2019年02月09日
国会で是非が議論されたデス・ゲーム小説
中学校の1クラス全員を無人の島に連れ込み、政府主催の殺人実験を強制される。生還できるのはたった一人で、そのためにはクラスメイト全員を殺害するのみ。
そんな過激な設定ゆえに、「文芸評論家と編集者の間でひそかに噂になっていた」(解説)にも関わらず、本書は1年以上上梓されなかった。日本ホラー小説大賞の予選委員会では高得点を獲得していたが、本選では選考委員たちにかたく拒絶されたという。
「金八先生のダイレクトなパロディが出てきてひじょうに不愉快」(荒俣宏)
「いなーな近未来漫画を読まされているみたいでした。・・・こういうことを考える、この作者自体が嫌い」(林真理子)
「今の時期にこういう中学生が殺しあいするような作品に賞を与えてしまっては、やっぱりホラー大賞のためには絶対マイナス」(高橋克彦・(当時、酒鬼薔薇事件の余震が続いていた))
私も小説の概要を聞いて、「気持ち悪い」と拒否してしまった。それを今頃なぜ読んだかと言われれば、その後評価が定着したから。出版される本のほとんどが数か月で消えていく中、初版から20年経って版を重ねているということは、傑作と言ってもいいのだろう。
驚いたのは、著者が香川県育ちで、小説の舞台が高松市沖の(架空の)島であること。「ほかに女木島、男木島という島があって、三つ南北に並んでいるのだが、沖木島は一番沖合い、一番北になる」(下p314)という記述から、男木島と豊島の間にある(別の個所で「隣に豊島」という記述も)設定だ。
上27:中国の文献は翻訳物でも比較的入手しやすい。まあ当然だ、共和国は中国を”わが国固有の領土”と主張している。上55:よく見知ったクラスメイトと互いに殺し合うのだ。たった一つの、生き残りの椅子をかけて。そう、史上最悪の、椅子取りゲーム。下173:そういうわけで、下品な有象無象が大嫌いだったどちらかというと愚かな男、織田敏憲は、防弾チョッキの存在を過大評価し、桐山和雄の冷静さを過小評価したためにあっさりと死んだ。
