2020年05月19日

レンズを通してくっきりと(公差=0.0000000000001”)

精密への果てなき道 シリンダーからナノメートルEUVチップへ
サイモン ウィンチェスター
早川書房
2019-08-20


宇宙空間から驚くべき画像を届けてくれているハッブル宇宙望遠鏡。1990年4月24日に打ち上げられているが、まもなく主鏡に欠陥のあることが判明し、1993年12月に宇宙空間で修理するまで全く画像が見られなかったという。

20億ドルもかけて打ち上げた望遠鏡が「ピンぼけ」だったのだ。調べてみたところ、直径2.4mある主鏡を研磨したパーキンエルマー社が、測定ミスをしたことが分かった。この目的のためだけに100万ドルかけてつくられたヌル補正装置の下側にある鏡から、装置基部のレンズまでの距離が間違って測定されていた。

結果、主鏡の縁の部分が2.2㎛(人間の髪の毛の太さの1/50)だけ、当初の設計より平たくなってしまった。たったそれだけでと思うのだが、このサイズの反射望遠鏡では致命的らしく、宇宙から送られてきた画像はピンボケでまったく使い物にならなかった。

修理しようにも既に宇宙にある。それをどうやって修理したかも非常に興味深いのだが、長くなってしまうので、それは本を読んでほしい。ちなみに、無能をさらしたパーキンエルマーは外され、ジャムの密閉瓶製造で有名なBall社の子会社Ball Aerospaceが修正用の光学装置製作を担当した。

ホモ・デウス動物






















































282:世界初の写真1826年夏
フランスの科学者で発明家のニセフォール・ニエプス「カメラ・オブスクラ」。
中東部にあるサン・ルゥ・ド・ヴァレンヌ村。

285:高品質カメラのレンズは複数の要素を組み合わせたもの
化学的性質や光学的特性の異なる様々なガラスを少量ずつ慎重に形作り、精巧に研削して、匠の技で寄せ集めて配置する。そして、そのレンズに求められる仕事をこなすために、最も調和のとれたかたちで心地よく光の処理ができる構成をつくる。

287:Leica
現代のカメラメーカーのほとんどが、業界水準である1/1000"の公差で製造しており、キャノンとニコンは機構部分で非常に厳しい1/1500"の公差を採用している。それに対し、ライカのボディは1/1000mm(1/2500")の公差でつくられている。

290:ハッブル宇宙望遠鏡
1990年4月24日に打ち上げ。まもなく主鏡に欠陥のあることが判明し、1993年12月に宇宙空間で修理。

393:パーキンエルマー
致命的なエラーが発生したのは検査室である。(中略)鏡面の平滑さや表面の精密さは妥協なき確かさで生み出されていたにもかかわらず、その測定法が全く間違っていた。ダンベリー工場の作業員が不正確な計装機器を製作してしまった。


shikoku88 at 18:21│Comments(0) | その他

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