2019年12月15日
『楊令伝』読了
遂に『楊令伝』全15巻読了。『水滸伝』の時にも、「長いわりに、最後はあっけない終わり方だ」と思ったが、これは『楊令伝』でもそうだった。まだ、続編『岳飛伝』があるので、そちらにつなげるためかもしれない。
梁山泊頭領、楊令のつくった「自由市場」は、梁山泊から金の傀儡国家「斉」そして、南宋の支配する江南の地へも広がっていく。黙認した「斉」はともかく、南宋では朝廷と結びついて特権を与えている商人の利が減るので、これを禁止する。見せしめに、「自由市場」に関わった町をいくつか皆殺しにするのだが、良いものを安く手に入れたいという庶民の欲望は抑えがたく、またそれに答えよとする商人の努力もあり、浸透していく。
しかし、「帝がいて、朝廷があり、軍を抱える」というこれまでの政治体制を敷く「金」と「南宋」にとってそれは不気味な脅威であり、最初から対立した南宋だけでなく、梁山泊からの交易の「通行料」で潤っていた金までも、梁山泊を攻撃する。
南宋との戦争中に、梁山泊は黄河の氾濫で、領土の半分が水に浸かるという大被害を受ける。中国の「中原」は、黄河が築いた沖積平野ということになる。
117:昆布の専売日本の十三湊まで行って、昆布を仕入れられるのは梁山泊だけだから、専売の意図がなくても、実質は専売というかたちになってしまう。150:自由市場商人同士が話し合って値を決めるのだけは、禁じた。それ以上、さまざまなことを禁じると、国の統制が強くなり、結局は権力の強化に繋がる。帝がいて、朝廷があるという、これまでの国の姿に行きついてしまうのだ。186:洪水長雨が続いた。そこに、二つ続けて襲ってきた、颱風の豪雨が重なった。河水の上流がいくつも決壊し、巨大な湖を作り、それが次々に破れて、一気に水が中原を覆った。梁山泊を建設するとき、河水の危険は充分に調べた。河水の流れがまるで変ってしまう洪水は、百年から二百年に一度、という結論を、呉用は出して、楊令に伝えた。
