2021年10月07日

リクルートをつくった男




我々の世代なら、「リクルート=江副浩正」ということは、戦後最大の疑獄事件となった「リクルート事件」とともに記憶にある。そのリクルート創業者・江副浩正の伝記が今年出版された。

「はじめに」は、エンジェル投資家で『僕は君たちに武器を配りたい』の著者でもある瀧本哲史氏。本書執筆のため2018年にインタビューした翌年亡くなられたということ。

「起業の天才」である一方、コンプライアンス的には問題もあった江副氏には、「助言者がいなかった」という。それは、江副氏が求めなかったからかもしれないし、助言しても聞き入れないため、離れていったのかもしれない。

瀧本氏は、経験豊富なエンジェル投資家が投資するだけでなく、経営に関与して助言することの重要さについて触れている。江副氏は創業期の資金不足を奥さんの相続財産を流用することで乗り切るのだが、外部資金を入れなかったことで、フリーハンドを手に入れた。これが裏目に出たともいえる。

はじめに:江副浩正は「服を着たゾウ」(瀧本哲史)
大学を出てすぐに自分の会社をつくった江副さんは、ゾウが「人間とはなにか」が分からなかったのと同じで、「経営者とはなにか」がよく分からなかった。「自分は経営が分かっていない」という欠乏感の塊でした。経営者とはなにか、経営者ならなにをすべきかを経営学者のピーター・ドラッカーの本から懸命に学び、それを実行したのです。それゆえ、リクルートは「ファクトとロジック」「財務諸表と経営戦略」の会社になりました。

江副さんの経営は常に目的合理的で「資本主義そのもの」でした。江副さんを筆頭に東大で心理学を学んだ人たちが作ったリクルートは、極めて科学的な会社であり、その後の日本のベンチャー企業の原型になりました。にもかかわらず、「リクルート事件」があったため、経営者としての江副さんの革新性は世の中にあまり知られていません。

エンジェル投資家は狂気に駆られた若者を御するため、グレイヘア(成熟した大人)と呼ばれるシニアの経営者を取締役として送り込んだり、自分たちが経営に関与したりします。アップルのジョブズには創業期からマイク・マークラという経験豊富な投資家が付いていたし、グーグルの創業者であるセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジにはサン・マイクロシステムズやノベルで経営者として経験を積んだエリック・シュミットが付いていた。しかし残念ながら江副さんには助言者がいなかった。




shikoku88 at 21:13│Comments(0) | 仕事

コメントする

名前
 
  絵文字