2022年01月05日

ナッジ

知ってるつもり 無知の科学 (ハヤカワ文庫NF)
フィリップ ファーンバック
早川書房
2021-09-02



日本で昔からよく言われるのが、「もっと金融教育を」という議論。曰く、「欧米人の金融リテラシーは高いが、日本人は低い」云々。

本当にそうかというと、研究結果では全くそんなことはないという。例えば、欧米人、特にアメリカ人の金融資産に占める株式保有比率が高く、結果、長年の株価の上昇で大きな恩恵を受けているのは(米国株はこの30年で10倍になっている)、金融リテラシーが高いからではなく、昔から501kなど無税で株式に長期投資できる制度があったからだ。

世界中の政府や団体が金融教育プログラムに数十億ドルを注ぎ込んできたが、成果は上がっていない。(中略)こうした教育プログラムの効果はほぼゼロ。多少効果が見られた場合でも、教育を受けて数か月以内に消えてしまった。
こうした試みが失敗した原因は、意思決定を個人の問題としてとらえたことにある。(中略)個人は独力で意思決定をするのではない。選択肢を考え、提示し、アドバイスを与えるのは他者である。しかも私たちは他人の意思決定をマネすることもある。

つまり、個人の理解力は限られるし、個人は独力で意思決定をするものではない。従って、「ナッジ(軽く突く)」で、「行動科学を使ってより良い判断、すなわち意思決定者が本当に望んでいることと整合性のある判断をさりげなく勧める」のがいい。これを、リバタリアン・パターナリズム(穏やかな介入主義)という。


245:科学コミュニティもチームワーク
論文1本当たりの筆者の数
1950年 平均1.5人
2014年 約5.5人

259:スキンケア=産業そのものがエセ科学に立脚
エセ科学的な専門用語を使い、エビデンスらしきものを示す。一見すばらしいテクノロジーを採用しているが、そこには医学的価値のあるエビデンスは一つもない。

260:消費者が金融についてより良い意思決定をできるようにするという試みは、幾度も繰り返されてきた。

268:リバタリアン・パターナリズム(穏やかな介入主義)
シカゴ大学リチャード・セイラ―、ハーバード大学キャス・サンスティーン
「人は常に最高の判断を下すわけではない。自らの目標を達成するのに最も有効な選択肢を必ずしも選ぶわけではない」
行動科学によってそうした状況をよい方向に変えられる、それによって私たちの意思決定を改善できる。

272:ジャスト・イン・タイム教育
消費者にちょうど必要とするときに情報を与える。
高校の授業で借金や貯蓄に関する基礎知識を与えても、それほど役に立たない。私たちは詳細な情報を覚えるのが得意ではない。高校生たちが重大な金融に関する意思決定をする頃には、複利の威力や資産の分散投資のメリットなどはすっかり忘れられている。消費者が金融知識を必要とする直前に教育すれば、情報は頭にしっかり残っており、学んだ内容を実践する機会もある。そうすれば知識が定着する可能性も高い。


shikoku88 at 23:16│Comments(0) | 提言

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