2018年02月18日

同族会社ガバナンス協会

少数株主
牛島 信
幻冬舎
2017-12-13


今、日本の企業には、上場会社を含めて400兆円の内部留保があるという。銀行の貸し出しが進まないはずだ。多くの会社が、成長機会を見つけ出せずに、投資を控えている。

そのうち150兆円は非上場会社が持っている。上場企業に比べれば少ないが、GDPの3割に当たる大変な金額だ。非上場企業のほとんどは同族会社。その大半はオーナー経営者で、少数株主のことを無視して経営している。同族会社にコーポレートガバナンスを持ち込み、「日本解凍」したらどうなるかという企業法務の弁護士が書いた小説。非常に面白いテーマだ。

「向島運輸」という架空の会社が登場する。戦後すぐに創業して、高度経済成長とともに業容を拡大するが、1980年代から本業は縮小する。儲けた金で不動産を買い増していき、現在は時価100億円の不動産を所有する不動産管理会社だ。子供のいなかった創業者夫妻は、甥っ子を社長にする。甥っ子は持ち株会社を通じて会社の51%の議決権を保有している。実際の不動産の管理は10人の社員がやってくれるから、年間に2億円ある営業利益を使いたい放題だ。配当を増やせば、49%の少数株主(親族や元幹部社員に運送会社時代の取引先)に資金が流出してしまうので、自宅に別荘、愛人宅全部会社で買って、会社経費で賄っている。

こうして、何兆円という資金が同族企業に滞留している。これを、平等に株主に「解放」すればどうなるか?企業成長への投資アイデアがないなら、配当にしろ、株式の買取りにしろ、株主に還元して株主に用途を任せればいい。その資金を他社への投資に回す人もいれば、消費して楽しむ人も、場合によっては、それを元手に商売を始める人もいるかもしれない。

いずれにしても、資金が社会に還流され、再び、経済活動を刺激することになる。

10:「みんな初めはそうなんだ。だが、そのうち株が分散してしまう。子供がいれば孫ができる。全員が経営をするわけじゃない。ほんの一部だけが経営をやる」

74:創業者の下には、いっしょに会社を支え、株を分けてもらった男がいた。いわば番頭格の、創業者にとって右腕ともいうべき男たちだ。その男が死んで、遺族にはなにがなんだか事情がよくわからないままに、とにかく株が財産のなかに紛れ込んでいたというケースもあった。

107:日本には100年以上続いた会社が2万7000社
長寿企業の大半は同族会社。ドイツには1500社程度しかない。江戸時代から続いている会社が3800社。日本の同族企業は利益第一ではない。会社が生き続けることが優先事項。

119:墨田鉄工所
もともとの事業であった町工場をやめてからすでに長い期間が経過していて、実態は不動産を保有して賃貸しているだけの、従業員も5、6人に過ぎない会社。

135:創業者の妻
沙織は配当を年に400万円もらうほか、姉といっしょに取締役として名を連ねていることで、向島運輸から年に1500万円の報酬をもらっていた。手取りで月100万円になること以外、沙織には関係のないことばかりだった。

248:議員立法
非上場会社の少数株主に会社への買い取り請求権を与える。目標は、日本中で凍結されたままになっている中小企業の資産を解凍すること。全国の中小企業の経営者を経営の使命に目覚めさせ、世の中のためになる経営に奮い立たせること。


shikoku88 at 18:11コメント(0) |  | 仕事 

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