2019年04月02日
人類史を駆動した黄金の輝き「金」
ギリシャ神話のミダス王の物語は有名だ。
「ミダスは、酔いつぶれた神シレノスを手厚くもてなし、礼としてどんな望みも一つ叶えてやろうと持ち掛けられた。ミダスが望んだのは、手に触れたものが全て黄金に変わる力であった」
ミダス王が喜んだのもつかの間、困ったことに気づく。食べ物も飲み物も全て金に変わってしまうのだ。最愛の娘さえも黄金の彫像に換えてしまったところで、ミダスは自らの欲望を激しく後悔し、神に懺悔する。神は、「パクトロス川の水で体を洗え」という神託を与え、全てが無事元に戻ったという。
このミダス王は実在の人物で、紀元前8世紀末頃にプリュギア(現在のトルコ中西部)を治めた。実際に彼の王国は黄金のおかげで豊かで、パクトロス川は砂金を産したという。世界初の金貨が誕生したのも、この場所。プリュギアの後に起こったリディア王国で、原料になったのは、パクトロス川で採れた砂金だった。
20:ミダス王の手この神話は、金というものの本質をよく捉えているともいえる。後先を考えなくなるほどに誰もが欲しがるが、金自身は何かの役に立つわけではない。富者の身を飾るか、欲しいものと交換するほか、使い道はない物質。23:美しき三姉妹金・銀・銅は、元素周期表において縦一列=姉妹に当たる元素=性質が似ている(化学変化を受けにくい)銀は金の10倍ほど、銅は銀の数百倍ほど天然から産出。現在までに採掘された金の量は、世界中合わせても、オリンピックプール三杯分ほど。28:錬金術西洋の術師たちが追い求めたのは「賢者の石」と呼ばれる物質の創生。今の科学用語でいえば「触媒」探し。アイザック・ニュートン(1642-1727)も60代以降の25年間を錬金術の研究に捧げ、果たせぬまま世を去っている。
