2017年09月04日

カネは借りたほうが圧倒的に強い

住友銀行秘史
國重 惇史
講談社
2016-10-06


いよいよ事態は動き出す。

住銀の「政治部長」の異名をとり、MOF担として類いまれな能力を発揮して同期でいち早く取締役になった國重氏。行内事情に明るい彼は、闇の勢力が住銀系列の中堅商社であるイトマンを通じて「住銀の天皇」と言われた磯田会長に取り入り、多額の不正融資を引き出していることを知る。これは住銀を揺るがす大事件になると直感し、これにストップをかけようと社内人脈を通じて働きかけるが、磯田会長派との派閥争いに巻き込まれてしまい、進展しない。

そこで、「内部告発」という手段に出る。相手は組織のトップであるから、行内でやるわけではない。これが巧みで、「イトマン従業員」という立場をとって、大蔵省宛に出している。内容は、「イトマンが不動産投資に入れあげていて、多額の不良債権を抱えている。その資金源は住銀だから調べてほしい」というもの。同時に、マスコミにも同情報をリーク。もみ消されないように手を打っている。

「カネは、いったん借りてしまえば借りたほうが圧倒的に強い」というのは、その通り。体面を気にする銀行は、地上げ屋や仕手筋に大量に貸し出していたことが事件になってばれないよう、追い貸ししてキズを広げていくのだ。

「住銀を財布のように使っていてカネを引き出していた」

住銀のイトマンへの融資や保証は、最終段階で急激に膨らむ。これは、4年間戦った太平洋戦争での死者が最後の半年間で急増したのに似ている。最初の判断の間違いは完全には避けられない。その後、何度か止められる機会はあったのに、引き際を間違えてしまったのだ。

84:日経新聞大塚記者と共闘
大塚「他の新聞社にイトマンから内部告発をさせてくれ。日経単独で行ったら潰されてしまうかも」

91:Letter(内部告発文書)
宛先:大蔵省 土田銀行局長 差出人:イトマン従業員一同

111:日経の第一報 1990/5/24
「伊藤万 土地・債務圧縮急ぐ 住銀、融資規制受け協力」

153:カネは、いったん借りてしまえば借りたほうが圧倒的に強い
銀行も調子よくばんばん融資をしていたくせに、いざ相手が不渡りを出しそう、つぶれそうだということがわかると、地上げ屋、仕手筋のようなところに日本の一流銀行が融資をし、挙句に潰れてしまったという体を世間にさらしたくない。そこで追い貸しをする。借りる側もそれを利用してカネを引き出す。小谷氏はまるで住銀を財布のように使っていてカネを引き出していたわけだ。

157:イトマンの借り入れがこの2ヶ月で2000億円も急増しているというのは、驚愕の数字だった。住銀のイトマンに対する融資や保証も、3100億円に達していた。


shikoku88 at 21:13コメント(0) |  | 仕事 

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