2018年02月08日

認可保育所を増やしても母親の就業率は上がらない



保育所落ちた日本死ね」で、改めて待機児童問題に関心が集まった。それまでも対策は取られていたが、政治的な注目が集まったことで、急な予算増や規制緩和につながった。

それだけの税金がつぎ込まれるなら、社会としてリターンがなくてはならない。その最大の指標は、保育所が整備されることで母親の就業率が上がり、働きたい母親も幸せなら、それによる税収も見込まれる点である。ところが、これまでノルウェー、フランス、アメリカなどでの研究では、「認可保育所の整備にもかかわらず、母親の就業は増加しなかった」と報告されている。

本書によれば、日本でも、1990年から2010年までの県別の保育所定員率と母親の就業率のデータを用いて、差の差分析が行われた。一つ目の差は、同期間の各都道府県の母親の就業率の差で、二つ目の差は、県別の保育所定員率が増加した都道府県(介入群)と、まったく、あるいはほとんど増加しなかった都道府県(対象群)の母親の就業率の差。この2つの「差」を取ることで、因果関係を推定する。

分析結果は、他国で報告されていたのと同様、「保育所定員率と母親の就業率のあいだには因果関係は見いだせない」というものだった。この理由として、認可保育所は、私的な保育サービス(祖父母やベビーシッター、あるいは認可外保育所など)を代替するだけになってしまった可能性が指摘されているそうだ。つまり、もともと働きたい女性は、こうした私的な保育サービスを利用しながら就業していたので、認可保育所定員の増加は私的な保育サービスから公的な(=安い)保育サービスへ乗り換えを促しただけだったのだ。そして、もともと就業する気のない母親は、認可保育所があろうとなかろうと働かない

ただし、地方でも核家族化は進んでいて、今後認可保育所が重要になってくるのは間違いない。また、保育士は専門的な知識や技能を持っているので、子供の発達や健康にはプラスの可能性が期待できる。実際、過去の経済学の研究では、質の高い幼児教育の投資リターンは極めて大きいそうだ。大脳は0-5歳時に最も成長するので当然だろう。
shikoku88 at 18:29│Comments(0) | 経済

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