2017年10月18日
日本にも独自の恋愛の起源があった
著者は、「日本にも独自の恋愛の起源があった」という。そんなの当り前じゃないか!と思うのだが、文学史的には、「ヨーロッパの宮廷風恋愛が近代的恋愛の起源」とされていたらしい。
恋愛はマナーとして、規範として自然発生したものではなく、文明の産物であった。理想的な人間関係としての恋愛はヨーロッパで発見され、日本をはじめ、西洋を手本にしたアジア諸国は近代化とともに導入した。アフリカはいずれそうなるだろうし、ひょっとするとアラブ世界も将来近代的恋愛を取り入れるかもしれない。つまり、恋愛は西洋で創出され、後に男女関係の規範として世界中に浸透した。(解説:張競)
ところが、日本には『源氏物語』の存在がある。天皇家がアヴァンチュールを繰り広げる話なので、戦前の日本では「天皇の権威を貶めるもの」として積極的に取り上げられることはなかった。日本が国家目標とした欧米列強のプロテスタント的価値観とも相いれない。
ところが、丸谷才一氏は、日本では平安時代に恋愛がすでに発見された、という新しい説を出した。それは素朴な男女愛と違って、宮廷社会において作法であり、儀礼であり、社交でもあった。西洋の宮廷風恋愛と同じように、日本の王朝風恋愛も人工的に作り出された文明的な産物であった。(中略)日本では繁殖呪術が恋愛を詠むきっかけであったが、平安朝になってもその伝統が引き継がれた。さらに『源氏物語』の出現でより洗練された文学様式が獲得されるようになった。日本はじめ、世界中で結婚式のスタイルが西洋風になっている。背景には、単なるウェディングドレスへの憧れ以上に、「西洋で創出された恋愛」の世界標準化があるわけだ。そこに、ハリウッド映画が果たした宣伝効果があることは言うまでもない。
13:(中国で)なぜエロチックな冗談が嫌われるかと言えば、それは儒教の伝統のせいに決まっている。共産主義が原因ではなさそうだ。マルクスやレーニンの故にではなく、孔子あるいはその弟子たちの教えに義理立てして、中国の文士は日本の同業者の前で鹿瓜らしく気取らなければならないのである。解説:張競・『源氏物語』は、世界文学でも稀に見る不思議な作品・長編小説として、作品の構成においても、語りの形式においてもおよそ11世紀という時代には想像もできないほど独創的・同時代の世界のどこにもまだ長編小説は生まれていない・中国のもっとも古い長編小説は『水滸伝』と『三国志演義』で、14世紀頃・二つの小説とも一人の作家の手によるものではなく、過去の積み重ねの上に出来上がったもの
