2018年07月07日

読書家松岡正剛の誕生



千夜千冊」で有名なので、書評家かと思っていたが、「生涯一編集者」らしい。「千夜千冊」は1000冊をとっくに超え、現在1678夜になっている。因みに、私の読書記録は10年前にWeb上でつけるようになってから本書で1735冊になった。その多くは、本blogでも紹介している。

それはともかく、どうしてこれほどの読書家になったのかの経緯が「第九綴 歴史の授業」に出てくる。高校生になって歴史にはまった松岡少年は、歴史書を読みまくる。ウェルズの『速度の歴史』、ルネ・クロジェの『地理学史』、羽仁五郎の『明治維新』、遠山茂樹らの『昭和史』、グロリエの『書物の歴史』、モルウの『建築の歴史』などから始まり、そこから先は雑食で「やたらめったら読んだ」という。

興味深いのは、友人らと「共読」していたという点。いわば、友達と読書を競い、感想を言い合って、読書体験を加速させていた。

二年生で水泳部のキャプテンになったYは、クラス一番の成績でもあったのだが、ある日、ぼくが『カラマーゾフの兄弟』を読んでいないことにがっかりしたと詰り、大審問官の場面について「一ヵ月後には松岡の感想を聞きたい」と言った。何かを試されているようで、親友だと思っていたYがこんなことを言い出したことにびっくりしたが、引きそうもない要請に気圧されて読んだ。(p96)

調べてみると、松岡正剛が通っていたのは都立九段高校。この後、早稲田大学文学部フランス文学科に進学することになる。

教育とは、カリキュラムの内容だけでなく、先生の質、そして生徒の質に左右される。その現実を無視して導入された都立高校学校群制度(1967-1981)で、都立高校はボロボロになった。学力差がある生徒が同じ教室にいるから、授業は能力の高い生徒には退屈で、逆に低学力の生徒はついて行けない。松岡少年が体験したような、生徒同士の刺激も激減したことだろう。

logo


shikoku88 at 19:00コメント(0) |  | 教育 

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
Archives
Recent Comments