2020年10月11日
大自然と人類文明の映像遺産
150年に及ぶ空中写真の歴史を網羅する写真集。航空写真ではなく、「空中写真」とあるのは、初期は気球からの撮影で、最近は衛星写真やドローンからの撮影も入っているからだろう。
収録された一番古い空中写真は、1858年にフランス人ナダールが係留した高度520mの気球からパリ市街を撮ったもの。当時の写真は露光に時間がかかったので、気球が揺れると画像がブレてしまう。ナダールは、「風のない日を選び係留索をできるかぎりぴんと張られた状態にする」という方法で克服した。
驚いたのは、伝書鳩が撮った写真。「鳩カメラ」というのだそうだ。1907年にドイツの薬剤師ユリウス・G・ノイブロンナーが設計したカメラは30-75gの重さがあり、特許申請したものの、最初は、「そんなに重いものを鳩が運べない」と拒絶されたそうだ。実際に鳩が撮った写真を付けて、後に認められた。
さらに驚いたのは、ノイブロンナーがこのアイデアを思いついたのは、「鳩を使ってドイツ全土に医薬品を配送していた」からだという。ドローン宅配が話題になっているが、100年以上前に、鳩が宅配していたのである

鳩は訓練された場所にしか行かないが、離島など、決まった場所に小型軽量の医薬品などを運ぶだけなら、あれこれ大げさなことを考えるより、鳩に頼む方が確実で安いかもしれない。少なくとも、落下事故の心配をする必要はない。


