2019年12月22日
少年犯罪
2008年に出て「第6回本屋大賞」を受賞した本書はデビュー作だという。後に、松たか子主演で映画化されている。
中学校で起こった少年犯罪に絡んで、登場人物がそれぞれの立場から独白するという構成は、芥川龍之介『藪の中』に似ている。それぞれの告白で次第に事件の全容が明らかになっていくのだが、よく読むと、まだそれぞれが自己弁護していたり、独善的だったり、嘘をついていたりと、どこまでが真実なのか分からなくなってくる。
本書の主人公、渡辺修哉のように、能力は優れているが、倫理観が歪んでしまったり、あるいは未発達な少年少女はいつの時代にもいるだろう。
33:森口先生
特別扱いすればするほど、大袈裟に騒げば騒ぐほど、犯人である少年少女たちは自己陶酔していくのではないでしょうか。そして、それにあこがれる愚かな子どもたちが増えていくのではないでしょうか。最初から未成年が犯人とわかっているなら、事件を最小限に取り上げ、自己陶酔する子供の愚かしさを、勘違いも甚だしいとたしなめてやるのが大人の役割ではないでしょうか。犯人の少女は児童自立支援施設かどこかで作文でも書いていれば、数年後、何食わぬ顔をして社会に復帰してきます。
85:美月委員長
初めは、残虐な悪人を糾弾していても、次第に、糾弾されるべき人を無理矢理作り出そうとする。
233:渡辺修哉
殺人が犯罪であることは理解できる。しかし、悪であることは理解できない。人間は地球上に限りなく存在する物体の一つにすぎない。何らかの利益を得るための手段が、ある物体の消滅であるならば、それは致し方ないことではないだろうか。しかし、こんな自分であっても、学校で「命」というテーマで作文を書けと課題が出れば、クラスの誰より、いや、県内の誰よりも上手く書けるのだ。
