2020年08月01日

儲かる人、損する人

石井独眼流実戦録―かぶと町攻防四十年
首藤 宣弘
毎日新聞社
1987-11T


1987年に書かれた本書。これからバブル経済に向かってまっしぐらというときに書かれている。

さすがだと思うのは、石井氏が証券会社の社長でありながら、初心者に「買うな」と言っていること。バブル相場中に株式投資を始めた人は上層相場しか知らず、ほとんどの人がバブル崩壊で大損した。

そして、石井氏は予言するのである。日本だけが経済成長を続けることはあり得ず、株式相場も1,2年のうちに天井を打つ。西ドイツは1963年から20年間高値を抜けなかった、米国も「株式は死んだ」と言われた1970年代、10年間高値を抜けなかった。日本も今後そうした相場になる、と。

流石の石井氏も、まさか30年以上も高値を抜けないとは予測できなかったようだ。それだけバブルが大きく膨らみすぎだということだし、もう一つには、西ドイツや米国が経済低迷の時期を経て、産業構造の転換を図ったのに対して、日本政府は雇用維持を最優先としたため、既に競争力を失った産業に人材が留まることになった。そして、それを求めたのは国民だった。

182:儲かる人、損する人
儲かるタイプは、まず記憶力がよいとか努力家であるとか、あらゆる分野においても通用する定石的なものがあります。やはり優れたところがないと神様はそうそう儲けさせてはくれません。そういう定石を身につけておればあとは精神的なものです。頭とシッポはヒトにくれてやる、そういう鷹揚さのある人。その次は儲けても私生活などの面で決して驕らない人。そしてぼやいたり、愚痴を言ったり、泣き言を言わない人。

183:初心者は次のチャンスを
3年前とか5年前なら私も声を大にしてお勧めしてもよいのですが、今の相場、どう見ても私の言った五合目以内とは思えないでしょう。だから私は初めての人に対してはもう買いなさんな、証券市場に今から参入するのはよした方がよいですよという気持ちです。
(中略)いずれは日本も欧米並みの経済成長、株式市場にはまり込んでゆくのではないでしょうか。たまたま、今、日本経済は戦後の努力の収穫期といった意味で特異な株高が展開されつつあります。しかし、日本だけが今後も神がかり的に発展することはあり得ないわけですから、あと何年持つか、私は、1,2年と思いますが、趨勢として欧米型の株価変動の時代に入らざるを得ないでしょう。西独が1963年に頭をつけて20年近く抜けなかった、米国も10年近く新値を抜けなかった、今それらが上昇してはいますが、そういう株価変動の時代になるのは間違いないと思います。

186:投資家がセールスマンに勧められて5銘柄を一定の単位数ずつ買った。三つ当たって二つは損したというようなとき
私なら見込み違いの二つをぶん投げてあたっているほうの銘柄を書いたすべきだと思います。優等生を買うべきです。これは非常に簡単な投資戦術の方法と思うのですが、意外に多くの人がこの逆をやります。(中略)残ったのはカスばかり。優等生は旅に出てしまったが、まだまだ上がるというようなことにしばしばなるのです。

188:資本調達市場としての役割
日本経済の大発展は株式会社制度の普及・発達によるところが大きい。この制度が発達していない国は一般に経済の発展が遅れています。それでは株式会社制度とは何かということですが、これは紙切れ(株券)と引き換えにおカネを出してくれる冒険心の強い人がまず存在する。そして、集めたおカネを種銭にして銀行がカネを貸してくれる。そういうシステムが日本にはあるということです。


shikoku88 at 19:18│Comments(0) | 経済

コメントする

名前
 
  絵文字