2018年07月16日
社会科学としての経済学
経済学は社会科学の中でも、長年、二流と見なされてきた。それは、「科学」というほど体系だっておらず、また再現性にも乏しいからだ。その傾向は、数式モデルを中心とした理論経済学が登場するまで続くのだが、一方、ますます経済学を一般社会から分離してしまったかもしれない。
著者は戦後のマルクス研究を主導した宇野弘蔵。教条的な『資本論』読解を批判し、純粋な科学として再構成することを企てた。その独創的な資本論読解により宇野学派と呼ばれる学派を形成した。
こうして宇野によるマルクス経済学の解説を読むと、明らかに、マルクス経済学の方が古典経済学より、社会科学としての完成度が上。戦前戦後の多くの秀才がマルクス経済学に惹かれた理由がわかる気がする。
「日本のように、大学で『資本論』が研究されてきた国はあまりない。マルクス・エンゲルス全集が、曲がりなりにも完成したのは日本が初めて。日本では大学で大正末から昭和の初めにかけてはマルクスの『資本論』が盛んに研究された」(p73)
『資本論』の危険性が当初から認識されて、研究が制限された欧米に対し、日本では自由に研究でき、世界のマルクス経済学研究のトップを行っていたというのも興味深い。
序:マルクス経済学『資本論』経済学の原理として明らかにされる経済法則は、法則として当然のことであるが、自然法則と共通の一面を有しながら、他方では全く異なった特殊の面を持っている。それは人間の意識的行動によって展開される法則によって自然法則に支払せられるように支配せられるということから生ずる。15:資本の原始的蓄積商品経済というのは、形式的には個人的に自由平等の関係です。そこで部分的にはともかく、社会的には封建社会自身が崩壊しないと商品経済が基本的関係にならない。だから資本主義の発生には、この封建社会の崩壊で、土地の領主の農民に対する直接的支配がなくなって、自由になり、同時に土地を失った農民が、労働力をも商品として売らざるをえなくなるということ。17:労働力という商品は特別労働力を商品として買うとその代価を払えば、必ずその代価以上の価値が得られる。(中略)人間は一日いっぱい働くと、必ず一日の生活資料以上のものを生産することができる。233:マルクス経済学説1867年に発刊された『資本論』第1巻によってその基礎が確立される。もちろんそれまでにマルクスは1843-44年以来20数年にわたって経済学の研究をしてきたのであって、『資本論』第1巻はその成果をなすものである。(中略)それは従来の経済学説のほとんどあらゆるものを批判的に検討して得られたものであって、彼自身にとってはもちろんのこと、その後彼の学説を取る人々にとっても、単なる一学派をはすというものではない。アダム・スミス、リカードによって確立した古典経済学の科学的伝統を引き続きつつ、それを科学的に完成したものとなっている。240:マルクス経済学の意義マルクス主義は、ドイツの哲学とイギリスの経済学とフランスの社会主義とをその三つの源泉とするといわれるのであるが、『資本論』はドイツ哲学とフランス社会主義とを克服しつつそれを新たな思想的背景として、イギリス経済学にはとうてい達成しえなかった経済学の原理的体系を根本において完成したものである。
