2021年03月01日

アベノミクスと日本の未来

臆病者のための億万長者入門
橘 玲
文藝春秋
2014-06-20


第6章は「アベノミクスと日本の未来」。安倍首相は退陣したが、菅首相も路線を継続しているので、その延長線上にあると考えていいだろう。金融緩和については、コロナ禍という大義名分を得て、拍車がかかった。

客観的に分析したうえで、大胆な提言をしてきた橘玲だが、一般的に人気のない国民年金を有利と言っているのは興味深い。なにしろ、国の制度なのに納付率が6割台で、3割以上の人が払っていない。それも、年収300万円以下の低所得者や学生は支払い免除されており、それらを除いた数字なので、実際の納付率は5割台だろう。

年金は受け取り期間によって総受給額が変わるので、人によって「利回り」は変わる。年金はそもそも長生きに対する「保険」だから、それは仕方ない。本書では平均寿命まで生きた場合で計算して、年率利回りを「男性1.48% 女性2.44%」としている。これは現在の低金利下では有利な金融商品だし、長生きするほど有利というのも健康に生きる上でのインセンティブとしてはいい。

そして、他の金融商品との最大の違いは、「所得控除」できること。税率が30%の人なら、それだけで30%の金利が付いているようなものだから、払う方が圧倒的に有利になる。それでも払わない人が3割いるというのは国が制度を改悪すると考えてなのか。自分で老後資金を用意するから、国の世話にはならないというのならいいが、年金がなくて生活保護に頼る高齢者も増えており、これは困る。

ホモ・デウス動物




























206:国民年金は有利な金融商品
現在の制度がこのまま継続するならば、男性は支払った掛金の1.4倍、女性は2.1倍が戻ってくる計算になる(平均寿命まで生きた場合)。これを利回りに換算すると、国民年金は男性で年率1.48%、女性で年利2.44%に相当する。それに加えて保険料が全額所得から控除でき、年金の受け取りにも各種の控除があり、障害年金や遺族年金も付加されているのだから、現在の低金利を基準にすればかなり有利な金融商品であることは間違いない。

212:消費税
ヨーロッパ諸国はすでにどこも高消費税率になっているが、ドイツ(消費税率19%)のように失業率5%台で好景気を謳歌しているところもある。だとしたら日本の「国家戦略」は、北欧やドイツ、ベネルクス三国など、高率の消費税でも好調な経済を維持している国々を徹底的に研究し、来るべき増税の時代に備え、より効率的な社会をつくっていくことしかない。

218:ヘリコプターマネー
こうした「特効薬」がデフレよりはるかにヒドい経済的混乱を引き起こすことを歴史が繰り返し証明している。(中略)歴史上、制御不能のインフレによって悲惨なことが起きた事例は枚挙にいとまがないが、中央銀行が人工的にマイルドなインフレをつくりだして景気を良くしたケースはまだない。

226:金融資産のすべてを外貨建てにする
「財政破綻」や「国家破産」といわれる異常事態では、高率のインフレと金利の上昇をともなって円の価値が大きく減価し、円に依存した家計が破綻してしまう。日本人のポートフォリオは人的資本、不動産資産、年金資産が円建てで、円というローカル通貨にリスクを集中させている。


shikoku88 at 19:08コメント(0) |  | 経済 

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