2018年09月01日

コザ暴動

宝島
真藤 順丈
講談社
2018-06-21


1970年12月20日未明、アメリカ施政権下の沖縄コザ市(現・沖縄市)で、米軍車両や施設に対する焼き討ち事件があった。これがコザ暴動である。直接の原因は、米軍人が沖縄民間人をひいた交通事故だが、かねてから米軍人や軍属が起こした事件に関する捜査権、逮捕権、裁判権はアメリカにあったため、犯人が明らかな場合でも、容疑者はアメリカに送られて無罪放免ということが多かったという。

加えて、1960年代後半からのベトナム派兵本格化で、沖縄は戦地からの帰還兵、一時休暇の兵士であふれ、犯罪が急増した。被害に遭った地元民は泣き寝入りすることが多く、不満がたまっていた。

この小説は、戦後アメリカ施政権下となった沖縄で暗躍する「戦果アギヤー」から始まり、コザ騒動まで20年余りに渡る物語。土地を奪われ、日本とも外国になり、産業が破壊され、多くの沖縄人が食っていくために米軍物資の窃盗、強奪、横流しに手を染める。

米軍も手を焼き、倉庫の警備は強化される。そして、戦果アギヤーたちの中でもずば抜けた成果とその「戦果」を気前よく困っている人に届けるので、地元で「英雄」とされたオンちゃんは、ついに、極東最大の軍事基地キャンプ・カデナに潜入することにしたのだが・・・。

楽しめたのだが、最後の謎解きがあれ?という感あり。あれが米軍にとってそれほど大切な秘密とは思えない。交通事故で人をひき殺した兵士同様、本国送還でうやむやにしてしまえば済む話ではないのか。
7:照明弾の光がひらめくたびに、あの日の悲鳴が、逃げまどう家族の姿が、鉄の暴風に荒らされた土地の傷痕が、振り払えない数多の記録が一瞬一瞬ごとにあらわになるようで、グスクもレイもヤマコも胸を温い熱にあぶられる。

15:極東最大の軍事基地キャンプ・カデナ
500の野球場がすっぽり収まる敷地は、都市そのものだった。英語だけで記された標識や警告板、3000mを超える滑走路が一級河川のように東西を走っていて、そのまわりに大小の兵舎や格納庫や整備工場、将校クラブ、売店、緑地や教会、家族の住宅街がひしめいている。

38:戦果アギヤー
アメリカの倉庫や基地から物資を奪ってくる。積み荷の伝票をごまかす軍雇用員も、茂みからひょいと手を伸ばして米兵のお弁当をかすめる農婦も、憲兵の車からガムやチョコをせしめる浮浪児も、みんながみんな戦果アギヤーだ。


shikoku88 at 18:38コメント(0) |  | 政治 

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