2020年08月02日
茂木佐邸

長い梅雨が明けた土曜日、千葉県野田市へ。キッコーマン発祥の地であり、現在も本店と中央研究所、そして野田工場が置かれている。
ここにある国の登録有形文化財が「茂木佐邸」。茂木佐家はキッコーマン創業家の一つで、茂木本家である茂木七左衛門の初代・次男が分家独立した家。天明2年(1782)から醤油醸造業を始めている。
海運の便がよく、醤油の原料である関東平野の小麦と大豆を集約するのに容易で、かつ、出来上がった醤油を大消費地である江戸に江戸川を高瀬舟で下って、朝出れば夕方配達することが出来たという。塩をどこから仕入れていたかの説明がなかったが、利根川を使って銚子あたりからだろうか。関東の醤油づくりは銚子のほうが早いが、利根川から野田で江戸川に入って10日〜1か月掛かったという。これでは、野田の醤油に勝てない。
大正6年(1917)、野田と流山にあった醸造家8家が合同して「野田醤油株式会社」となる。これがのちに社名変更して現在のキッコーマンとなるのだが、この社名の元となった商標「亀甲萬」を合併前から使っていたのが、茂木佐家であった。説明では、明治時代から海外に輸出しており、8家の中で最も知名度が高かったのが「亀甲萬」だったから選ばれたということだったが、確かに8つの商標の中で、一番印象に残るデザインだ。
代々続いた商家らしく、建物は派手さはないが風格がある。よく見れば、瓦はもちろん、柱や天井、障子に電灯まですべて特注で、質にこだわっている。建築の途中で関東大震災があり、基礎や設計を見直したこともあり、完成には数年を要した。その結果、現在に至っても不具合が生じてないという。
驚いたことに、この有形文化財は、野田市の現役「市民会館」であり、見学も無料である上(ボランティアガイドあり)、部屋の時間貸しも行っている。その料金が一時間100~200円という低料金(市民の場合)
夜間の貸し出しや市外の団体はこれに割り増しが付くが、それでも、一番広い10畳の「松の間」で1時間400円。日本を代表するお金持ちが贅を凝らして作った邸宅がいくら何でも安すぎて、これではありがたみが感じられなくて心配になる。せめて、日々の必要経費がまかなえるだけはもらうべきではないか。
因みに、7年前、第26期竜王戦が開かれたのもこの一時間200円の松の間。市が誘致したので、無料だったかもしれないが(笑)。
