2017年10月25日

第4章 ブラックマンデーと損失補償問題

野村證券第2事業法人部
横尾 宣政
講談社
2017-02-22


横尾氏が第2事業法人部在籍中の1987年にブラックマンデーが起こる。氏が担当していた会社の中で「どうしよう」とオロオロするばかりだったのがオリンパスだったという。運用能力もないのに、財テクに深入りして既に300億円の含み損を抱えていた。

そこで横尾氏は一計を案じる。市場がパニック状態で理論価格を大幅に下回っていたワラントをオリンパスに買わせたのだ。ワラントはその性格上、下げ相場のときには現物株以上に下がり、逆に上がるときは現物株以上に上がる。底値で買ったワラントはその後莫大な利益をオリンパスにもたらす。

結局、オリンパスは横尾氏の推奨したワラントとNKK株などで400億円の利益を上げ、損失を全て解消した上お釣りが来た。横尾氏はまったく相場に向き合う能力も胆力もない山田秀雄氏を見かねてこういったという。

「二度と資金運用に手を出さないでください」

ところが、山田氏はその忠告を聞かず、後の巨額粉飾事件に繋がっていく。

141:ブラックマンデー
私はワラント全銘柄の理論上の価格を弾き出し、それをグラフ化した当時はパソコンが存在せず、電卓で計算してグラフ用紙に点を打ち、そこにワラント課が出している店頭での売買価格を入れた。するとワラント課の価格はどの銘柄も理論値を大幅に下回っている。つまりワラントを購入し、のちに権利行使して株を取得した方が、株そのものを買うより遥かに安く株を取得できるという、前代未聞の状態が出現していた。

145:転換社債部 松本新平部長
松本部長はそれ以降、会社から徒歩数分のビジネスホテルに3日間泊まり込み、ワラントの価格が急騰しないように少しずつ買い集めてくれた。(中略)松本部長は翌日の夜もロンドン市場でワラントを買い集め、明け方にホテルで数時間仮眠して、また会社に来ていた。ワラントを53億7000万円分買い集めた段階で、松本部長から「もう止めよう。これ以上買うと価格が上がってしまう」とストップがかかった。予定の100億円は買い集められなかったが、松本部長には一生足を向けて寝られないと思った。

158:東京国税局 特別調査官 鈴木一友
「これは今世紀最高の金融取引だ。こんな決算操作ができるものかと恐れ入った。この取引は寄付にも、贈与にも、損失補填にも当たらない。合法的で真っ当なものだ。それは認める。だがわれわれはロンドン、アムステルダム、ニューヨークに調査官を派遣して、大変な人手とカネをかけて3年間調査した。こんな調査は前代未聞だ。ここで『ああ、そうですか。分かりました』と引っ込むわけにはいかない。オレの立場も考えて、少なくとも200億円程度は税金を払ってもらいたい。会社の上層部には言えば分かるから、そこのところを君からもはっきり伝えてほしい」「税金を払わないつもりなら、新聞を使ってでも、どんな手を使ってでも課税してやる」

163:田淵義久社長
社長辞任会見の3日後に開催された、91年6月27日の野村の株主総会。田淵さんは損失補てんと呼ばれる一連の行為について、「当局と相談した上で、営業特金の見直しに際して生じた有価証券の売買損と認識しており、損失補填も損失保証もなかった」「全部を大蔵省にお届けしており、その処理についてもご承認をいただいている」などと真相を暴露した。


shikoku88 at 18:50コメント(0) |  | 仕事 

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