2017年09月11日

青春とスポーツ

女の足指と電話機 (中公文庫)
虫明 亜呂無
中央公論新社
2016-11-18


虫明氏の著書を読むのは初めて。本ブログに時々登場する早大後輩の文学中年に薦められた。さすが文学部、こういう本を昔から読んでいたわけだ。

20代は早大に残り文学部の「副手」(薄給で肉体労働のアルバイトで食いつないでいたとある)、30代は雑誌『映画評論』編集部に勤務。文壇デビューは40歳の頃で、活躍したのは1960-70年代。1983年に脳梗塞で倒れ、長年の闘病ののち1991年死去とある(Wikipedia)。その後しばらく忘れられていたのは、長編がなかったためか。

豊饒な文体に圧倒される。三島由紀夫から、「真の理解者」と言わしめたのも分かる気がする。



39:青春は焦燥と不安と倦怠と諦念と自己嫌悪でいっぱいであった時代である。青春を多感の時代というのも誤りである。多感であるには感受性は練磨されず、また感受性を表現するだけの言葉も知らぬ時代である。

41:「ボードレェルだって、ランボオだって、頑健な体をもっていたのです。だから、あのようなデカダンスができたのです。このことは、大事なことです。丈夫な体をもった人だけが、頽廃を体験できるのですね」(早稲田文学部仏文科 小林龍雄先生)

45:ぼくに言わせてもらえば、『憂国』は一種の愛と死と至福と恍惚の文学であり、みようによっては肉体と記憶のスポーツ映画なのである。だから小説『憂国』も、映画『憂国』も、作者の真意を汲みとった人はほとんどなかったといっても言いすぎではなかった。いちばん憎んでいたものを、いちばん美しく書いてみせるというのが三島氏の特徴なのである。


shikoku88 at 17:32コメント(0) | 早稲田 

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