマーガリンに置き換わって10年経っても、米国内の心臓病の発生率は上昇を続けていた。明らかにおかしいのに、政府の政策は変更されなかった。導入されたときは十分な調査がなかったのに、一旦出された「勧告を変えるには、もっと信頼性の高い証拠が必要」とされたからだ。

62:米国人の食事からトランス脂肪酸を完全に除けば、1年間に25万人の心臓発作とその関連死を予防できる(ハーバード大学)




shikoku88 at 20:53│Comments(0) | 提言

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