2019年04月13日
トヨタ産業技術記念館
私が名古屋でオススメするNo.1
それは、ひつまぶしでも、味噌カツでもなく、トヨタ産業技術記念館。トヨタグループの共同事業としてグループ発祥の地である旧豊田紡織株式会社本社工場跡に1994年に設立された企業博物館である。初めて来たのは、設立間もない95年。感動して、それ以来、「日本でどの博物館がいいか」と聞かれるたび、産業博物館としてはここを薦めている。私自身は、それ以来数回しか名古屋に行っておらず、それも仕事だったり、同行者が近代産業史に興味のなさそうな人だったりで、今回は6時に家を出て、2時間を確保した。全部見て回ると1日かかる内容がある。
どこが他の企業博物館と違うのか?他の企業博物館はほとんどが企業の歴史と製品紹介の二本柱になっている。トヨタなので、自動車博物館に限って言うと、これはフォードも、ベンツも、ポルシェもBMWも同じだ(全部90年代に訪問した)。
ところが、トヨタ産業技術記念館は、「製造技術」が中心に据えられている。考えてみれば、トヨタグループは豊田佐吉が創業した織機の開発製造が祖業であり、最終製品ではなく、産業機械だから「どうやって作るか」に他社よりも重きを置く伝統なのだろう。
いかに安定した品質で、安価に、大量につくるか。これは、自動車がグループ最大の事業になっても引き継がれ、やがてそれまでの常識をひっくり返す「トヨタ生産方式」を生み出した。70年代、これは国内各社に徐々に広まり、80年代の日本の輸出産業を支えた。アメリカは国策としてこの調査を命じ、MITの調査団が"The machine that changed the World"として出版されたのが1990年だ。