2016年02月10日

マナーはどこまで悪くなるのか



昨晩は「瀬戸内国際芸術祭2016」の総合ディレクターである北川フラムさんの講演がレセプション前に飯倉公館であった。フラムさん(本名)は、香川大学の客員教授でもあり、大学在職中に何度か講義を聞く機会があった。その際に、「読書リスト」が受講者に渡され、読むように求められる。今回読んだのは、リストの本ではないが、フラムさんが熊本日日新聞に書評を載せていたもの。

札幌ススキノに住む探偵のハードボイルド話。認知症になった老婆と、それに付け込んで、キャッシュカードを取り上げ、預金だけでなく年金も取り上げてしまう犯罪組織。振り込め詐欺で老人をだます若者集団。高利貸しに手を出すタクシー運転手。地方都市の悲惨な状況が描かれている。

そちらは読んでいただくとして、面白かったのは、そこかしこに出てくる主人公のマナーに関する意見。おそらく著者本人の見解なのだろうが、共感するところ大。

例えば、電車に乗るとき、上京したての私は「早く都会人のマナーを身につけなくては」と緊張して周囲を観察していた。なるほど、「人が全員降りてから乗らないと、結局乗り降りに時間が掛かる」とか、「出入り口付近に立つと迷惑だから中に詰める」とか、観察して、その背景にある理由を推定して納得した。

それが最近は、降りる前に脇から乗り込む人がいるし、出入り口付近でボーっと突っ立っているのもいるし、一体どうなったのか?と思うことがしばしばだ。歴史を見れば、文明とは発達するばかりでなく、衰え廃ることもあることがわかる。マナーも文明の一部だろうからそうなる可能性は大いにある。

その理由は何だろう?

50:マナーが悪い連中は、本当はマナーが悪いんじゃなくて、頭が悪い
 

112:我々札幌生まれの人間は、小さな頃、親にびっしり仕込まれたでしょう。バスの乗り方、市電の乗り方、騒いだら叱られ、足を組んで座ったら叱られ、間を空けて座ったら叱られ。乗車口の近くに立っていたら、「他のお客さんの邪魔になる」と叱られて。大声で話したら、「自分の家の茶の間じゃないんだから、静かにしなさい」と叱られて。 

276:これから死ぬまで、毎年この時期に、バカみたいな揃いの衣装を着て、暴走族もどきの騒音をまき散らし、我が物顔で騒ぎ回る、バカな田舎どもの珍舞に、世界を汚されるのか、と思うと泣きたくなる 


382:塚本と一緒に寿司屋に入るのは恥ずかしい。一度で懲りた。この女は、水のことを「お冷や」と言い、醤油を「ムラサキ」と言い、生姜のことを「ガリ」と言い、お茶のことを「アガリ」と言い、「ごちそうさま」というべき時に「お愛想お願いします」と言うのだ。 


522:いまのホームスレは、みんなケータイを持っているさ。今は、そういう時代だ。家賃を滞納しても、電気水道を止められても、住む部屋がなくなっても、子供の給食費を滞納しても、とにかくケータイだけは持ち続けるし、料金を払い続ける。一昨年あたりから、人間は、ケータイがないと生きていけない生き物になり果てたんだ。 
 


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