2017年09月23日
女と貨幣と言葉
昔のベストセラー。文庫が出てからも25年になる。シェークスピアの名作を経済学の立場から論ずるという切り口が受けた。
周知の通り、ユダヤ人の高利貸しがとんち裁判?で懲らしめられる話である。実際のところ、シャイロックは財産の半分をヴェネツィア共和国に没収されてしまう。シャイロックは債権者であり、「肉1ポンドを申し受ける」という契約が公序良俗に反するいるから無効だとしても、国家に没収される理由はないと思うのだが、嫌われ者のユダヤ人が懲らしめられるのが当時の観客に受けたということか。
「女と貨幣と言葉が残った」というのが印象深い。
15:マックス・ウェーバーによれば、いわゆる「共同体(ゲマインシャフト)的」な社会は、貨幣を媒介とした商品交換によって成立している貨幣経済と異なり、何よりもまず人々のあいだに結ばれる「身分契約」、そのなかでも特に「兄弟盟約」とよばれる関係によって成立していると言う。17:たとえば、中国とペルシャから絹、インドとスマトラからコショウ、セイロンからシナモン、西インド諸島から砂糖とタバコとコーヒー、ブラジルの内陸から金、新大陸から銀を輸入し、それらをにおいて高価に売りさばいていたアントーニオやその仲間の十六世紀ヴェニスの貿易商人たちは、これらの品物の遠隔地における価格とヨーロッパにおける価格との間にある差異を仲介して、危険はともなうが成功すればそれによって莫大な利潤を得ていた。64:シャイロックの秘蔵の娘ジェシカ、かれが高利貸しによって蓄えこんでいた貨幣、そしてかれが発した「証文どおり」という言葉に表現されている等価交換原理、そなわち女と貨幣と言葉は、いずれもシャイロックから独立して、この最後の舞台にも残り続けている。

