2017年06月24日
個を活かす「分化」の組織論
「日本人の仕事に対する熱意は世界最低水準」という衝撃的な調査がある。「日本人は勤勉でチームプレーヤー」というイメージは世界に定着しているが、各種の調査は、日本人は勤勉ではあるものの、仕事に対する熱意が低いことを示している。勤務時間だけは長いが、「ただ居るだけ」という惨憺たる状況なのだ。
確かに、私の米国での勤務経験から言っても、アメリカ人はよく働く。今週紹介したピーター・リンチのように朝6時台から働くのは珍しいことではない。日中はわき目もふらず自分のキュービクルで働き、ランチも大抵家から持ってきたサンドウィッチや果物。その代わり、集中力がそんなに続くわけがないので、10時間くらいの勤務で退社していた。ほぼ全員自動車通勤ということもあり、夜は大抵自宅で食べる。
一方、日本はというと、9時の始業ならその直前に出社して、3時間後には昼休み1時間。机が並んでいるので、私語も多い。電話が鳴れば、担当が決まってなくて、全員が反応する。その度に仕事が中断される。この環境では、クリエイティブな仕事をするのは難しい。アメリカでは昔から電話は直通だし、
代表電話は秘書が取っている。今では電話番号自体載せない会社が多い。
筆者は、ポスト工業化社会の中で取り残され、生産性の上がらない日本企業の原因を「未分化」に求める。別の言葉で言えば、個が独立してなくて、本来「目的集団」であるはずの企業にも共同体的要素を求める「疑似共同体」であるという。経済がキャッチアップモデルで、やるべき事が決まっていた工業化社会ならこれでよかったが、企業自ら道を切り拓いていかなければならない現在では、これが足かせになっている。
明治初期に福沢諭吉が唱えた、「一身独立して一国独立す」と同じだろう。

まえがき:個人が組織や集団から「分化」されていない・日本人の仕事に対する熱意は世界最低水準・日本企業で活躍の場を失った優秀な人材が、海外へ大量に流出・名だたる大企業や権威を誇る官公庁、警察などで信頼を一気に覆すような組織的不祥事が続発・これらの諸問題には、共通する「病根」・昔日の工業社会のナイーブな成功体験から脱却できてない・「つながり」「絆」「ぬくもり」といった耳に心地よい言葉が流布44:女性自身が昇進に積極的でない管理職に昇進したいか(内閣府調査2014)昇進したい女性38% したくない61%働く女性のうち管理職を目指している人7.4%(電通総研2014)女性管理職の割合11%69:ポスト工業社会・創造性、革新性、感性、ユニークな個性といった人間特有の能力や資質が重要・これらの能力や資質は、自発的で質の高いモチベーションによって発揮される71:共同体と目的集団典型的目的集団であるはずの企業が、日本では利害を超えた運命的な関係で結ばれる基礎集団としての特徴を併せもつ「疑似共同体」76:共同体の同調圧力・「勤勉だが熱意に欠ける」日本の労働者=共同体型組織の弱点132:「分化」すればつながる・いくら組織が人を巻き込もうとしても、人間同士をくっつけようとしても、機能面ではバラバラ・無理に求心力を高めようと巻き込んだり、くっつけたりするから、逆に遠心力が働く

