2018年07月09日
デフレマインドなど存在しなかった❓
著者は慶応義塾大学教授で2011-2016年に日銀政策委員会審議委員を務めた。前総裁の白川氏から、現総裁の黒田氏への移行期にあたる。
「異次元緩和」に効果はあったのか?については、
・異次元緩和により、円高と株安は是正
・実質GDP成長率はQQE導入前よりも低い
・円安なのに輸出数量は増えなかった
・「物価上昇率2%」を達成できてない
ということになる。
円高と株安是正は「物価上昇率2%」達成のための手段であり、目的ではなかったから、結果は失敗だったといっていい。後に残ったのは、今や日本最大の大株主になった日銀のETF保有残高24兆円と、これまた400兆円にも上る国債保有残高だ。日銀が長期国債を全部買ってしまうため、国債市場で売買が成立せず、値段が付かないという異常事態が続いている。
「異次元緩和」の前提は、「デフレマインドの克服」にあった。デフレで、将来、物価が安くなると思っていれば、今は買い控える。そのために、さらにデフレが深刻化するというのが、デフレスパイラルだが、これを克服するために、「物価上昇率が2%になるまで金融緩和を続ける」と日銀が宣言したのだ。
ところが、統計データで物価が下落している時でも、アンケートを取ると「物価が上がった」と答える人が多い。つまり、デフレマインドはそもそもなかったのではないかと著者は分析する。しかし、物価が上がるのなら経済理論的には早く買ったほうがいいのだが、日本ではそうなっていない。
背景には、賃金が下落している中で、社会保険料の負担が上がり、可処分所得の減少が続いている現実がある。生活が苦しく、また、それが悪化しそうだから、消費に踏み切れないのだ。筆者はこれを「日本型デフレ」と呼んでいる。経済学の教科書には出ていない、新たな経済現象だ。
結局、日本のデフレは「構造的な問題」であるため、金融緩和で解決できないと考え、大規模な金融緩和には消極的だった白川前総裁の考え方が正しかったということになる。

【日銀ETF買いと日経平均の推移】’16年7月までは年3.3兆円、以降は年6兆円でETFを買ってきた日銀。日経平均1万円割れの底値から反発する原動力になってきた
円高と株安是正は「物価上昇率2%」達成のための手段であり、目的ではなかったから、結果は失敗だったといっていい。後に残ったのは、今や日本最大の大株主になった日銀のETF保有残高24兆円と、これまた400兆円にも上る国債保有残高だ。日銀が長期国債を全部買ってしまうため、国債市場で売買が成立せず、値段が付かないという異常事態が続いている。
「異次元緩和」の前提は、「デフレマインドの克服」にあった。デフレで、将来、物価が安くなると思っていれば、今は買い控える。そのために、さらにデフレが深刻化するというのが、デフレスパイラルだが、これを克服するために、「物価上昇率が2%になるまで金融緩和を続ける」と日銀が宣言したのだ。
ところが、統計データで物価が下落している時でも、アンケートを取ると「物価が上がった」と答える人が多い。つまり、デフレマインドはそもそもなかったのではないかと著者は分析する。しかし、物価が上がるのなら経済理論的には早く買ったほうがいいのだが、日本ではそうなっていない。
背景には、賃金が下落している中で、社会保険料の負担が上がり、可処分所得の減少が続いている現実がある。生活が苦しく、また、それが悪化しそうだから、消費に踏み切れないのだ。筆者はこれを「日本型デフレ」と呼んでいる。経済学の教科書には出ていない、新たな経済現象だ。
結局、日本のデフレは「構造的な問題」であるため、金融緩和で解決できないと考え、大規模な金融緩和には消極的だった白川前総裁の考え方が正しかったということになる。

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