2020年02月23日

物語の語り手

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来
ユヴァル・ノア・ハラリ
河出書房新社
2018-09-05



第4章「物語の語り手」。

約5000年前に書字が発明されるまでは、物語は口伝された。人間の記憶力には限界があるから、神話はたいてい短い。正に、『千の顔を持つ英雄』の世界。

書字が発明されて、初めて、複雑な物語を創作することができるようになる。と同時に、貨幣も発明された。貨幣によって物の価値は数字に置き換えられ、そして、文字で記録され、計算ができるようになった。

「両者のおかげで、何十万人もの人から税を徴収したり、複雑な官僚制を組織したり、巨大な王国を打ち立てたりすることが可能になった」

193:オオカミやチンパンジーのような動物は、二重の現実の中で暮らしている。一方で、彼らは木や岩や川といった、自分の外の客観的なものをよく知っている。他方で、恐れや喜び欲求といった、自分の中の主観的な経験も自覚している。それに対して、サピエンスは三重の現実の中で生きている。木や川、恐れや欲求に加えて、サピエンスの世界にはお金や神々、国家、企業についての物語も含まれている。

194:12,000年前に始まった農業革命
共同主観的ネットワークを拡大・強化するのに必要な物質的基盤を提供。農耕のおかげで、込み合った都市の何千という人や、訓練された軍隊の何千という兵士を養うことが可能になった。

196:シュメール人
この障害がついに取り除かれたのは、シュメール人が書字と貨幣の両方を発明した、およそ5000年前だった。同じ親から同じ時に同じ場所で生まれた、書字と貨幣というこの結合体双生児は、人間の脳によるデータ処理の限界を打ち破った。両者のおかげで、何十万人もの人から税を徴収したり、複雑な官僚制を組織したり、巨大な王国を打ち立てたりすることが可能になった。

198:書字が発明される前、物語は人間の脳の限られた容量の制約を受けていた。人々が覚え切れないような、あまりにも複雑な物語を創作することはできなかった。だが、書字の発明によって突然、極端に長く、入り組んだ物語を生み出すことが可能になった。


shikoku88 at 19:29│Comments(0) | その他

コメントする

名前
 
  絵文字