2017年06月28日
犯罪小説3部作「完結編」
辻原登の作品を読むのは初めて。昨年出版された最新作が書評で「傑作」との呼び名が高かったので秋田への旅行中に読んでみた。面白い

舞台は1980年代の和歌山。作者は同地の出身ということで、描写が細かい。リアリティを増す効果はあるのだが、やりすぎの気もする。何か所が端折った。今は和歌山在住でないのだろうが、おそらく頻繁に帰っていると思われる。
不動産屋が老人ホーム職員と組んで入所老人の持つ不動産を詐取する。ヤクザが愛人を使って美人局で公務員を恐喝する。山口組と一和会の対立による暴力団同士の抗争など、犯罪が愛欲と絡む濃い物語となっている。当時の和歌山を知る人にとっては、アルアル
ではないだろうか。東京なら千葉・埼玉、大阪なら和歌山・奈良の方が都会への憧れと、反面のギャップで社会が不安定な気がする。タイトルの「籠の鸚鵡」は、本文で何度か登場する戦中の歌謡曲「南の花嫁さん」(歌:高峰三枝子)の一節。付合っている男の影響を受けやすく、男のセリフをそのまま受け売りする主人公カヨ子を暗示する。
6:石油基地は町に多くの雇用と税収を齎した。県内外からの流入もあり、人口は以前の8500人からおよそ11千人にふくらんだ。以来、町はミカン派と石油派に二分され、利権争いも絡んで互いに反目しあうことが多く、4年に一度の町長選や町議会選挙では両派の熾烈な戦いが繰り広げられてきた。199:玉本敏雄はタイに少女漁色旅行を何度もつづけた挙句、1970年代前半、チェンマイで10代の少女11人を妻としてハーレム生活を始めた。262:温泉宿や湯治場を巡って置き引きや窃盗をくり返すコンビに目を付けられ、連携プレーに乗せられて被害に遭ったのは痛恨の極みで、峯尾は当初の予定を早めて、その翌日に宿を引き払い、田辺行のバスに乗り込むことにした。301:紙谷は岸井徹と組んで、老人ホームに入居している老人から土地を詐取して、1億円以上の金を懐にした。岸井に一千万円を渡し、差し迫った負債を整理して手許に五千万円近い金が残った。

