2021年09月18日

TDLで失われたもの

青べか物語(新潮文庫)
山本周五郎
新潮社
2013-05-17



東京ディズニーランド建設のために埋められたのは、「沖の百万坪」と言われた広大な干潟。芦が生い茂り(計画的に芦を栽培する「芦畑」になっていた)、渡り鳥の中継地や越冬地であり、水質の浄化にも大きな役割を果たす。

これを全部埋め立ててしまったのが現在の浦安市で、その面積は、『青べか』が書かれた埋め立て前に比べると、なんと4倍にも増えている。東京ディズニーランドの誕生には、凄まじい環境破壊があったことは忘れてはいけないだろう。

141:汐が大きく退く満月の前後には、浦粕の海は磯から一里近い遠くまで干潟になる。水のあるところでも、足のくるぶしの上三寸か五寸くらいしかない。そこで、馴れた漁師や船頭たちは魚を踏みに行くのであるが、その方法は、月の明るい光をあびながら、水の中を歩いていて、「これは」と思うところで立停まり、やおら踵をあげて爪先立ちになる。すると足の下に影ができるので、魚がはいって来る。

190:その芦畑のあたりは、冬になると水鳥類のよい猟場になり、芦の生い茂っているうちは、縦横に通じている水路が魚の寄り場になる、といわれていた。

329:30年後
川沿いにあった草原や荒地には、すっかり家が建ち並び、川の中央にある小さな妙見島にも工場の建物が犇いている。蒸気河岸にはコンクリートの高い堤防がめぐらされ、地盛りをしたために、船宿や人家は道から1メートル以上も低くなってしまった。

326:日本人は自分の手で国土をぶち壊し、汚濁させ廃滅させているのだ、と私は思った。修善寺へいったら、あの清流に農薬が流れ込むため、蛍もいなくなったし川魚も減ったという。そんなに農薬を使って米ばかり作ってどうしようというのか、史上最高の収穫と、米をたらふく食っている一方、水が汚され、自然の景物が打ち壊されていることを知らない。


shikoku88 at 18:05│Comments(0) | ジオGEO

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