2016年04月09日

歴史の裏の会計士

帳簿の世界史
ジェイコブ ソール
文藝春秋
2015-04-08


著者は南カリフォルニア大学の会計学の教授。会計の歴史を専門としている。著者によれば、「会計を重視した企業や国家は栄え、軽視したところはほどなく滅亡する」ということになる。1340年に世界で初めて複式簿記を国家財政に採用したジェノヴァでは、自国の財政状態を常時把握できたため、他国と全く違う政治観を持つにいたったという。

確かに、会計を軽視するということは、「現実を見ない」という態度の表れであるから、現実を見ずに自分に都合のいい情報選択をしている組織はやがて滅びるだろう。私も経営の現場に居て、会計を軽視する経営者が破綻する姿を何度も見てきた。自分で始末がつけられなければ、最終的に従業員と取引先に大迷惑をかける。おカネに執着のない経営者はダメだ。

そこで気になるのは日本の国家会計。日本も2003年から「国の財務書類」という複式帳簿を発表している。しかし、予算編成とその執行は引き続き単式で行われている。3月に発表された平成26年度の最新版(なんと出るまでに1年掛かる)を見てみる。いきなり債務超過である。

それも、総資産932兆円のうち半分近い432兆円の大幅な債務超過だから企業ならとっくに倒産している。国が倒産しないのは、お札を刷れるからである。中央銀行と政府の「独立」が前提となっている現代国家では本来違うはずなのだが、事実上日銀が国債の引き受けをしている現在、そういっても間違いではないだろう。

二升五号




































13:なぜルイ16世は断頭台へ送られたのか
・最初に会計システムを開発し、財政と政治の責任を明確にしたのは、繁栄する商業国家
・1340ジェノヴァ複式簿記で財政を記録→他国とはまったく異なる政治観
・自国の財政状態を常時把握
・16世紀になるとイタリアの共和国全体の衰退と絶対君主制の台頭→会計への関心が薄れる
・政治の場から会計士が消える(共和制を維持したスイスとオランダだけが例外)
・臣下が国家財政を厳正に記録しようものなら君主に報復されかねない

22:透明性の高い精密な会計を自身の政治的正当性と功績に結びつけたAugustus
・会計知識はローマの家長教育の一旦
・会計技術は古代メソポタミア、ギリシャ、ローマでゆっくりと進歩し、中世イタリアで複式簿記が出現したことにより企業経営や政権運営の強力なツールに

42:14世紀ヨーロッパ経済の中心となった北イタリア
・複式簿記、為替手形、海上保険が存在
・イングランド、フランダース、カスティーリャから来た毛織物とお金の大半が北イタリアを通過
・フィレンツェは金融の中心→フロリン金貨がヨーロッパの基準通貨

201:イギリスの産業革命を支えた会計
・オランダ以上に会計の文化と教育が浸透
・中世以降Grammar Schoolで会計教育
・会計は商業を重んじるエリート層の必須の知識

206:経営者としてのWedgewood
・非国教徒の模範的成功者
・陶芸技術に様々な革新+効率的経営に情熱
・緻密な原価計算(生産時間、賃金、原料費、機械設備費、販売費などを綿密に計算)


shikoku88 at 09:45│Comments(0)TrackBack(0) | 政治

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