2018年12月11日
オランダ黄金時代を作った複式簿記
イタリアの都市共和国に未曽有の繁栄をもたらした複式簿記。しかし、15世紀が終わると、イタリアはじめヨーロッパの主要国は絶対君主制の時代になり、その文化の中で複式簿記は「商人の技」として政治の世界で軽視されるようになる。
そんな中、新たな経済大国として台頭してきたのがオランダであった。オランダは共和制を維持し、複式簿記による財政規律を重視した。「世界は神が創ったが、オランダはオランダ人が造った」と言われるように、オランダの国土の1/5以上が13世紀以降の干拓工事によって造られた埋め立て地。海水面以下なので、水管理とそれを支える自治組織は生死にかかわる重要問題だった。このため、オランダ人は会計と責任を真剣に考えるようになったといわれる。
そして、この精神は、世界初の「株式会社」を発明する。
第5章 オランダ黄金時代を作った複式簿記158:オランダ東インド会社を支えた治水の伝統低地のオランダでは、堤防が決壊して浸水したら国土がなくなってしまう。したがってよき水管理、それを支えるよき自治組織は、生死にかかわる問題だった。オランダの人々が会計と責任をあれほど真剣に受け止めたのは、ここに一つの原因がある。282:ジョージ・ワシントンの個人帳簿ジェファーソンと同じく農場経営者で奴隷所有者だったジョージ・ワシントンは、会計にとりわけ気を配った。ワシントンは毎日帳簿をつけることを習慣にし、帳簿はおおむね複式簿記形式だった。ジョン・メイヤーの会計の教科書が、ひどく使い古された状態でワシントンの書斎から見つかっている。第6章 ブルボン朝最盛期を築いた冷酷な会計顧問179:敵を屈服させる鍵は帳簿コルベールはフーケの極秘の計画や書状だけでなく、会計帳簿も入手したかった。背信行為を裏付ける最強の証拠になるからである。(中略)綿密な計画の下、マスケット銃士隊長のダルタニャン、デュマの『三銃士』で不滅の名を残すことになるあのダルタニャンが、フーケの逮捕と家宅捜査の命を受ける。フーケの執務室では、戸棚の背後に大量の束ねた備忘録が発見された。それらはコルベールの指示で直ちに封印され、急使によってすみやかに彼の元に届けられた。ダルタニャンは命令に従い、フーケの側近も全員逮捕し、家宅捜査を行った。183:当時のフランス政府は規模が大きいうえ、大半の事務処理が中世式に行われていたため、さしものコルベールも複式簿記を徹底することはできなかった。もちろんコルベール自身は複式簿記を完璧にマスターしていたが、官僚の大半は習得していなかったのである。それでもコルベールは、複式簿記の原則の多くを取り入れて高度な会計システムを作り上げた。財務顧問会議では、ルイ14世、コルベールと大臣たちの立会いのげで帳簿を締め切って署名をする。
