2018年08月10日
世界を二分した「うま味」論争 ― グルタミン酸
私たち以上の世代だと、子供の頃、「味の素で頭が良くなる」という話を聞いたことがあると思う。うどん屋には味の素が必ず置いてあり、それを振りかけて食べる人が多かった。
この「頭が良くなる」というのは、まんざら根拠のない話ではないらしい。味の素=グルタミン酸は人が生きていくのに必要な必須アミノ酸の一つで、重要な神経伝達物質なのだ。この化合物なくしては人間は記憶も学習もできない。
味の素は1960年代に、グルタミン酸の一部を石油からの化学合成で供給したことで非難された。天然由来ならいいが、石油から化学合成するのは許せないというわけである。科学的に見れば、「原料が昆布であろうが小麦粉であろうが石油であろうが、出来上がったものは同じグルタミン酸という分子であり、そこに差異は何もない。原子に個性はない以上つながり方さえ同じなら同じ分子」なのだが、風評被害のため、味の素社は十数年で合成法から撤退し、今ではサトウキビからの発酵法による生産に切り替わっている。
著者は、グルタミン酸の味が大好きなのに、グルタミン酸の使用を嫌う日本人の矛盾を、「便利すぎるから」ではないかという。「自分を感動させ、惹きつける味わいは、厳選された材料と磨き抜かれた調理技術によって生み出されているべきだ」と思ってしまう。「それが実際には安価な調味料一振りで簡単に実現されているとなると、何やら騙されたようで腹立たしくなり、調味料への攻撃につながってしまう」と考察している。
87:タンパク質数百個のアミノ酸が数珠つなぎになったもの。わずか20種類でしかないアミノ酸の縦列組み合わせだけで、あれほどまでに複雑多彩な機能が実現されているというのは、自然の大きな驚異グルタミン酸は、この生命の基本単位である、20種のアミノ酸の一つ。91:幕府を倒した昆布薩摩藩は、奄美や琉球で製造した砂糖を大坂の相場で販売し、その金で買い込んだ蝦夷地の昆布を大陸に売り込んで、巨額の利益を稼ぎ出したのだ。こうして薩摩藩は500万両の借金を清算し、逆に250万両もの蓄財を行うという、奇跡的なV字回復を成し遂げた。薩摩藩が討幕の主役を演じることになったのは、ここで得た資金の力が大きい。95:第五の味覚発見欧米では全く受け入れられなかった。欧米でもチーズなどグルタミン酸の味は楽しまれている。しかし、欧米の科学者はグルタミン酸の味をほとんど感じず、何度がテストが行われたものの、「無味」という結論が下された。98:1960年代には、味の素社はグルタミン酸の一部を石油からの化学合成で供給。原料が昆布であろうが小麦粉であろうが石油であろうが、出来上がったものは同じグルタミン酸という分子であり、そこに差異は何もない。原子に個性はない以上つながり方さえ同じなら同じ分子。しかし、味の素社は十数年で合成法から撤退し、今ではサトウキビからの発酵法による生産。

