2016年10月04日
旭山動物園の収支

「伝えるのは命」だけで終わっては本blogの意味がない。気になるのはそんな旭山動物園の収支だ。
まず、旭山動物園の入場者数の推移をみると、10年前の300万人をピークに減っている。ここ数年の入場者数は160万人台で推移している。収支を調べていて上図を掲載したblog(安達裕哉)を発見。表の作者は大阪市で、天王寺動物園の将来像検討のための資料として掲載されている。
これを見ると、公営動物園の収支は軒並み赤字で、それを税金で毎年埋めているわけだが、主要動物園の経常経費に占めるその比率は50-70%だ。つまり、毎年必要な運営費の半分も自前で賄えてない。平成22年の時点で唯一黒字であったのは旭山動物園で、総収入が経費を31%上回っている。営業利益率が24%ともいえる。そもそも、黒字の旭山動物園がマイナスで表示され、赤字の施設が「税等負担率」としてプラスで表示されているところに非常識さを感じる。「赤字で当たり前」という感覚なのだ。
その後さらに入場者数は減ったので、上記blogでも「現状は少し黒字」程度ではないか?と推察している。そこで最近の旭川市の報告を見てみると、「歳入と歳出」がピタリと一致することに気づく。民間企業ではありえないこの一致は、赤字分を税金で補てんしていることに相違ない。つまり、全国の主要動物園はすべて赤字ということになる。
では、どうすればいいのか?公営の施設がダメな最大の理由は、「公営=儲けてはいけない」という意識のため、計画も運営も甘くなること。旭山動物園が立ち直れたのは、一時期入場者数が年間30万人にまで落ち(しかも、その多くは無料や廉価な市内の学校遠足だろう)、閉園の危機にさらされたからである。そこで、やっと、組織存続のための問いかけがなされたわけだ。
もう一つの理由は、公会計には「投資と減価償却」の概念が希薄だからである。単年度運営が黒字なだけで、「儲けすぎ」の批判にさらされる。実際は、運営費に巨額な初期投資の減価償却が入ってないケースもある。必要な施設ならいつかは建て替えなければならないのに、その費用はその年に別途予算を付けることで賄われる。本来であれば、利益を積み立てて備えなければならない。
動物園に勉強に来ている人は稀で、多くは動物の姿を見て楽しむために来ている。とすれば、TDLやUSJと競っていることになる。TDLやUSJは毎年のように改善している。その結果、7000円台の入場料を取れているわけだ。これは旭山動物園の入園料820円の9倍だ。
本来なら、300万人の過剰人気になる前に大幅値上げをすべきだった。上記安達さんは「2000-3000円が妥当なクオリティ」と書いている。私もそう思う。値上げすることで、当時の異常な混雑を緩和し、将来に向けて利益蓄積できたはずだ。混雑で顧客満足度は確実に落ち、飽きられるスピードも速くなった。
そのためには、まず、動物園を市営ではなく、独立法人にする必要がある。市営のままでは、利益を出してもおそらく単年度会計で市に戻さなければならないからだ。それでは、「工夫して黒字にしよう」というインセンティブがない。
